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チート嫁戦記  作者: 風鳴
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知ってるか?嫁は生まれる前からいるもんなんだってよ

 転生って知ってるか?


 死んだ後に生まれ変わる事らしいんだが、本当にあるとは思いもしなかった。

 しかもこの世界、異世界らしいんだわ。

 らしいって言うのは、自分がまだ生まれたばかりで首も座っていない為、動くに動けなくて、外がどうなっているのか、目で見ていないからなんだが。


 異世界ってアタリを付けたのは、どうも魔法があるっぽいんだよな…


 自分の寝ている頭上に、淡く輝く光の玉が浮かんでいるのよ。

 自分の知っている常識としては光るドローン?とか思ったりしたけど、すごく小さいうえに、とっても静かで無音に近い。

 もしかしたら、すっごく遠い未来にでも来たのかとも思ったんだけど、自分のしているオムツが布一枚で、粗相をするとすっごく気持ち悪くなる。


 これはさすがに未来のオムツとか思えなかった。


  オムツがぐしょぐしょになっていると、やっぱり不快な気持ちになってくるから、そろそろ交換してもらおうと思って声を出そうとすると、頭上の光がピカピカと点滅しているのだが、どうもこの光、俺を監視しているらしいのよ。


 光が点滅すると、「・・・・!・・・・」って、何言ってるかわからないが、女の人がニコニコしながらオムツを交換してくれるのよ。


 ぶっちゃけ泣く必要がないので、生まれた時以外泣いたこと無い気がするんだが、この女の人…まあ母親なんだろうけど、一度も泣かない赤ん坊とか、気味悪くないのだろうか?


 俺なら、気味が悪くて近づかないと思うぞ、そんな赤ん坊。


 それと、言葉がまったく分からないのだ。

 英語か?と、最初は思ったんだけど、違うっぽいんだよな。

 何語か分からないから、少しずつ聞き取ってるけど、3か月ほど経っても自分の名前すら聞き取ることができんかった。

 もしかしたら赤ん坊の耳が、まだ発達していないのかもしれないから、聞き取れないのかも知れないし、もう少しのんびりしようと思ったりしてる。


 っていうか、寝てるぐらいしかできんしな。


 そんなこんなで6か月位経った頃だろうか?

 ようやく言葉らしきものを聞き取ることが出来るようになったと思っていると、どうやら隣の家の奥さんとその子供が家に来たっぽい。

 玄関のほうが騒がしくなってきたので、多分そうなのだろうと思う。

 多分って言うのは、自分で外に出たことがないってのもあるけど、ここ3か月ぐらいだろうか?

 今回のように玄関で話している事が増えたからだ。

 なぜか家の中には入ってこない、まあ母親が入れないのかもしれんが、家に入れないような人たちと玄関で長話とか、普通はしないのではなかろうか?


 謎である。


 そんな事を思っていると、ノックもしないで俺の部屋に入ってきた、まあ、ノックをする相手が赤ん坊ではしようとも思わないだろうけど。

 そうして、母親と女の人と女の子が入ってきた。


 母親の後に入ってきた2人、たぶん親子なんだろう。


 だがこの2人、どこか普通じゃなかった。

 2人とも、青い髪と青い瞳で、母娘なんだろうとは見て分かった。

 顔のつくりも似ているし、だがそんな外見なんぞ関係ない、ぶっちゃけて2人の目がすごい真剣なのよ、いっそ睨まれているレベル。


 俺、何かしましたか?


 生後半年で女性2人から睨まれる俺・・・照れるな。

 そんなおバカな事を考えている場合ではない。

 どっちかっていうと、体が震えるような視線に突き刺されているこの状況は、いったい何だというのだろうか?

 ちなみに母親?母親だよな?

 ちょっと若すぎてよくわからない時があるんだが、そんな母親は、部屋の隅にいた。


 え?なんで部屋の隅にいんの?


 俺の近くには青髪の母娘に詰め寄られた状態なんですが?ホワイ?

 何か顔がこわばっているように見えるのは気のせいですか?

 ふと頭上を見ると、いつも光ってる光の玉が、ものすごい点滅をしながらふらふらしていた。


 え?そんなこと一度もしなかったよね?

 今にも消えそうなんですが、どういう事?


 何かよく分からない事態になっているようで、俺もよく分からないまま取り乱していると、青髪の母娘は何かしら話している様だった。

 1~2分だろうか?話し合いが終わった後、女の子が近づいてきた。

 まあ、ベットのすぐ近くにいたのだから、近づくっていうよりベットに腰かけてくる感じなんだが、オイ、ちょっと近づきすぎやしないか?顔がくっつくじゃないか。

 俺がそんなことを思っていると、突然女の子は俺が理解できる言葉で話しかけてきた。


「また会えたね、今度は私があなたを守るよ」


 !!!

 日本語だ!


 俺は本当にびっくりした。

 頭が真っ白になった、たぶん血が引いていたのだろう。

 きっと、顔も真っ青だったと思う。

 口がパクパクして、上手く声が出ない、ただ目だけが女の子の目をとらえていた。


 何で?


 きっとそんな事を思っていたし、顔に出ていたと思う。

 だからなのか、女の子はくすりと微笑むと、人生半年の俺にはとても重い爆弾を落としてくれた。


「あなたの人生は私の物、あなたは私と生きる、OK?」


 この日、この時、生後半年の俺に嫁が出来た瞬間だった。


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