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第三十三話 信頼

最近スランプ気味だったので大幅に遅れてしまいました。


今回は途中から視点が替わります。

「なあなあ…アイ?こんな森の奥にその…メタリカウルフってのがいるのか?」


「受付の方の情報に寄れば、新人でも倒せるような幼い個体の群れがいるそうです。」


へぇ…でも受付の人は何処から情報得たんだろう?やっぱり他の冒険者達からなのか?それとも自分達で偵察しに行くのかね?


「ニーバス?何ぼんやりしているんですか?いつ襲ってくるかも分からないのに…もっとしっかりしてください!」


「すまない。」


って言ってもなぁ~。肝心の目標が居ないことにはやる気が出てこないよ…。ただ単に魔物との戦いが初めてなのもあるかもしれないけど…。あれ?


……バリバリ


「アイ…なんか聞こえなかったか?」


「いえ…何も?何か気付いたのですか?」


「なんか向こうの…あの赤い花が咲いてる木の辺りでバリバリって音がしたんだよ。」


今だって継続して聞こえている。…どうやらアイには聞こえてないようだし、俺の気のせいって線もあるかもしれない。


「おそらくニーバスが聞いた音はメタリカウルフの咀嚼している音でしょう。何せ主食としているのはスチル鉱石ですからね…。」


「…俺の聞き間違いじゃなきゃいいがな。」


「…何事も行動することが大事ですよ。行ってみていなかったら、それはそれで一つの選択肢が消えただけです。もし、いたら貴方の勘は的中したということになりますね…。何より私も貴方のことを信じていますから、戦闘になってもお互いに頑張りましょうね!ニーバス。」


「ああ、お前だけに戦わせることはないように、自分が弱かろうが敵に向かっていくよ。…まずは俺が先行する。」


なるべく音をたてないように慎重に赤い花の木まで近付いていくと、木の根元の辺りに穴が空いていて…中から、ちらほら灰色の毛を窺うことができた。2、3匹程度ではすまさない程の数の毛玉が穴の中で蠢いている。


「幼い個体…?にしてもまだ戦える年でもないだろ…どうみたって産まれて数日っぽいし。それともこいつらの兄弟か何かなのか?」


「きゃぁぁぁぁぁぁ!」



「アイ!?どうした!」


突如、アイの叫び声が聞こえ急いで先程の道まで戻ってみるとアイがデカイ狼と中くらいの大きさの3匹の計4体に囲まれ、腕から噛まれたのか出血もしている。


「犬っころ!俺も相手になってやる!くらえ!」


アイに向かって威嚇している一匹に蹴りを食らわしたが大した威力ではなかったらしく直ぐに体勢を立て直されたが、俺の方に注意を向けることが出来たようだな。


ガウ!

キャウン!×3


デカイのが何やら指示をしたらしく3匹が俺に、デカイのがアイと戦うみたいだ。

ギルドの人が言っていた話とまるで正反対のように狼たちの連携はぴったりだ。俺はラヴィからもらった短剣で何とか狼3匹の攻撃を防いでいるが、このままじゃ埒が明かない。

噛まれる覚悟で斬りかかると、偶然目に当たったらしく一匹が怯んだ。あまり魔力は持っていないが魔法を使う機会が来たみたいだ!


「風よ。こいつらを暫しの間怯ませてくれ!

『ウインド・ボム』」


風の塊が残りの狼に当たり体勢を崩すことに成功した。

その隙を逃がさず、即座に狼達の脳天を短剣で一突きした。何ともいえぬ手の感覚と短剣から滴る脳の汁と血が気持ち悪く、また臭いも強烈で少し吐き気がした。


「アイ!」


俺の方は一段落ついたが、アイは狼に大分傷を負わせられ動きも鈍っている。

だが、狼は所々に怪我が見受けられるものの、まだ戦えそうだ。


グルル…


俺が3匹を殺ったことに気付いたらしく、不利だと悟ったのか…アイの鎌の一振りを軽々と避けそのまま森の奥へと消えていった。どうやら逃がしたみたいだが…元々の依頼は達成しているし完了といえるだろう。


「アイ…?無事か?」


「ニーバス…無事で良かった。3匹あなたの元へと向かったとき、あなたにもう会えないかと思いました。…だけどこうしてあなたにまた会えて私はとても幸福者ですね♪」


「俺も会えて嬉しいよ。あんな大きい奴に敵うのかとても心配だったんだ。アイ…よくやったな。」


手が勝手にアイの頭を撫でていて、俺自身もつい顔がにやけて笑ってしまった。それにしてもアイの髪…柔らかくてサラサラしてて撫で心地があるな…。ずっとこうしていたいが、ギルドに報告しなきゃならんし…さっさと町に戻ろう。


「アイ…町に戻ろう。」


「っ…ん…。分かりました。ですがその前に討伐部位を切り取らないと。」


「あ!そうだな。…確か牙だったか?」


脳天から未だにダラダラと赤黒い液を垂れ流している死体に近寄り、下顎に生えている牙を短剣で切り取った。次に移ろうかと別の死体に目を向けると…アイが華麗な鎌捌きで死体から切り取りをしていた。


「その鎌…結構大きいのに狙いは的確だな。それも日々の鍛練の成果なのか?」


「ええ。生家の道場で幼い頃から、威力より当てることを意識した教えを受けてきましたから。私の鎌術は威力は剣や槍よりも、劣るかもしれませんが…命中性ではどの武器にも負けませんよ。」


道理で武器の大きさの割にあの狼の傷が浅かったわけだ…。威力より如何に当てるか、か…。少なくともコーキとは正反対かもな。


「ぅん?は…はっハックション!クシュン!なんだいきなり…?鼻がくすぐったく…。」


「くすっ♪ニーバスのレベルが上がったときの兆候はくしゃみのようですね。周囲の警戒は私が行いますからステータスをみてはいかがでしょうか?」


それじゃ…お言葉に甘えることにして…えっと確かヒイロが言うには頭の中で念じるだけでいいんだったな。


*********


ニーバス・ジュング Lv3(↑2)

生命力:185(↑110)

魔力:135(↑55)

筋力:7(↑4)

体力:9(↑5)

敏捷:24(↑11)

器用さ:8(↑3)

賢さ:8(↑4)

精神:14(↑6)

【属性】風


*********



「敏捷が凄いけど…他があんまりだな。2レベルも上がってるのになんか、空しいな…。皆こんなものなのか?アイ。」


「良かったではないですか。何かに特化している個性あるステータスで。私の場合、一種の先祖返りが生まれつきあり…親族とは違うステータスの上がり方なのですよ。先祖が偉大だっただけで私は私なのに…。あ!す、すいません!つい独り言を…。」


「俺もアイはアイだと思うし。家族がなんと言おうが自分の道を進めばいいんじゃないかな?少なくとも今のアイはすごくカッコいいし俺は…好きだぜ?」


宿で落ち込んでた俺を励ましてくれたし、町から出ると身のこなし方も教えてくれた。先祖返りが何だか知らないけど…もしアイを傷つけるようなら親族だろうと俺は手加減しない…。仲間の為だからな♪多分…ミントやコーキもそうするだろうし…。だから…


「に…ニーバス。…その…私もあなたに好意を…持っています…。」


どんなことが在ろうと…、ってなんか?アイが言ったみたいだけど聞きそびれたな。アイには悪いがもう一度聞いてみよう…。


「ん?アイもう一回言ってくれないか?少し考え事してて聞いてなかった。」


「…何でもありませんよ。依頼も終わったのですからさっさと町に帰りましょう。荷物はあなたが持ってくださいね?」


スタスタ…


「え?アイどうしたんだ?そんなに重要なことだったんならもう一回…って!?ちょっと待て!アイなんだか歩く速度が速くないか!?」


今度からちゃんと人の話は聞いてなきゃな…。どうやら機嫌を損ねちゃったみたいだし。しかし…何を言っていたのか気になるなぁ…話の流れからしてお礼かな?まあいいや♪今は早く町に戻って報告しなきゃな。


「おーい!待ってくれ!一人じゃ危ないぞー。」



----------------------------------------------------------


「全く…わたしはこれでもれっきとした乙女何ですからね…。せっかく告白したのに…ニーバスの…馬鹿。」


でも何だかんだ言いながらニーバスのことは憎めませんし、男の人にあんな好意がこもったこと言われたのは初めて…です。父様や兄様達はわたしの先祖の血しか見ていなかったから…。


「おーい!待ってくれ!一人じゃ危ないぞー。」


わたしに素っ気なくされても心配してくれるなんて優しいな…ニーバスは。仕方ないから許してあげましょう。


「ニーバス。ムキになってすいません。少し荷物を持ちますよ?」


「別にいいぜ?俺を信頼して渡してくれたんだから最後まで運ぶぞ?」


「そうですか…。なら町に帰ったら食事でもしましょう。私が奢りますから。…反論は認めませんよ?」


さて…町に帰ってギルドに報告して…それから…。あら?これじゃまるでデートの予定を考えてるみたいですね…。…そういえばヒイロ達は今頃、どうしてるでしょうか…。流石にもう起きているとは思いますが…その事を聞くことを含めても早く帰還しませんとね。

…仕方ないですが食事はその後です。

いやはや…戦闘描写もムズいですが、恋愛となると非リア充の私としては困難を極めました…。

そして、ニーバス君は朴念仁+純粋なので基本エロい展開はありません。



他のキャラは別ですが…。

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