参戦
少し時間を遡る。
ラーメン屋での会話。
「なぜ志願兵に?」
「戦争が終わらないと、自粛ムードが終わらないだろ?」
そう、開戦前だが、すでに食料は軍に大量に買われて、市場では値段が上がり始める。
そうすると、生活費が苦しくなる。
外食を自粛する。
結果、客が減るのである。
キルヒアイスのラーメン屋は人気店なので、多少客足が落ちた程度だが、他の飲食店などは閑古鳥が鳴いている。
「でも店長が居ないとこの店が。」
「客が減っているから、みんなで何とか回せるだろ?ラーメンの作り方も教えたし、実際にも、俺の休憩中は、普通に俺抜きで店が回ってるんだから。」
そう、従業員教育はバッチリで、キルヒアイス以外も、普通にラーメンを作れるようにはなっている。たしかに、キルヒアイスの休憩している時間だけではあるが、他の従業員がラーメンを作って、客に提供しているのだ。
「でも、それってせいぜい1時間じゃないですか。それも客足の減ってる時間の。」
「以前の客足の減ってる時間と、今のラッシュ時間、客の人数変わらないじゃないか。」
「それはそうですけど、やっぱり不安ですし、店長が居てこその店ですし。」
「いやいや、店だけじゃなく、このまま戦争が続けば、オーク狩りにも影響でてるしなぁ。それに王からの指名依頼とか、断りにくいし。」
冒険者でもあるキルヒアイス、なぜか王から指名依頼で出ていたのだ。
「確かに王様からの依頼とか、断れないかぁ。」
キルヒアイスの参戦が決定した瞬間である。




