第四十八話 帰還
投稿が遅れた言い訳を言わせていただけますと、怠けていた大学のレポート作成に追われていました。(現在進行形)
ではどうぞ^^
綱貴達が助けに来てくれるのを俺は待ってたはずなのに、どうしてこんなところにいるんだろう?俺は気がつくとベッドの上にいた。
近くにあった窓から、外を眺めると満点の星空とキラキラ輝く町並みが写し出されていた。
ガチャ!
ドアから部屋に入ってきたのはラヴィだった。しかも格好は寝巻き姿だ。
「ミント♪」
「あぁ…ラヴィ。いつもよりも何か綺麗にみえるよ。綱貴達もいないことだし…。」
俺は、かわいい彼女の腰に手を回し抱き寄せ…ベッドへと運んで―
「う~ん。ら、ラヴィ。ほら顔を隠すなよ。むにゃむにゃ…。愛し、てる。ぐぅ…。」
あの後、騎士団本部へと転送された俺はすぐに明人を助けに行くため一人で遺跡へと向かった他の奴らは王都で待ってるよう言って全力で走った。流石に一人だと危ないということで一緒に、騎士が二人来たのでそいつらにも遺跡の入り口の岩をどかす作業を手伝ってもらうと…この馬鹿が爆睡してたわけだが。
「おい、起きろ!」
ドガ!
いつまでも色ボケた寝言をほざいてるアホの横腹に蹴りを叩き込んだ。
「ぐべっ!…ん。あれ?もう朝?」
「お前を助けに来たのに、てめえは暢気に寝てやがって!それに今は、もう日が暮れてるし、門も閉まる時間だボケ。」
「まぁまぁ、新米くん。そこまでにしといてくれ。早くしないと君の言う通り門が閉まってしまうからね。私の名前を出せば、通れるはずだから君達は王都へと戻った方がいい。私と彼はシルフィード子爵令嬢の様子を見に行かなければいけないからね。」
一緒についてきた中年の騎士が宥めると、綱貴は怒鳴るのをやめた。そして騎士は、懐から羊皮紙を取り出して簡単にサインを書くと綱貴へと手渡して、もう一人の騎士と共に遺跡の中へと入っていった。
「何だよ?これ。」
「綱貴~多分あれじゃね?そのー手形的な役割とか。」
手形、か。こんなその場しのぎのサインで手形とは随分お偉い身分なんだろうな?実際、年食ってたから偉い…のか?
「何々…?おー!あの人どっかで見たことある顔かと思ったらやっぱり、あの人関連か!」
明人が紙を覗きこんで、声を張り上げたので軽く額にチョップをいれ黙らせた。俺も改めて名前を見てみると、
◇◇◇
[王国騎士団 第五師団 副長補佐 チャホール・エスルビエ]
“ちなみに老け顔だけど、私は27だよ。”
◇◇◇
「教会で会ったヴィヴィアンさんのお兄さんでしょ?あの人。あれで27…確かに老け顔だな~。ヴィヴィアンさんが四男で大体10代後半くらいだから~あの人は長男か次男ってところかな?」
確かに明人の言う通り、老け顔だがな…副長補佐って大分偉い役職なんじゃねえのか?偉い役職の人はそれだけ暇なのか?
「綱貴?どした?さっさと皆のところへ帰ろ?」
「ん?ああ、分かった。」
先に前を歩いてる明人に続いて、俺も横に並んで歩こうとしたら…どうも明人の様子がおかしい。足の動きが少し鈍くてそれ以上に手足が小刻みに震えてるみてぇだ。明人はよろけながら歩いてるが自覚してねぇのか?
そして俺は小走りで明人の前に出ると、腰を屈ませて背中を明人へ向けた。…まぁ、おんぶの体勢だな。
「綱貴?おいおい…。そこまで怪我人じゃねえよ?お前の目からしたら、歩き方がぎこちなかったかもしれないけど、ただの疲れだよ。疲れ。」
「いいから乗れ。てめえが、ふらふら歩くより俺がてめえをおぶって走った方が断然速い。…いつかのようにな?」
「んじゃ、お言葉に甘えてそうさせてもらうぜ?」
そうして俺の背中にのし掛かり、ものの見事に全体重を俺に預けやがった。てめえには遠慮ってものは…無かったな。
そのまま明人を背負って黙々と城門へと走っていってたら不意に明人が話しかけてきた。
「なぁ、綱貴よ。もしも、もしもだよ?幽平…今はスカムだったな。アイツのことを戸惑いなく殺せる?俺は、情に訴えられたら多分無理だ。なすすべもなく殺られるかもしれん。」
「明人。幽平はもういないんだよ…。あいつは死んだ。そんならそのスカムは俺たちの敵だ。情に訴えられても赤の他人だ。知ったこったねぇよ。よく言うだろ?世の中に三人同じ人間がいるって?幽平と似てるってだけだ。」
明人は俺の肩を力強く握りしめてきたが、少し痛い程度だ。ま、こんなこと言ったら確かにキレるな。だが、俺だってアイツが人殺しなんてしなきゃアイツを許してただろうな。
「…そうだな。幽平は異世界に来てすぐ死んだ。そういうことにしよう。今から俺とお前との暗黙の了解で。」
「ああ、幽平は死んでスカムは赤の他人。そういうことだ。」
それから、城門へと着いて手形を見せて通してもらい、冒険者ギルドに着くまでの間俺と明人はずっと無言だった。
言い出した俺が言うのも何だが、これで正真正銘俺たち二人はアイツを裏切ったことになるな。
「あ、ミント!コーキ!無事で良かったわ。」
「ヒイロって意外と心配性なの?俺が死ぬはずないじゃん♪」
先程までと打って変わって明るく皆に振る舞う明人。その様子を背中で感じながら綱貴は、まだ気持ちの整理がつかず表情が暗かった。
「コーキ?どうしたの!なんか悲しい顔してるけど…?ミントもなんだか無理して笑ってるっぽいし。」
やべっ!ソルに気づかれちまったか。こいつは意外と細かいことまですぐ気付くからな…。それに俺のことだけじゃなく明人のことまで気付くとは意外だな。てっきり俺のことだけ気にかけてるのかと思ったが、ちゃんと周りも見てるんだな…こいつは。
「あはは!分かっちゃった?ソルちゃん。俺らさ腹へってもう力が出なくてさ~。俺は空元気出してたけど綱貴はモロ顔に出やがるからな♪」
「うるせぇ。お前だって考えてることがすぐに顔に出てるときあんだろ…。そういうときは大抵、鼻の下伸ばしてるけどな。まぁ、腹へってるのは事実だ。」
一時はソルに何て言い訳するか迷ったが、上手く明人がフォローしてくれたみたいで助かったが、一言余計なのがウザいな。
そのまま、定番かのように悪口合戦へ突入するかと思いきや…?
「ソルの言うとおりですよ。誤魔化さないで下さい。何かあったんですか?」
「ミント♪私にも言えないの?」
「別に男と男の約束事をしただけだよ?暗黙の了解を決めたってだけ♪」
嘘は言ってないが、そんな軽いノリで言えるようなことでもないけどな。
「二人が決めたことなんだから、俺たちが追及するのは駄目だろ。ミントだって俺らを先に逃がしてくれたのに、どうして帰ってきて早々責め立てるんだよ。…俺はもう宿へ戻る。仲間を疑うのは俺がいなくなってからしてくれ。」
俺らがアイやラヴィに事の次第を責められると、ニーバスが自分の気持ちを吐き捨てるように怒鳴ると、そのままギルドを出て月明かりが照らし始めた町を進んでいった。
ニーバス…もしかして俺らのために怒ってるのか?あいつにも関係する話だから何時かは打ち明けたいとは思うが、まだその時じゃねえ。
「うー。コーキ…ゴメンなさい。変な風に思っちゃって。…わたしも宿に戻るね。」
「ミント…確かにニーバスの言うとおり疲れてるのにゴメンね♪男同士の約束を掘り下げるほど馬鹿な真似はしないわ♪じゃ、私も行くわ。」
ニーバスの言葉を受け止めて、ソルとラヴィが反省したように続いてギルドを出ていった。
後この場に残ったのは依然として、俺と明人それに俺らを睨んでるアイと訝しげに俺達の様子を窺うヒイロだった。だが、ヒイロは軽く溜め息をつくと納得してくれたようでヒイロも出ていった。
「そういうことだ。深くは聞かないでくれ。」
「そーそー♪んじゃ、俺らも宿とやらに行こっか?」
「そうやって誤魔化すつもりですか?きちんと話して下さい!」
「アイ~?みんな納得して行ったんだからそれでいいじゃん?こう言うのもなんだけど、そんな調子じゃ、PTの調和を乱すよ?時には場の流れに乗っとこうぜ♪」
明人がアイに恐らく落ち着くように言ってるんだろうが、あれじゃ逆上するな。あの女の性格上。大体の人間だったら明人の口調に怒ってるのが馬鹿馬鹿しくなってやめる筈だ。
「ふざけてるんですか!それに調和をいつもいつも乱してるのはミント!あなたでしょう!PTに秘密事をする気ですか?本当にあなた達は愚かですね!」
パンっ!
「ぐっ!ゲホッ!…アイ痛いじゃないか?」
案の定、ぶちギレて明人に詰め寄りながらキレやがった。だが、それだけじゃねえ。こいつ明人の頬を平手打ちしやがった…!しかも、本気の力で叩いたのか、激しく吹っ飛び壁に激突した後、床に叩きつけられて口から血が出てきていたし、頭からも一筋の血が垂れていた。
この女もう絶対に許さねぇ…!
「コーキ!あなたにも言いますけどね!あなたという人は…きゃぁぁ!」
今度は俺に向かって偉そうに説教しようとしてきたので、こいつの頭を掴んで床に叩きつけた。そして、仰向けに倒れているアイの頭を右足で踏んづけた。
「明人がPTの調和を乱してるだぁ?ふっざけんじゃねえぞ!現在進行形で調和を乱してるのはてめぇだろうがよ!ああ!?それに秘密事はなしだと?んじゃあ、てめえがまずは話せよ!出身地とかよ?ラヴィとかヒイロは話してるぜ?」
「ぐぅ!…がぁ!結局あなたは、すぐこうやって実力行使に移る。そして言葉遣いはその辺の野盗と同じ。あなた達、二人は冒険者よりも山賊がお似合いですよ?実際、いまのこの姿はどちらが悪者に見えるでしょうね?この国では女性の人権がきちんと備わっているのであなたが今、やってるのは紛れもない差別ですよ?」
「話をすり替えるんじゃねえぞ…!上手く説明できねえけど、てめえが悪ぃんだ!」
「綱貴!取り合えず踏むのはやめてあげよう!…大丈夫?アイ。」
少し意識が混濁していた明人も調子を取り戻したみたいで、俺に制止を呼び掛け、俺が足を退かすとアイの側に駆け寄り心配している。
本当に明人、てめえはお人好しだな。まぁ、俺がムチでお前が飴の役割が丁度いいだろうな。
そうこう考えてると、アイが不意に明人の顔に手をやると何か衝撃波が飛び、明人は直撃して今度は気絶した。近くにいた俺も体勢を崩して、今度は俺がアイに頭を踏まれる形となった。
「私だって魔法くらい使いますよ。後、あなたたちはこのまま騎士へとつきだします。何、罪は女性への差別行動及び貴族階級の人間への暴力これで十分でしょう。」
「タニアをボコったのは、明人じゃなくてニーバスだろ?痴呆か?」
俺が挑発すると、思いきり足を振り上げ何度も踏んできた。ご丁寧に身体強化でもしてんなこれは。痛みがなかったらとっくに意識を失ってるくらい頭が血だらけだ。
「ニーバスには失礼ですが、ニーバスの強さでタニアさんを倒すのはほぼ不可能です。それなら多少ながら戦闘経験が何度もあるあなたがやったと言った方が自然でしょうしね。」
クソ…。こんなところで濡れ衣を着せられて捕まるわけには…。でも、確かに周りからしたら俺の方が悪人だな。この女、適度に周りに聞こえない程度に怒鳴ってたからな…。俺が言ったことは周りに筒抜けだ。実際、受付の姉ちゃんに睨まれてるしよ…。
明人もさっきよりも頭からの出血が酷くなって気絶している。
「騎士が捕まえやすいように、意識を奪っておきましょう。」
そして、自分の獲物である巨大な鎌の柄の部分を降り下ろしてきた。…と思いきや、眼前で柄が止まった。
「はい。ストップ。キリのいいところで止めようと思ったけど、思わぬ幸運に恵まれたから様子を窺ってちゃってたよ。」
「タケヒトさん…?そういえば早朝に王都を出るって言ってたからまだいるんだったな。」
「そのとおり。後これで俺が昔馴染みにわざわざ会いに行く必要もなくなったし。」
どういうことだ?今、タケヒトさんはアイの腕を掴んでいてそのせいでアイは鎌を放すこともましてや腕を動かすこともできねえみたいだ。
「君のその鎌に刻まれてる印…。ヴェヒ共和国の副王家の紋章に見えるなぁ?いやはや、思いもよらないところで用事が達成できたな♪」
「何なんだよ?タケヒトさん?」
タケヒトさんは、クククと笑いアイの両手を腰につけているポーチから縄を取り出すと縛った。当然抵抗していたがなすすべもなく縛られた。
「いや、元々俺が昔馴染みに手伝いに行くって言ってただろ?その手伝いってのが、人探しだよ。副王っていう王家の次に偉い地位の当主の一人娘が家出したみたいで、その娘の特徴を聞きに出かけるつもりだったんだけど…まさか君だったとはね?髪色からして共和国出身だとは思ってたけど、確かに歳も合ってるし何よりも副王家の紋章を持ってるから決まりだね♪
ねぇ、そうだよね?アイ・ワー副王女。ニクストは母方の家名だったっけ?」
タケヒトさんの言う通りなら、家出娘がアイだってことか。世間知らずのお嬢様が気に入らない事をぐちぐち文句言うわけだな。
「まぁ、俺もさ~いきなり連れ帰るほど鬼じゃないさ。きちんと仲間にお別れくらいは言わせてあげるよ。今晩ゆっくり語るんだね。
『グッナイ』♪」
何日か前に俺と明人が騎士の町で受けた、暖かい光がアイを包み込んだ。アイは少し瞼が重くなりながらも耐えていたが、しばらくすると寝息をたてながらタケヒトさんの胸で眠りだした。
「ふむ…。流石に王族、魔法抵抗は備わってるな。下級のドラゴンでも1分以上は耐えられないのに…。ちなみに綱貴くん達は3秒で落ちたよ。ほら、宿に背負っていってあげな。」
「助かった。えっとありがとうございます?」
「はは。無理に敬語は使わなくてもいいさ。君は粗暴?な口調の方がらしくていいよ。それと明人くんは俺の方で治療するから明日またギルドに迎えに来てくれ。」
「何で明日?治療後、宿へ送ってはくれないのか?」と俺が聞くと、タケヒトさんの真剣な目に気づいた。そしてとんでもない事実を聞いてしまった。
どうやら明人が受けた衝撃波のようなものは、アイの家系すなわち共和国の王家の血筋だけが使える呪いのようなものらしい。厳しい訓練を乗り越えて力を制御するようでそれを明人にぶっ放したから内心かなり焦ったらしい。
しかも、喰らったのは感情任せの重い呪いみたいでタケヒトさんとこれから何人か知り合いを呼んで解呪するらしい。
俺にはどうすることも出来ないので、黙ってアイを担いで宿へと帰ることにした。場所が分からなかったが、巡回していた騎士にギルド周辺にある宿を聞くと俺たちの格好のせいかどうか分からんが新米冒険者だと察したようで一番ランクが低い場所を案内された。
「…ヒイロの名前で名簿が書かれてるな。どうやらここで合ってるみたいだ。
案内してくれてありがとな。」
「何、いい休憩になったさ。じゃあ俺は巡回に戻るかな。若き冒険者達にズンホース様の御導きがあるように。」
「俺は宗教には興味ないが、アンタの言葉は何となく共感出来るな。改めてありがとな。」
お導き、か。異世界に来ちまった俺と明人もそのお導きとやらだったらある意味感謝すべきかもな。どーせ高校卒業したら行く当てなんてなかったから都合が良かった。明人の奴もどうだかは知らんが、ラヴィに結婚してくれと言ったくらいだ。日本に未練はないんだろうな。
これからこのクソ女をどうするのかヒイロ達と相談すんのか……だりぃな。俺一人の決断で決めちまったら駄目だよな?何だかんだでヒイロは甘いからこいつを許すだろう。
「ラヴィを味方につけて話してみるかな。明人を半殺しにされたと聞けば、俺と同じ考えになるだろうし。…明人、大丈夫だよな…?」
今回は、そこまで書くことはありませんが敢えて言うとしたらタケヒトさんまじイケメン。
Q.タケヒトさんチートすぎない?後、出しすぎだろwwこんな新人に優しい人いないよ?
A.タケヒトさんは、ここだけの話ですが…作者のご都合主義の象徴とも言える存在です。何の気もなしに行動を執筆したら、夜中のテンションで書いた失態をカバーする伏線と化す…。
なので、特に意図してチートにしてないし、困ってるから助けてるだけです。後はいずれ出そうと思ってますがタケヒト過去編にて判明したり?するような気がします(笑)




