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私のことが気に食わないようですが、ならやり返すだけ

「まぁ、良かったわね」

「ウィローラはヒューゴ先輩を前から思っていたものね、おめでとう」




 友人達は私がヒューゴ先輩と恋人になったことを知って、祝福をしてくれた。子爵令嬢として学園に通っている私の友人は、下位貴族の方々ばかりだ。

 上位貴族とは、あんまり関わってない。一部とは親しくさせてもらっているけれど、身分を笠に着ている方がちらほらいるもの。そう言う方とはあまり気が合わない。




「ありがとう!! とても嬉しいの。ヒューゴ先輩は結婚も承諾してくれたから、卒業したら結婚するわ」

「話が早いわね? 家族には話しているのかしら?」

「だ、大丈夫?」

「問題ないわ。私の家族には既に話してあるもの。ヒューゴ先輩のご実家がどういうかは分からないけれど、ちゃんと話し合うわ。どうしても話が通じないタイプだったら、その時はそのときよ」




 私がにこにこしながらそう言ったら、友人達には呆れた顔をされた。でもまぁ、私が本心でこんなことを言っていると分かっているだろうけれど。



 お母様たちには既にヒューゴ先輩のことは伝えてある。お母様たちが私とヒューゴ先輩が無事に婚姻出来るように整えてくれると言っていたわ。お父様もね、ヒューゴ先輩の魔法陣を見て楽しそうにしていたから、余計に背中を押してくれそうなの。

 ヒューゴ先輩のご実家は、彼のことをあまり大切にしていないみたい。以前婚約解消されたことも一因なのだろうけれど、だからといって私が結婚したいのはヒューゴ先輩なので面倒なことを言ってくるなら対応をしないとね。



 お母様も、お父様も、お兄様達も、弟達も、それに公爵家に仕える方々も私の恋が上手く行ったことを喜んでくれているみたい。私の幸せを第一に考えてくれているから、何も心配しなくていいのだ。

 良いタイミングで、問題なくなったらヒューゴ先輩の家族とも挨拶することにはなるだろう。

 恋人になってから、ヒューゴ先輩と一緒にいる時間が増えた。私はただ幸せで仕方がない。

 だけれども面倒事が無くなったわけじゃなかった。




 ……お母様の再来呼ばわりされているあの令嬢、ヒューゴ先輩と私が付き合い出したことが面白くないらしいの。

 私みたいに地味な子は、相応しくないとか。自分の方が力になれるとか言っているらしい。それに自分の方が可愛いって。




 凄い自信満々でびっくりした。

 学園にやってきてから、多くの令息たちを誑かすことに成功しているのですっかり有頂天みたい。

 ああはならないようにしないといけないわね。




 お母様も若い頃は若気の至りでやらかしたことはあったらしいけれど、やっぱり何もかもうまくいくとそういう風になる人が多いのかしら。

 確かに表面上は、あの令嬢より私の家は身分が低いとこの学園ではされている。




 ……私が公爵家の娘だと知ればそんなことは言い出さなかっただろうなとは、想像がつく。

 ただ私はのんびり学園生活を送りたいから、自分の身分をばらす気はないけれど。





 あの令嬢はともかくとして周りにいる生徒達は少しだけ面倒だわ。

 現状の学園内だと、身分が高い者がよく集まっている。とはいっても王族とかはいないけれど。





 というより王太子たちの世代はもう少し上なの。

 王太子殿下の側近達はもう既に卒業済みだわ。お兄様達もそうね。それよりも下の私達の世代だと、多分、私が一番身分が高いかも。




 お母様も公爵家当主として権力者だけど、お父様達もそれぞれ凄いもの。お父様達なんて私の前だと、ただの娘バカでしかないけれど、国内では凄い立場であることは当然理解している。




 私の家に関わりたいという貴族達はそれはもう他国も含めて多い。王族とも縁続きになるしね。父様の一人は現国王陛下の弟――要するに王弟って立場だもの。

 というか私が知らない間に護衛などはついているだろうし、学園長は散々お父様達に私のことをよろしくされているらしい。学園長のおじいちゃんは、「ウィローラ、何か困ったことはないかい?」とたまに聞かれる。





 たまにお茶しているお茶飲み仲間だ。最近はヒューゴ先輩も混ざっている。

 私に何かあったら間違いなく家族は動くけれど、売られた喧嘩はちゃんと買っておきたい。だって私のヒューゴ先輩に手を出そうとするんだもの。

 とはいっても、私が公爵家の娘だとはバレたくはないので親戚の子の協力を仰ぐことにした。




「ウィローラお嬢様に手を出そうとするなんて命知らずにもほどがありますわ。幾らでも私のことは手足としてお使いください!」



 ……毎回思うのだけど、お母様やお父様達の影響なのか親戚の貴族の子達って本家である我が公爵家に皆心酔しているのよね。お母様のカリスマ性の賜物なのだろうけれど、たまにしか喋ったことのない私に使われることを喜んでいるみたいだった。

 寧ろ「入学してから一度もお声がけいただけなかったので嬉しいです」と目をキラキラさせていた。




 さて、しばらく彼女――ゾッタリーには傍にいてもらうとして、罠にかかるかしら?


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