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第三十二話 準備

今回は度々、視点が変わります。

あと、更新が遅れてすいませんでした…。

「さて、ギルドに着きましたよ。…あ!すいません。手、痛かったでしょうか?」


「いや…平気だ。俺の方もなんか、グヨグヨしちまってすまなかったな。おかげで元気が出たよ…。ありがとな♪アイ。」


「気にすることはありません。仲間として当然のことをしたまでです。」


あれから、ずっと手を引っ張られてギルドにまで連行?されたけど、力加減はしっかりしてくれていたし…それに今だってこうして何にも悪いことはしてないのに謝ってくれた。それだけでアイのことは良い人だと実感した。


「はは…。これからもよろしく。アイ…」


「ふふ…。こちらこそ。ニーバス。」


「いやはや…お熱いね~。二人とも♪先輩としては、公共の場では控えて欲しいけどね?」


ギルドの正面玄関で、話してた為に、タケヒトさんがいつの間にか横で目を細めてニヤニヤしていた。更に周りをみると…ギルド職員や他の冒険者もニヤニヤ笑ってこちらをみていた。…別に面白くも何ともないと思うけどなぁ…?


「ニーバス!ささ、さっさと行きますよ!ほら、早く!」


また手を掴まれ、ギルドの中へ向けて連行されていった。さっきに比べると力もかなり強いし、顔も耳まで真っ赤になっていた。…日差しが暑かったのか?


-----------------------------


「どれがいいかな…アイ?」


「迷いますね…。」


昨日よりも、掲示板には依頼書が貼られていて、どれを選んだらいいか分からない。ぶっちゃけどれでもいいけど…アイに任せよう。


「ちょっといいか?そこのガキ。」


「…何ですか?」


俺に話しかけてきたのは、俺と同じくらいの背丈で深く帽子を被って顔はよく見えないが…俺と同じくらいの歳かな?


「いや…俺も依頼を見たいんだが?それとも、そこはお前専用なのか?…紹介が遅れたな。俺はミゴル・エモー、お前らと同じ新米だが…お前らよりも遥かに強い。」


「あ、すみません。どうぞ。あと、俺はニーバスって言います。」


どうやら、邪魔になってたみたいだから体を退けた。その時、自己紹介もしたけど…なんだか素っ気なく返された。依頼書をある程度覗くと、結局何も受けずにギルドを出ていった。何なんだ?全く…。


「まぁ…あのような輩も冒険者の中にはおりますので気にしない方がよろしいかと。それより、このような依頼はどうでしょうか?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


・鉄狼の討伐

[ランク]F3

[条件]メタリカウルフ三匹の討伐

[報酬]銀貨三枚

[依頼者]冒険者ギルド


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「大丈夫かな?俺……?」


「基本、メタリカウルフは三匹で行動しますけれど、協調性は、ほぼありません。各々好きに戦いますから…同士討ちをさせてからトドメをさすというのがお決まりの討伐方法らしいです。マニュアル通りに事を進めれば何ひとつ問題はありません。」


「分かった。じゃあ、行こうか?」


他の冒険者の人と少しトラブルになったけど、俺としては初めての討伐依頼は緊張するなぁ…。アイの言うマニュアル通りに俺…動けるかな?

ちょっと不安を残しながらギルドを出て門の方へと向かうことにした…。


********


~ニーバス達が依頼に向かった数時間後~


「ぎゃあああああ!寝坊しちゃったぁぁぁ!ニーバスもアイも、もう出かけちゃってるよ!?ちょっと昨日ヤりすぎたわ♪」


「黙れ明人。頭に響くから暫く黙っとけ。これからどうするよ?」


「そうですね…。ひとまず先に行ってしまったみたいだから…私達も朝食を食べたら向かいましょうか?」


やっと他の5人が起きてニーバス達の伝言を教えてもらっていた。とりあえず朝食を素早く摂り、遅れてギルドに向かうことにした…。




「…お?ちょっとみんな~♪これなんてどうかな?」


何だかんだで食事を終えた5人は、現在ギルドで依頼を選んでいたのだが…時間が時間のため…あまり気に入る依頼が残っていなかった。


「何々…?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


・教会への物資運送の手伝い

[ランク]F2

[条件]教会内での物資の運び込み等々…

[報酬]一人あたり銀貨1枚+銅貨50枚

[依頼者]サクラ商会


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「おー!いいじゃん♪」


「ハハッ♪…ソルードちゃんに誉められたよ♪綱貴~羨ましいだろ?ん?」


「黙れ。ポコチン野郎。」


「お前もな?イケない顔面、略してイケメン♪…それにしてもサクラ商会ってユノさんの所属先だったよね?まだ、教会も復興してないの?ヒイロ。」


「食糧庫が火事になってしまったし、亡くなった方の供養もしなくてはならないし。それに、サクラ商会はナルセール王国初代宰相が隠居したときに始めた事業だと言い伝えられているわ。古くから王国と繋がっていて、一応王家の血も会長一族には流れているらしいわね?…何が言いたいかというと、商会に恩を売っといた方がいいと思うわ。」


ふーん。地球だろうが異世界だろうが、様々なところに種を遺していくもんなんだな…。つまり、あれか?今の王家の血筋が途絶えたら…生々しい権力争いに参加出来るってことか?…うわ!巻き込まれるのはごめんだな♪


「ヒイロ…俺、権力に興味ないから、ただ交流するだけで良いと思う。」


「ミント?あなたが考えてたことは予測できるけど…一介の冒険者ごときが巻き込まれるわけないわ。だから安心して頂戴。」


「そうですか♪なら問題ナッシングですね♪…それじゃ商会まで向かおっか?みんな♪」


「ちょっと待ちな?明人君。ふぅ…!間に合って良かったよ?タケヒトお兄さんが良いものをあげよう♪」


これから、サクラ商会に行こうとしたときに突然、砂埃が舞い上がり…俺達の後方にタケヒトさんが立っていた。


「えっと、なんか怪しいんですけど…まぁ一応貰うことは貰いますが…。」


タケヒトさんが手渡してきたのは、分厚い魔術書?と少し汚いふくろで、口が広いけど底はそんなに……え?底が見えないんだけど!?


「驚いてくれた?それはかの有名な道具である…‘ふくろ’だ!…そっちの本は支援魔法の応用編だったかな?店で買うなら…晶貨3枚、つまり金貨300枚分の価値だ。」


え…。そんなもん貰っていいんですかねぇ…。


「いや~ここだけの話。とある公爵様に頼まれて、胡散臭い財宝を探しに行ったんだけど…危険な魔物に度々襲われて、やっとの思いでお宝を回収してきたんだよ♪…この本はもう王立図書館にあったみたいだから返品されてきて、ふくろの方は…ある貴族のドラ息子のお下がりなんだけどね…。処分するよりは君らにあげた方がいい気がしたもんでね?」


「お?ありがとな!タケヒトさん!大事にすっぜ!」


綱貴…お前は気楽でいいな。タケヒトさんは気付いている上で渡したかどうか分からないけど、こんな高級なもん持ったら悪漢に狙われる確率大じゃん!?…しかもギルドは目と鼻の先…。やべっ!なんかニヤニヤしてるおっさんと目が合っちゃった!?


「お気遣いどうもありがとうございます。この借りはいつか返します。」


「そんな畏まらなくてもいいぜ?団長妹。ジキと同じ感じで構わないさ。…サクラ商会に急いでんだろ?早く行きな?」


「は、はい。それじゃまた会いましょう!」


はぁ…。タケヒトさんマジで本当のイケメンだよ♪凄く憧れるな。どこかのイケない顔面とは違うな♪



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さて、ミント達は行ったか…。それじゃ俺は一人寂しく呑むのも辛いから…物騒なことをしないように、君らに釘を刺さなきゃね♪」


ブスブスッ!ブスッ!


「ぐぁっ!」

「ひぃ!」

「腕…がぁ!」


ミント達が行ったあと、ギルドで良からぬことを企んでいた者たちがタケヒトによってリアルに釘を刺されていた。全員、利き腕を刺され暫くは冒険者稼業も中断せざるを得ないだろう。


「…新人いびりは、俺で最後だ。知ってるか?お前らみたいのせいで最近…ギルドの評判悪いんだ。反省しな?」


…まぁ、これで明人君達に限らず新米いびりをする奴等は消えるだろうな。綱貴君…両手に花で羨ましかったなぁ…。二人ともぜひ大事にしてくれよ?…少なくとも俺みたいにはならないで欲しいからな…。


「さて、明人君や綱貴君の無事を宿で酒盛りしながら祈りますか♪」



タケヒトさんの暗躍を書いてみました。ただ、物をあげるだけな無責任な人にはしたくなかったので…。


今後も度々こんなことがあるかもしれません。

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