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アルティロイド―究極の生命体―  作者: ユウ
北の大地~悲しき水と氷~
18/97

17,遥かな北を目指して

~シュネリ湖探索主要メンバー~


名前 ティーダ

種族 アルティロイド

性別 男

年齢 16

階級 火の騎士

戦闘 3000

装備

E深紅の剣ヴェルデフレイン

Eティーダ専用戦闘防護服

E火の聖獣エンドラ


名前 ソリディア

種族 ヒューマン

性別 男

年齢 45

階級 パーシオン兵士長

戦闘 1000

装備

E鋼の剣

E戦闘用防護服

E鋼の肩当て


名前 ティオ

種族 ヒューマン

性別 女

年齢 15

階級 一般

戦闘 100

装備

E赤いゴム紐

Eワセシアの花飾り


名前 カルマン

種族 ヒューマン

性別 男

年齢 16

階級 パーシオン兵士

戦闘 650

装備

E鋼の剣

E戦闘用防護服

 ――ティーダ、ソリディア、ティオ、カルマンがパーシオンを出発して一日。

 出発した時は正午を過ぎていた為、一回野宿してから再び歩き出している。最も男連中は野宿に抵抗は無かったようだが、年頃で女性のティオにとっては、野宿というのは嫌なものである。ティオの野宿は、これが初めてではないが、それでもやはり慣れないものだった。

 ティーダは前を歩き、ソリディアはティオを護衛する形であり、その後ろから後衛としてカルマンが歩く。ティーダのアルティロイドとしての強さは、ソリディアが知っている為に、城国軍に見つかっても全滅はあり得ないと判断している。だが問題はそれに限らず、もしもティオに流れ弾が当たっても大変なので、やはりある程度の陣形を保ったままの進行となる。

 それだけではなく、ソリディアには一つの欲もある。それはカルマンに実戦経験などを積ませる事である。陣形を保って歩くだけでも、その緊張感を実体験させられる為、この進行の仕方は無駄にはならない。

「何だか、申し訳なく思います。私一人の為に、ティーダやカルマン君、それに兵士長まで巻き込んでしまって……」

「何も気にする必要はないよ。これが私達の仕事でもあるのだからね。……それにシュネリ湖周辺のレジスタンスに顔合わせができれば、戦力も広がり城国軍との戦いを、有利に進めていけるといった利点もある」

「……早く、そんな事を考えないで済む世界になってくれれば良いですね……」

 ティオは心底悲しそうな表情で言う。それは地上に住む者の願いでもある。

「――そうだね。その為にどうするべきなのか、私達は日々模索していかなければならない」

 このようにティオとソリディアが、普通に話をしていられるのは、前と後ろを、ティーダとカルマンが守備していてくれるという事がある。

 だがやはりソリディアは、カルマンの事が気になっていた。気迫はあるのだが、体がついてこないというのが、明確にわかってしまう。カルマンはパーシオンから外には出た事があまり無い。出たとしても、本当の近場程度であり、未開の地を歩くのはこれが初めてである。全てが初めての事だらけで緊張しているのだ。

 ソリディアはカルマンを、手招きして呼び寄せる。それを見たカルマンは小走りで、ソリディアに接近していく。

「どうした、やはり怖いかね?」

「い、いえ、そんな事はありません!」

 ソリディアはカルマンの事を考え、ティオには聞こえないように小声で話をする。間近で聞いたカルマンの声は、普通に聞けばいつも通りだが、やはり声色がどこか震えている。

「そうかそうか。……だが無理はするな、戦場で無理は禁物だぞ。今は戦力的にも余裕がある。自分の判断で引く事も大切なのだ、わかったな?」

「はいっ! ……でも自分は大丈夫であります」

 そこまででもないが、やはりカルマンは無理をしている。これでは緊張による体力消耗も激しいだろう。ティオもよく眠れなかった影響と、新しい地を歩く緊張が見える。ティオとカルマンは、体力的に長くは保たない、ソリディアはそう判断する。

 後衛に戻ろうとするカルマンを呼び止め、今度はソリディア自身がティーダの元へと向かう。

「――ティーダ」

「どうしたんだ、アンタが陣形を乱すなんて?」

 ティオとカルマンに比べ、ティーダは冷静沈着。体力の消耗も、精神的な緊張も見られない。

「いや、ティオとカルマンに疲れが見えていてね。念の為にティーダの様子も見に来た、というわけだ」

「……なるほど。だが俺にはまだ休憩は必要無い。それに休憩が必要なのはアンタも同じ事なんじゃないか?」

 ティーダはソリディアの心境を言い当てた。事実、ソリディアは悪性の病による、ここ最近の体力低下が著しかったのだ。顔には出さないが、心身ともに相当な消耗をしている。

(――全く、ティーダにはいつも嘘を見抜かれてしまうな。ここはティーダに甘えるべきか)

「決心はついたか? なら休んでいろ、俺はもう少し先まで下見に行く」

「あ、あぁ、そうだな。では宜しく頼むよ」

「――任せておけ」

 そう言うとティーダは、あっという間に遥か先の方まで進んでいく。こういう小さな動作の一つ一つから、生身の人間とアルティロイドの性能差を思い知らされる。

 しばらくソリディアが立ちすくんでいると、後方からティオとカルマンが追いつく。

「――ティーダ、どうかしたんですか?」

「どうもしないさ、私達は一度ここで休もう」

 ソリディアが座り込むと、ティオも同じくその場に座る。

「ティーダの野郎は更に先に行ったんですか!? ……なら俺も!」

「やめておきなさい、カルマン。今は我々の体力を、少しでも回復する事が最優先だ。それができなければ、先に安全確認をしてくれているティーダに申し訳ないぞ!」

「そ、そうですけど、でもっ!」

「……やれやれ。ならば休憩が終わったらカルマンに活躍してもらおうか」

 この一言で、カルマンの説得は一発で終わる。最もこのパーティに中では、カルマンの疲労が一番高かった為、この休憩中にカルマンは一瞬ながら、うたた寝をする。


 現在歩いている場所は、サルバナ森林地帯ほどのものではないが、鬱蒼と草木が生い茂る森の中である。全てを見たわけではない為、極端に言う事はできないが、パーシオン周辺は緑が少ない。北に向かっている事もあってか、進む毎に風が冷たくなっていく。

 ティーダは最低限の速度と、最大に気配を殺して、辺りをくまなく調べている。ソリディア達を休ませた場所から約百メートル。この距離内では城国軍の気配はおろか、人の気配さえ感じられない。一体どの程度進んだのかもわからないが、シュネリ湖を目指すと少しの間だが、城国シャングリラキングダムの近辺を通過する事になる為、並の人間はまず通らない地帯な事には変わりないだろう。

 少し高く飛び、目隠しになっていた木を避け、城国の位置を見る。雲より高くそびえ立つ程に大きな、城国が、まだ若干ながら小さく見えるという事は、シュネリ湖までまだまだ歩かなければならないという事である。

「――俺一人で行ければ、半日足らずで行けるのにな」

 あまりの進行の遅さに、ティーダは一人で愚痴を漏らす。

 あと五百メートル程の距離を見てみようと思い、ほとんど一足飛びで辺りの警戒をする。あと数メートルで警戒範囲も終わるだろうというその時、城国軍の兵士の小隊を発見する。その進行方向は、真っ直ぐにティーダを目指している。つまりはこのまま歩かれれば、必然的にソリディア達と遭遇する事になる。

(敵の数は五人。――どうする殺るべきか)

 城国軍の兵士を五人殺す事など、ティーダにとっては造作もない事である。だがもしも、この近辺に城国軍の兵士達の攻略拠点があり、増援を出されても厄介な事になると判断する。

 更に城国はアルティロイドにとっては近い位置にある為、もしも増援でジューク、あるいはデュアリスを出されてしまっては、ソリディア達を守るどころの話ではなくなってしまう。

 だが結局はこのまま行けば、戦闘になる事は変わらないと判断し、多少強引ではあるが小隊の兵士を全て殺した後、ソリディア達を連れて急いでこの近辺から離れる事にする。

(そうと決まればさっさと動くか……)

 ティーダは正に電光石火の速さで、城国軍の小隊へ向かっていく。

 音も感じさせない速度で一気に接近し、一番手前にいた兵士をヴェルデフレインを用いて斬る。城国軍お手製の鋼鉄の鎧でさえも、アルティロイドの力と、オリハルコンの剣の斬れ味をもってすれば、紙くずのように鋼を斬り裂ける。

 左肩口から右脇腹にかけて走る剣線。体が斜めに真っ二つにされ斬り飛ばされる。その相手は最後の断末魔を叫ぶ暇も無い。瞬きした瞬間には、天に召されているからだ。

「な、何だ、お前は!?」

 残った兵士は四人。その四人が同じタイミングで剣を抜き構える。

「……こいつは、まさか噂に聞くシークレットウェポンか……。容姿から推測するに、抜け出した火の騎士ティーダ、か」

 小隊長らしき人物は、自身の頭の中の情報と、目の前にいる人物の情報を照らし合わせる。下っ端にはアルティロイドの存在は知らされていないようである。それどころ隊長格の兵士でさえ秘密兵器(シークレットウェポン)としか知らされていないように見える。

(――つまりはアルティロイドという言葉を知っているのは、城国軍の中でも限られた人間しか知らないという事か)

 どうでも良い情報だが、城国軍の人間は全員がアルティロイドの事を知っていると思っていた。

「……まぁ、俺の名前を知っている奴がいるなら、別に挨拶はいらないよな? 最も挨拶する前に、お前等には死んでもらうけどな」

「ふざけんなぁ!」

 ティーダの発言に、短気な一人の兵士が、剣を振り上げ向かってくる。顔の造形もどこか短気である。

 兵士が真上から真下に向け、剣を振り下ろす。それに合わせてティーダは左から右に、真横に剣を走らせる。たったそれだけで兵士の体と剣は、上と下に別れてしまう。斬った位置が心臓に近かった為か、その兵士からは大量の鮮血を飛び散らせる。

「な、あいつ、今何をしたんだ!?」

「……ただ剣を横に振っただけだ。な、なのに、何であんなに呆気なく……!」

 残る兵士は三人。内二人は今の光景を見て、完全に腰砕けになってしまっている。それでも姿勢を崩さないのは小隊長の男のみである。

「聞く話によると、シークレットウェポンの強さは、我々人間では手も足も出ないらしい。遥か南の地を攻めた俺の友人から聞いた情報だ。……つまり火の騎士に狙いをつけられた時点で、俺達の命は無いという事だな」

「そういう事だ。アンタは話が早くて助かるな」

「……無駄だとわかって聞くが、後ろの二人は見逃してはもらえんか? これでもまだ若い兵士なんだ」

 小隊長の男が言うように、後ろで震えている二人はまだ若い。恐らくティーダとそう変わらぬ年齢だろう。

「そいつらを逃がしたら、恐らくここに仲間を呼ぶだろう。だからそれはできない、お前達はここで殺す」

「……そうだろうな。俺がお前の立場でもそうする」

「悪いな。別に恨みは無いが、俺は俺で仕事があるんだ」

「構わない。城国かレジスタンスか、いずれにしろ同じ兵士だ。それはわかっているつもりさ。……俺は城国軍第十五小隊長サワマツだ。お前は?」

 男はティーダの事を知っている。現につい先ほど、ティーダの小隊を言い当てている。だがそれが武人としての礼儀か。

「レジスタンスパーシオン所属、火の騎士ティーダだ」

 お互いに名乗り終わる。そしてティーダとサワマツは、お互いに持つ剣を構える。

 勝負はやる前から決まっているのだ。しかしサワマツは勝つ気で、そして全力で向かってくる。

「ハアアアアァァァァァ!」

 かけ声と共に走ってくるその動きは、一つ一つが洗練されており、ソリディアに近い人物だと感じる。サワマツは一気に接近せずに、突きを主体にして一定の距離を保つ。そして距離を計り終え、一気に懐に入り鋭い斬撃を走らせる。

 その斬撃をヴェルデフレインの刃そのもので防御するが、その一撃はティーダの体を痺れさせる。単純明快な腕力よる衝撃ではない。その類い希なる気迫が、ティーダの体を突き抜けたのだ。

「――覚悟ォ!」

 サワマツはそのまま力任せに剣を走らせ、一気にティーダの首を斬り飛ばそうと動く。だがティーダもその剛剣を捌き、懐に入り込みその剣を走らせる。サワマツの剣は空を斬り、ティーダの剣はサワマツを腹部から真っ二つに裂いた。上半身と下半身を斬り離されたサワマツは、倒れるというよりも、落ちるように地面に転がった。

「――ガハッ! ゲボッ、ゲボッ――」

 その腹部からは止まる事無く、赤い血が流れ出ている。それどころか穴という穴から血が逆流している。咳き込んでもそこから吐血という形で、血を出している。

「――フ、ハハ、ハハハ――」

「何が可笑しい?」

「気づか、ない、のか? この勝負、ウッ……、俺の、勝、ち、だ……」

「何だと――!?」

 気がつくと、サワマツと一緒にいた若い兵士二人の姿が無い。恐らくはサワマツとの勝負の間に、逃げ出したのだろう。

(――必要以上に気迫を全面に出していたのは、俺にあの二人が逃げていくのを悟られないようにする為か! ……やられた)

 次に見た瞬間には、サワマツは物言わぬ屍と化していた。いつから呼びに行ったのかわからないが、なるべく早くここを移動しないといけなくなったのだ。ティーダの作戦は、この男一人にまんまと狂わされた。

「――ティーダ!」

 その時、後を追ってきたソリディア達が向かってくる。ソリディアは意に介さなかったが、ティオとカルマンは無惨に切り裂かれた体と、飛び散った鮮血に気分を悪くしている。

「あまりに遅かったから来てみたら……」

「丁度良い、増援を呼ばれた可能性が高い。出来るだけ早くここから進もう」

「そうなのか!? ……よし、ティオ、カルマン、先を急ぐぞ!」

 追っ手からの追撃を防ぐ為に、ティーダは一番後ろを走る。前衛にソリディアとカルマンが付き、その後方をティオが追う陣形で、一気に走り抜けていく。


 ――その後の追撃は、偶然的とはいえソリディアの対処も良かった事もあり、微々たるもので済む。

 もしもソリディア達が合流せず、呼び戻ってから走っていたら、追撃はこんなものではなかっただろう。一寸先には何が起きるのかがわからないのが、実戦の恐さの一つでもある。

 現に作戦としては、ティーダの力押しで全ての事が済むはずだった。しかしサワマツの命懸けの戦略により、結果はティーダ敗北の形で終わっていた。単純明快に強い者が勝つだけではないのが、本当に怖いところなのかもしれない。

「……追撃は振り切ったようだな」

 ティーダとソリディアの二人で、追っ手の確認を抜かりなく行う。

「だ、大分寒くなってきたな……」

「そ、そうだね」

 ティオとカルマンは寒そうに体を動かしている。だが実際に周りも寒いのだろう。吐く息が白くなっている事に気がつく。

 カルマンは持っていた荷物の中から、分厚い布きれを全員に配る。布きれといっても分厚い為に、寒さをかなり遮断してくれる。

「助かったぞ、カルマン」

「北というと寒いと聞いた事がありました。だから念の為にと思い所持していました」

「良い読みだ。戦いをする上でも必要な能力となるな」

「ありがとうございます、兵士長!」

 心の底から嬉しそうな表情で言うカルマン。ソリディア自身も普段の生活では見れない、カルマンの先読みという能力を、発見できた事が嬉しく思っていた。

「予想外の出来事があったが、今日は大分進んだだろう。辺りも暗くなり始めてきてる、今日の進行はここまでにしよう」

 ソリディアの提案により、進行の中断が決定する。

 再び追っての追撃が無いとも言えない為、睡眠を取る際は二つに分ける事にする。最初に寝るのはティーダとティオ。見張りとしてソリディアとカルマンがついた――。

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