第一部――エピローグ
――天空に轟く轟音。それはまるで神の怒りの声に聞こえた。
後々に聞いた話ですが、その轟音を合図に支配開放大戦と銘打たれた戦争は、終わりを向かえたそうです。結果は地上軍の敗北、城国の制覇はならず、という報告だったそうです。
敵味方を問わず、行方不明者、重軽傷者、死者、全てが計測不能な程の人数を出したそうです。戦いから三日、その具体的な数はいまだにわからず、この戦いに参加したレジスタンスは事実上の壊滅状態となっているようです。そう私達のパーシオンも――。
「早く、ラルク先生をっ、手当てのできる方なら誰でも良いから!」
慌ただしさと共に帰還した、パーシオンの兵士達。
その数はどう見ても少なく、大なり小なり、全ての人が怪我をしているのが見えました。ハリス副兵士長の先導により、場を指揮されている光景が印象的でした。
「カルマン君!? 嘘でしょ、カルマン君!」
そんな中でも最初に見たのは、右目を失い、意識の無いカルマン君でした。血を止める為に抑えられた手拭いが、完全に真っ赤に染まっていて、心の底からの震えを感じました。
私の叫びも虚しく、カルマン君は意識が目覚めないまま、ラルク先生達による集中治療が始まりました。出血の量も酷く、意識が戻るかは五分五分だという事でした。仮に目覚めても何かしらの障害が残る可能性も高いと説明されました。
「すみませんが、現状でわかっている行方不明者と死亡者の方を読み上げます……」
ハリス副兵士長により、行方不明者と死亡者の名前が読み上げられます。呼ばれる全ての人が知っている名前です。そしてついに、その名前が呼ばれる瞬間がきてしまったのです。
「……そして、行方不明者ティーダ、死亡者……ソリディア兵士長。……い、以上です!」
みんなが涙を流しました。ハリス副兵士長も、読みながら泣くのを堪えていました。
そして最後の名前を聞いた瞬間、私の体からすっと力が抜けていき、その場に崩れ落ちました。もう帰らない人を想っているのに、涙の一つすら流せなかった自分が、悔しかったのでした。




