最強国家への挑戦
「あ、終わったんですか?」
また寝そうになる頭を抑えながら必死で問いかける。
「ヒレイ、もう少し我慢しろ。国の代表として来ているんだぞ。」
「まあ、いいじゃないですか隊長。いつも通りのドウデモイイ報告ですよ」
いつもタチバナさんは優しい。彼はスキンヘッドで怖い顔をしているけど隊長よりも優しい。そんなことを考えていると
「ヒレイのボケがぁー!」
近くから怒声が飛んで来た
「寝てる暇あるなら手伝え!そんな長くいねーぞ!さっさと飛行機に荷物載せろ!」
こいつはカゲミヤ、ちょっと強いからって非常に偉そうなやつだ。
「はいはい、手伝いますよー。」
でもそんなこと言えない。俺はせっせこと荷物を積んだ。
「荷物積み終わったら帰るぞ、もう終わったか?」
隊長はあたりを見回しながらいった。
「大丈夫です。ここの二人もいけます」
と、カゲミヤが言うので、俺たちもオッケーです。のマークを送る。
「全員大丈夫だな!行くぞ」
隊長、タチバナさん、そして俺たちの順に飛んでいく。
機体が安定するまで操縦していれば、俺たちのいたシロムネ帝国ははるか彼方だ。この世界は、4つの国に分かれている。最強のシロムネ帝国、その属国であるカンダル共和国とアルマ王国
そして俺たち弱国クルハ。属国じゃないけどシロムネには逆らえないし、今も会議という名の報告と要求を言われるだけのが続いている。
「おい、ヒレイ!俺たちはここで別れるんだろ。ぼさっとすんな!」
はっとして画面を見るとカゲミヤから通話があった。
「そっか、俺たちはアルマ王国に行って、この会議のことを報告するんだった。」
危なかった、忘れてしまうところだった。カゲミヤには感謝しないと。
「キサラギさん元気にしてるかな・・・。」
カゲミヤがボソッと呟くようにいった。キサラギさんはアルマ王国の精鋭部隊隊長だ。2つ年上だけど友人のように気楽に話せる。
「あのさ、カゲミヤ。報告の後会いに行こうぜ。同じ建物にいるはずだし、向こうも喜んでくれるって。」
「さあな、あの人は性格に難ありだし・・・」
カゲミヤはそういっているがこいつはキサラギさんのことを尊敬してるし、性格のこともあんまり気にしていない。
「とりあえずさっさと行くぞ。」
俺はそう言うと飛行機のスピードを上げたのだった。