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望まない者

作者: 冬桜

 私の目の前にはガラスがあります。このガラスは世界中のどんなガラスよりも透き通っています。だから、注意深く見ないと気付かないかもしれません。それぐらい、透明なガラスなのです。

 私は普段からそのガラスを通して世界を見ています。ガラス越しに通る光はとても綺麗で、濁ったりしていません。ガラス越しに聞こえる声は、私の耳に直接響いてくるみたいです。ガラス越しの風は、新鮮な空気を運んでくれます。そうやって、私は世界とは隔離された場所にいます。安全な自分だけの場所。昔からずっとその場所で過ごしてきました。

 暖かい太陽の光をガラス越しに受けた。友達の声をガラス越しに聞いていた。春を運ぶ風をガラス越しに感じていた。私は皆から半歩下がった位置にいる。どんなに手を伸ばしても届かない光がある。どんなに耳を澄ましても聞こえない音がある。どんなに春を待ち望んでも、私に春は訪れない。

 私の世界はガラスの中。いつになれば、このガラスを壊せるのだろう。

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