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 「サクラ、そんなんだとまた幼稚園児に間違われるよ」

 

 

 

 苦笑を浮かべながら、

 ルイくんが言う。

 

 

 そんなルイくんをギロッと一睨みし、

 さくら様は僕に目で“早くしろ”と言った。

 

 

 

 

 「すみません、ただいまお持ちします!」

 

 

 

 

 ご主人様たちのやり取りを見ていた僕は、

 大急ぎで台車を走らせた。

 

 

 

 

 

 「はい、どうぞ」

 

 

 

 

 取り敢えず、急かすさくら様のところに

 ご希望通りのカレーを置く。

 

 

 

 

 「あ、その苺ミルクも」

 

 

 

 

 さくら様が指差した苺ミルクのパックを渡すと、

 さくら様は嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

 

 

 

 しかしすぐに、

 からかいの声が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 「サクラ、背が伸びないのを気にして毎日苺ミルクを飲まなくても」

 

 「しかも牛乳ではなく苺ミルクとは……隠そうとしてもバレバレだな」

 

 「さ、くら……がんば、れ」

 

 

 

 

 ルイくん、黒瀬様、

 しろ様が哀れむようにさくら様を見た。

 

 

 

 

 

 「お、お前ら………………!」

 

 

 

 

  

 

 

 

 (あ……、これは噴火ですか?)

 

 

 

 

 見ればさくら様の握っているスプーンは、

 プルプルと小刻みに震えている。

 振動でテーブルまでもが揺れ始めている。

 

 

 

 

 

 (ケンカになったら、ぼ、僕はどうすれば……!?)

 

 

 

 

 どうしてもケンカは避けたい。

 僕は騒ぎが苦手なんだ。

 

 

 

 

 

 (――あ、そう言えば)

 

 

 

 

 

 僕は一番奥に座っていて、

 さっきから黙ったままの眼帯の男の子を見た。

 

 

 

 

 

 (――……あの人に自己紹介してなかった……)

 

 

 

 

 

 よし、この際だから今言ってしまおう。

 それでケンカをストップさせよう。

 

 

 

 

 僕はスウッと大きく息を吸い込み、

 眼帯の男の子を見据えたまま言った。

 

 殆ど叫ぶような声量で。

 

 

 

 

 

 「私の名は七瀬千秋です! 今日から執事として働くので、どうぞ

  宜しくお願いします! よく分からない事もあるので教えていただければと思います」

 

 

 

 

 

 瞬間、大広間が

 しん……と静まり返った。

 

 

 

 ご主人様たちはいきなりのことで、

 ポカンとしたまま僕を見つめていた。

 

 

 

  

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