第一部――プロローグ
――シャングリラキングダム。天空高くそびえ立つような塔のような城国。かつては理想郷への階段と呼ばれ、人類の希望となり得ていた。人類の発展を願って建設された王国は、天空つまりは理想郷を目指す為に国王が創ったものである。人々は国王に賛同し、共に理想郷へ歩むべく力を合わせ天空を目指す。
しかし、いつしかそんな時代の国王も病で倒れた。国王の死に人々は嘆き悲しんだ。しかしそんな悲しみも一瞬のものだったのだ。国王には子供がいた。人々はそんな国王の子供達が、国王の、いや人々の願いを継いでくれると信じていたからだ。だが新たな世界の国王は、父親と人々の意志を継ぐ事は無かった。新たな国王は、今までに築きあげた国力を使い、世界を掌握しようと企んだのだ。
――理想郷への階段は止まった――
それから数十年、数百年に渡り、世界にたった一つしかない人々の希望の詰まった城国は、人々を支配し、掌握し続けたのだ。人々はこの支配から戦い続けた。元々いた人口は、既に半分以上が死滅し、世界と呼べるものがあるものは、シャングリラキングダムだけと言っても過言ではない。
城国から兵隊達を相手に、今日もレジスタンス達が命を散らしていく。
――この世界に理想郷は無い――
人々は今日も、いつ終わるともしれない日常を生きている。