最強の制裁
ヒレイ視点
~森~
「カゲミヤ、このご飯うめーな。さすがシロムネ帝国ってとこだな。」
これは美味しい。パンがふわふわしていた。
「何ゆっくり食べてんだ。演習に来てた軍は飛んで行ったし、昼に寝たからもういいだろ。ナツキさんとの待ち合わせ場所へ行くぞ。」
そう、整備中に言われたのだ。キサラギさんについて調べておくから、俺たちの持ち場へ来てくれと。
「あぁ、軍本拠地の近くだよな、食べ終わったし、行くか。」
ナツキ視点
「そろそろ来るかな?」
俺は尋常なくワクワクしていた。
「全くお人好しが過ぎますよ。そのせいでバレたらやばいですし。」
テツはこう言っているが、カゲミヤたち来るのを俺より早く待っていた。
「あれ」
ヤマが真っ直ぐを指差した。見てみるとそこには、カゲミヤとヒレイがいた。
「おーい、ヒレイー!ここだぞー」
そういうと2人もこちらを見つけたようで、走って近づいて来た。
「すみません、待ちましたか?」
カゲミヤは意外と律儀なようだ。
「いいや、大丈夫だ。それより、すごい結果になったぞ。話を早く聞きたくないのか?」
俺はニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「聞きたいっすけど・・・。なんでそんな怖い笑みを浮かべているんですか?」
そういうカゲミヤは少し引いていた。
「まぁいいじゃんカゲミヤ。俺はナツキさんかっこいいと思うぜ。」
ヒレイはドヤ顔で言った。俺が笑っていると、テツはいきなり言い出した。
「ダラダラ話してないで、人来る前にさっさと言っちゃいましょうよ。」
テツは空気を読まない。でも確かにダラダラしてると人が来るかもしれない。
「はいはい。じゃあもう言っちゃていい?」
「あっ、はい」
とカゲミヤ
「ぜひ聞きたいです。どうでしたか?」
とヒレイが聞いて来た。
「じゃあまずは、この軍の噂について話そうか。」
『噂?』
ヒレイとカゲミヤが食いついて来た。いい食いつきだ。
「そう。この軍にはね、魔法という言葉でしか表現出来ないようなものを使える人がいるんだって。俺も最初はただの噂だと思ったんだけど、どうも本当みたいなんだ。酒場で聞いたんだ、1人の兵士が健康診査ってなんで2つあるのか聞くと、もう1人が1つは魔術ランク適性検査なんだぞ、知らなかったのか?って。」
「えっ、じゃあ健康診断で変な音がなってたってことはキサラギさんには適性があったってことですか?」
カゲミヤは驚愕の表情を見せている。
「たぶんね、それに適性があったのはキサラギ君だけなんでしょ。ただ珍しいってだけではないと思う。おそらく戦力になり、別次元の強さを見せる。そう考えると、この国では第1部隊はおかしい。幾ら何でも強すぎる。だから、第1部隊は魔法が使える人たちだと思う。そしてキサラギ君も魔法を使えるようになる。」
「つまり、第1部隊と一緒の場所にいる?」
カゲミヤは呟いた。
「うん、そして第1部隊は専用の宿舎がある。第1部隊専用宿舎なんだけど、特別訓練所って呼ばれてる。」
「カゲミヤ、そこへ行こう!キサラギさんはきっとそこにいる。」
ヒレイは、走り出していた。
「ありがとうございました。絶対いつか礼はします!」
カゲミヤも走っていった。
「さて、お前ら戻るか専用機についての報告の時間だ。」
「そうですね、早く戻りましょう。ここは寒い。」
テツは言った。
本部に帰ると兵士たちが来ていて、報告へ行けとせかされた。軍の本部は迷宮のようになっていて、構造を覚えられないように遠回りして連れて行かれるから、いまだに道がわからない。兵士たちは連れて行く間に何回も聞かされたことを言ってくる。
「いいか、偉大なる皇帝陛下が貴様ら捕虜などの報告を直々に受けてくださっているのだぞ。陛下の慈悲深さに感謝するんだな。
だが、なにか陛下のお気に触ることでもしてみろ」
「わかってます。そんなことはしません。」
もう聞き飽きた。この国は皇帝だの陛下だの狂ってるみたいだ。でも、そんなこと言えない。言えるわけがない。このドア越しにウシジマがいるのだと思うと、生きている心地がしない。テツとアオなんて特にそうだと思う。2人の両親はウシジマに殺されたのだから。決意を固めてドアを叩く。
「ナツキです。報告に参りました。」
あぁ言ってしまった。
「入っていいヨ〜。」
あれ?ウシジマの声じゃないし、もちろんこんな口調でもない。
「あぁ、陛下君じゃないけど、あってるヨ。さっさと入りなヨ〜。」
よくわからないが、この部屋にはイツキがいるらしい。ドアを開け中に入る。
「「なんで、お前?」って思ってるでしょ。」
この人が妖怪みたいだと言われる所以だ。人の考えてることがわかるらしい。
「あっはい。理由を聞かせていただいてもよろしいでしょうか。」
この場では俺しか発言を許されていないので、俺が答える。
「んーとね。陛下君に頼まれごとしたんだよね〜。君たちにとってはいいことじゃないよ。なんだと思う?そこの生意気そうな顔してるやつ!」
イツキはそう言ってテツを指差した。
「えっと、仕事がさらに忙しくなるとか?その説明とかですか?」
テツは薄々気づいているようで、思ってもないことを言う。
「ちがーうヨ。ヒント、全部バレてる。しかも、俺が来たってことは相当お怒りだヨ〜。」
ヤバイ。おそらく、俺たちがヒレイたちに情報を流したことがバレている。これは国家反逆罪。シロムネでは刑罰の重さは拷問のレベルで決まる。国家反逆罪は上から二番目。数日間の拷問の後、殺される。
「まぁ、今までの報告で整備の腕はいいとわかっているし。
皇帝専用機を作ると言う大仕事が残っているからネ。特別に制裁で罪をチャラにしてくれるって!良かったネ!」
ぜんぜんよくない。制裁と言うのは、1発2発殴られるなんかじゃないのだ。後ろにある毒薬と大きな水槽がそれを裏づけさせている。レベル9は絶対にイヤだが、だからと言って、制裁も無理だ。
「頑張っていろいろ集めてみました!伝言では、その後整備士として活動できればなんでもしていい。と言われたのでまずは○○から外してみようか。」
この部屋に、俺たちの悲鳴が響き渡った。




