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クールランニング

 1週間レンタルのDVDを、1泊で返した。

 無料だからと勧められるまま会員になって――80円払った。

 消費税5%を込めると、釣りが渡しやすい金額になる。

 但し、これは1本の場合のみ。

 2本だと1円、3本だと2円、4本だと3円、5本だと4円、6本だと5円、7本だと5円、8本だと6円、9本だと7円損をする。

 小計に対して税率が加算される――そういうレジのプログラム。

 そういうことが気にならないのか、みんな纏めて御愛想していた。

 流石さすがに……10本借りていった浅宮要次は、まだ返却には来てないそうだ。

 早送りして、ヌきどころを探す。

 じゃなきゃ、ふたつの籠から溢れ出すほどのビデオテープを最初から最後まで見ている暇はない。

 毎日5400分もドライバーズシートに座っている浅宮要次が、そのためだけに1週間で600分以上の時間を作れるわけがない。

 いくらテレビデオを搭載したトラックだからって、余所見よそみ運転は危ない。

 業務上過失致死でもやった日にゃあ……もう借りられなくなる。

 色んな意味で。

 結構なハイペースで借り捲っているように思えるが――十川謙哉も、好きだった。

 ()じゃなくて、()にしないと誤解されるか。

 彼の場合は、レンタル専用のビデオじゃなく、劇場公開され且つビデオ化された洋画を借りて余暇を過ごしていた。

 最後に借りた作品は、子供が主役のばかり3本……それが原因かどうかはわからないが、酔っ払い運転車輛から少年をかばって――かれた。

 おれが返却した時に払った延滞料金は、永遠に催促できない。

 惹かれると言えば――そんなに短いスパンで、多くの新人がデビューする業界なんだろうか?

 浅宮要次は……あいつだけじゃない。

 彼ら傍観者は、どういう感性で他人のセックスを観戦しているんだろう?

 AV――と言っても一言では語り切れないが、その殆どが男性向けオナニーのおかずとしての価値しかない。

「しかない」と言うのは、おれが個人的に作品として、そういうスタイルを望まないし好まないからだ。

 視聴者がヤっているのは、女優との擬似セックスじゃない。

 明らかにオナニーだ。

 おれも、2回ヌいた。

 本格的なカラミじゃなく……手コキとフェラんのシーンで。

 若い頃は、恋愛の延長線上にセックスがあると思っていた。

 そこに至るシナリオを自分で勝手に考えて、カワイイ女の子と擬似セックスをしていた。

 その理想は――好きだったAVギャルの真っ黒になった乳首を見て、冷めた。

 とことん非現実に徹したっていい。

 射精した直後に【終焉】が訪れる、オトコのあっけない現実を表現する必要はない。

 女性のオーガズムのように余韻よいんがある【エンディング】を用意すれば、物語としての幅は拡がる筈だ。

 これは全くのおれの私見だが、セックスのあるラブストーリーという感覚の作品があってもいいと思う。

 月9とかで放送できる程度の恋や愛は、核心に迫っていない。

 ぃや、寧ろ夢想をテーマにしているのかもしれない。

 それなら、セックスのないラブストーリーでも充分に説得力があると言えよう。

 どれもこれも――夢のような話ばかりだ。

 セックスが至上の恋愛表現だなんて思っていないおれが、こんな御託宣ごたくせんを並べるのも何だけど……。

 ヌけるから泣けるへ――一見、誰も求めそうにない場所にこそ【市場】はあると確信している。

 おれに女性的な感性があるわけじゃなく……ただ、男性ホルモンが不足しているだけだ。

 噛めない食感がイヤ。

 って、そっちのホルモンかよ!

「焼けよ、焼肉なんだから」って気持ちが先行するから、ユッケは食わず嫌い。

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