宰相の苦悩
私は頭を抱えた。
王国の宰相として、私は王と、王家を支えてきた。貴族の立場としては、王の血族以外では最高の侯爵家に産まれ、武の才が無かったので、もう勉強をして、文官最高位の宰相に成り上がって10年、たまに城を抜け出すお茶目な王を、なんとかコントロールし、国も安定してきている。
諸外国との諍いもあるが、今のところ平穏である。
が!
事もあろうに王国騎士団が、総員で戦ってエルフ1人に負けた。しかも国民にまでその事実が広まっている。
エルフに引きずられた騎士団を、その場で怒鳴りつけたかったが、理性で思い留まる。
このエルフの事は、部下からの報告で知ってはいた。だが、まさかここまで強いとは。
騎士団の馬鹿どもは、強いと噂のエルフに勝って、王国騎士団最強と示したかったのかもしれないが、とんだ藪蛇になってしまった。
名実ともに王国最強が、あのエルフと証明する結果となってしまった。
この事が外国に知れたら、いや、そう遠く無いうちに知られるだろう。
この国の騎士団は弱いとの噂が。
それを聞いた隣国などは、どう思うだろう?
特に北の帝国は野心的だ、弱い騎士団ならは、たやすく攻め落とせると、勘違いした行動に出るかもしれぬ。
実際、うちの騎士団はかなり強い、自惚れでは無く、騎士団の力で国境を抑えている。
帝国皇帝とて、それは分かっているはずだが、帝国民は知らぬだろう。
帝国は、我が王国に比べ、生活水準が低い。
作物があまり育たぬゆえ、鉱物資源と交換で食料を輸入している状態だ。
帝国民からしたら、弱い王国を攻めて手に入れ、自分達の生活を良くしたいと願うだろう。
その考えは、帝国貴族とて変わらぬかもしれぬ。
帝国貴族からの圧力で、皇帝が戦争に踏み切らないとは、言えない。
とにかく王に相談しなければ。




