time over
ある晴れた昼下がり。比較的大きな公園の噴水を背に、一人の少女が佇んでいた。
「・・ん? もう心配性だねぇマチは。大丈夫だよ何度も念を押したし、約束だってしたんだから。」
『まったく・・・それで何回ドタキャンされてるのよ愛華。いいかげん学習しなさい!』
「うんうん、わかったわかった。今度されたら学習するから、ね?」
――大丈夫、大丈夫。きっと来てくれるよ。だってここは初めてのデートで待ち合わせた場所なんだもん。
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ねぇ、なんで? お願いしたよね・・・? わかったって言ってくれたよね? なのになんで・・なんでそんな子と手を繋いでるの? なんで、キス・・・してるの・・? 待ち合わせから3時間後。やっと来てくれたと思ったら・・・そしてこれ見よがしのその姿に込み上げて来るのものは・・・・
「――ねぇ、今日彼女とデートだったんじゃないの?」
「あ? お前が気にすることねぇよ。それより今日は何処行く?」
「ホントに良いの? 彼女こっち見てるけど。」
「いいからいいから、あいつのことはほっとけ。」
隣に立つ少女に優しく微笑みかける自分の彼氏。そして彼女である自分に向けられるものは身も心も切り裂かれるられる程の冷たい視線。その視線に耐え切れず俯く私を他所にだんだん遠ざかって行くあなたの気配・・・。
「・・くっ・・・ふ・・は・・ほ・・本当に・・あなたは・・・」
あれからどれ位経っただろうか。自分の胸元をギュッと鷲掴みながら言葉にならない言葉が乱れた呼吸とともに口から零れ落ちる。
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あれが〝最後の外出〟だったのに。皆に無理を承知でお願いして・・・やっと許可を貰って。いっぱいいっぱい楽しんで、心に楽しい思い出を沢山々残すはずだったのに、なのにあなたが・・・あなたがくれたのは最後の最後まで深い悲しみと絶望だけ。
「――カンフルと、カテーテルの用意をッ!」
「――先生ッ! 血圧が60を切りましたッ!!」
「?! すぐに電極を――!」
「―――――ッ!?」
「―――ッ!」
time・・・・over・・・・・・