第7話: 願い
新たな仲間たちとの出会い。それぞれの思いが交差する回です。
森の中を静かに歩きながら、あの兵士たちと再会しないよう大きく迂回する。リンドンの生存者を探し、彼らと話をつけて道案内してもらうつもりだ。歩きながら、新しく獲得したスキルを確認する。
**名前**: カイド・ユゼン
**種族**: 人間
**レベル**: 5
**スキル**: [テナシ]、[インファイター]、[エイドン]、[加速拳]、[痛覚軽減 Lv1]、[危機感知 Lv1]
**魔法**: ―
**装備**: 溶けた鋼鉄のナックル
**称号**: 異世界の侵略者、邪神の玩具、生存者
「新しいスキルが2つと称号が1つか。レベルも上がってる...なぜだ?通常のRPGなら敵を倒さないとレベルアップしないはずなのに」
[レベルシステム]: 個人の強さを示す指標。戦闘経験を積み成長することで上昇。スキルの数と強さも影響する。
[エイドン]からこの奇妙なシステムについて詳細な説明を受ける。
「へえ...こんなこともわかるのか。まあ、この変な称号も見てみるか...いてっ!痛い!」
考え事に夢中になっていたせいで、木の根につまずき小さな崖から転落する。
「クソ...もっと周りに気を配らないと。鼻血が出てる...顔から地面にぶつかったせいだ」
イライラしながら立ち上がり、焼け焦げた服の埃を払う。今度は注意深く森を進む。
[痛覚軽減 Lv1]: 痛みを大幅に軽減。最大レベルまで上げるとより強力なバージョンに進化。
「名前通りだな。スキルが進化するのはいい情報だ」
[危機感知 Lv1]: 危険を察知する能力向上。高速な攻撃や隠れた脅威にも反応。最大レベルで進化可能。
「これは強力だ。不意打ち無効化だ。元々危険察知能力は高かったが、これで完璧だ」
「不思議だな...この2つのスキルはレベルアップできるが、他の3つはできない。あの化物の"プレゼント"か?すでに最強版なのか、それとも進化しないタイプのスキルなのか」
「レベルが上がったのはスキルを獲得したからか?いや...戦闘経験や成長も関係すると説明があった。バトラーと互角に戦えた頃はレベル3だった。彼もレベル3か。今の俺は彼より強いということだ」
[インファイター]: 格闘技術の習得速度向上。敵の技を観察し短期間で習得可能。
「これも相当強力だ。[テナシ]、[エイドン]、[インファイター]...どれもチート級のスキルばかりだ。あいつを簡単に倒せたのも納得だ」
「[加速拳]の効果はわかっているのでスキップ...ん?『溶けた鋼鉄のナックル』?」
手を見ると、爆発の熱でナックルが溶けていた。
「あの爆発なら仕方ない。気に入ってたのに...まあ、記念に取っておこう」
ポケットにしまい、再びステータスを確認する。
「魔法はまだ使えないが、いつか習得できるだろう。男の夢だ...指先から『原子破滅光線』を放ち、敵軍を薙ぎ払うんだ!早く魔法を覚えたい!」
「落ち着け、ユゼン。残りは称号だ。どう見ても俺をからかってるような名前ばかりだ」
[異世界の侵略者]: 異世界の言語理解。スキル獲得率と成長速度が上昇。
「またしても破格の能力...笑うしかないな」
[邪神の玩具]: 世界システムへのアクセス権。身体能力向上、魔法・スキル使用可能、運気上昇。
「これでステータスが見えるようになったのか。だが...この名前は許せん。いつか必ずあの化物を殺す」
[生存者]: 発動中に受けるダメージ軽減、逃走速度上昇。
「これはキウィから逃げた時に獲得したか。『発動』ってどういう...?」
[称号システム]: 特定行動の反復や条件達成で獲得。ユニークな効果を発揮。常時発動型を除き、同時に3つまで選択可能。
「なるほど。今は発動できる称号が1つだけだから、これでいいだろう。とにかく、異常なほど強くなった...チート並みだ。それでもあの女騎士には勝てないと思うが」
思考にふけっていると、[危機感知]が反応する。すぐに身を伏せ、茂みに潜む。
遠くにキウィとバトラーが仲間と合流する姿が見える。
「まずい...ここは撤退だ。あの女は感覚が鋭い。見つかったら終わりだ」
慎重にその場を離れ、何とか逃げ切る。危ういところだった。
さらに進むと、探していた生存者たちを発見する。ボロボロの服に血まみれの数人だ。
「さて...どう近づくか?『こんにちは、王国まで連れて行ってくれませんか?』なんて軽く言える雰囲気じゃない。警戒されて攻撃されるかもしれない」
策を練っていると、またもや足を取られ斜面を転がり落ちる。生存者たちは警戒し、恐怖の眼差しでこちらを見る。
「しまった...」と思いながら立ち上がると、彼らは武器を下ろし緊張を解いた。
**(生存者)**「おお!仲間か?ひどく傷ついているようだ...大丈夫か?」
「こいつら...意外と良い奴らだな」
**(ユゼン)**「あ、いえ...この血は古いんです」
すると、小さな少女が弓を持って口を開く。
**(少女)**「あ!あなたのこと覚えてる!森であの騎士に追われてた人!」
**(ユゼン)**「そ、そうです...助けられずすみませんでした。ただの通行人で、あの光景を見かけて...本当に申し訳ない」
**(リーズ)**「気にすることはない。あなたには関係ない戦いだ。あの神殿騎士から逃げられただけでも幸運だ。私はリーズ。君の名前は?」
**(ユゼン)**「ユゼンです。もしよければ、一緒に行動させてもらえませんか?荷物運びくらいならできます!」
**(リーズ)**「ふふ、もちろんです。首都まではそう遠くありません。日暮れ前に着けるでしょう」
**(ユゼン)**「ありがとうございます!」
「本当に良い人たちだ...ここまで純粋で大丈夫かと心配になるくらいだ」
こうして私はリンドン首都を目指す一行に加わったのだった。
個性豊かなキャラたちが少しずつ集まってきましたね。今後の旅が楽しみです!