神さま特製ランダムボックス・・・の続篇みたいな感じです。
召喚された異世界の勇者によって平和が訪れたこの世界は、僅か数百年で再び悪しき者――自らを魔王と名乗る者の出現により破壊、絶望、怨嗟の蔓延る世界と成り果てた。その中で人々は平和な世界を取り戻さんと果敢にも魔族に戦いを挑むもその願い叶わず、数年ほど続くその戦いは人々の敗北...と言う形で決着が付くかと見えた。
しかしその時、数多の雷光が天より降り注ぎ、地に蔓延る魔族たちを一掃する。人々はまさに神の奇跡と喜び、生き残った魔族たちは人々が嬉々として喜ぶその神の奇跡に呆然とした。そう、一瞬にして形勢が逆転したことに、だ。
「――おのれ神よッ! なぜ今頃このように手を出すッ?!」
天に向かいそう吼えるは魔王と名乗った者。紅蓮の瞳に怒りを滾らせ全身から凄まじい闘気を辺り一面に撒き散らす。その闘気に中てられた者は気を失うか辛うじて意識を保つものの、その場に身を崩す。それは対面する人々にも言えた。いや、どちらかと言えば気を失う方が多い。そして雷光と共にの中に一風変わった容姿の人間が居た。正確には先ほどは居なかったはずの人間が、だ。
その人間は誰も見たことも無い服装で見たことも無い物体を、左右の手で掴むように握ってはいるが呆然とその場に佇んでいた。
「え・・と、ここってどこ? 日本じゃないよね? ってか地球でもないよね?」
「・・はッ?! き、貴様さては神に拠って呼び出された勇者だな?! フンッ、我は先代の魔王のように簡単に殺られはせぬぞッ!! フフフッ、こんな事もあろうかと磨き上げたこの手腕、貴様の投げた球など意図も簡単に打ち返してやるわッ!!」
「は?? 勇者? 魔王? なに言ってんの? え? ひょっとしてトリップとか言うやつ? え? なに? マジで?? てか打ち返すってなにを???」
「はっ、そっちが来ぬならこちらから行くぞ!! フフフ、愚かな人間が・・・本来の我が姿で以って撃たれる恐怖に泣き叫ぶがよい!!」
呆然を通り越し自問自答を繰り返すその人間にイラついたのか魔王は完全に怒り狂い、見た目人の姿を霧のように霧散させ、瞬時に再び一つの物体と為り一目散に人間目掛け襲い掛かる。そして襲い掛かられた人間は・・・
「ぎゃーーッ?! なにこのでっかいハエッ?! こっち来んなッ!!」
目の前まで接近した来たハエ・・・魔王に持っていた『トイレの臭い消しスプレー』を噴射し、弱ったところを『交換用便座カバー』でもって地面目掛けて叩き付けた。
「・・グハッ・・さ・流石は神が・・召喚した・・勇者・・な・・だけは・・あ・る・・無念・・だ・・」
こうして数百年前同様、異世界より召喚された勇者に拠って世界に平和が訪れ、尚且つ、勇者が使用した武器は聖なる武器として神殿に大切に保管されたと言う...