第6話 真相と脱出
新たな仲間たちとの出会い。それぞれの思いが交差する回です。
**(ユゼン)** まず、あそこで何が起こっていた?なぜあの人々を虐殺していたんだ?
**(バートラー)** いつまでバカを演じるつもりだ?
**(ユゼン)** 早く答えろ!時間が経つほど、お前の死に際は苦痛で満たされるぞ!
**(バートラー)** この穢れた野蛮人が……だがいい。記憶をリフレッシュしてやろう。偉大なるラザロス帝国は、リンドン王国の領土にある重要な土地を欲していた。皇帝はリンドン王に交渉を持ちかけたが、王は拒否し、皇帝を侮辱した。
**(バートラー)** 報復として、帝国はリンドンを侵略し、王族と継承権を持つ者全てを殲滅。さらに反撃を防ぐため、リンドン軍を壊滅させた。
**(バートラー)** しかし……予期せぬことが起こった。生き残ったリンドンの住民たち――戦闘スキルのない平民さえも――が廃墟と化した首都に集結し、戦場で拾った武器で武装し、帝国への反撃を企てている。
**(バートラー)** 我々は現在、弱い魔物しか生息しない〈アゴイの森〉に潜伏しているリンドンの残党狩りをしている。こいつらは蛮族の斥候として活動し、残存軍のための情報を集めている。
**(バートラー)** 我々は20の殲滅部隊の一つで、この穢れを消し去った後、リンドン首都へ向かい、蛮族軍の残党を一掃する。これで思い出したか?
「これが状況か……あの神の言った『終わりなき争いの世界』にぴったりだ。地獄みたいな話だ。なんて傲慢で卑劣な皇帝だ!」
**(ユゼン)** お前が俺を襲ったのは、リンドンの生存者だと思ったからか?クソッタレ共め……非戦闘員の民間人に、精鋭騎士が虐殺を仕掛けるなんて、勝ち目があるわけないだろ!
**(バートラー)** 好きに言え。だが戦端を開いたのはお前たちだ。大人しくリンドンにいれば、こんなことには――
**(ユゼン)** 友や家族を殺された連中が、何もせずじっとしていると本気で思ったのか!?
**(バートラー)** フン。
**(ユゼン)** この人外め、次は――
**(キウィ)** **[ファイア・スフィア]**
言葉を終える前に、遠くから叫び声が聞こえ、俺は後方へ跳んだ。赤みがかった火球が、今いた場所を通過する。着地寸前、バートラーと同じ鎧の兵士が頭上から斧槍を振り下ろしてきた!
素早く空中で体を捻り、重い一撃をかわす。地面に着くと同時に高い木へ飛び乗る。
「クソ……時間をかけすぎた。バートラーの仲間が捜索に来るのを考慮してなかった!3人いる……あの強力な魔法を使う女騎士も。殺気立った目でこっちを見やがる……マジで怖え」
「こいつはバートラーよりはるかに強い。他の2人も彼並みか……」
キウィと名乗った女騎士がサーベルをこちに向ける。すると、刀身の前に赤白の光が現れ、黄色い小火球が形成される。
**(キウィ)** **[大爆発]!**
背筋が凍る感覚と共に、俺は木から飛び降りる。黄色い炎が元いた位置に命中――その途端、予想を超える爆発範囲が広がり、距離を取っていた俺の腕と衣服が焼け焦げる。衝撃波で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「両腕が完全に焼けただれた……防御しなかったら頭が炭化していた。神経が剥き出しで、痛みがヤバい……」
再生スキルで腕を修復しつつ、頭を上げる。
**(小柄な兵士)** **[ヒール]!調子はどうだ、バートラー?めちゃくちゃにされてたみたいだけど」
**(バートラー)** 黙れ。ただあの野蛮人を甘く見すぎただけだ。
兵士の詠唱で、バートラーの傷は塞がり、彼は立ち上がる。
「マジかよ……あれだけの攻撃が無駄になったのか!4対1で、しかも1人は圧倒的に強い。女は一撃で俺を殺せた……勝ち目はない」
**(バートラー)** 俺の失敗を繰るな。見かけ以上に、あの野蛮人は異常な強さだ!
**(キウィ)** 心配無用。単独行動させた私のミスだ。今から自分で始末する――**[魔力操作]・[流量制御]・[範囲分割]!!**
「まじでヤバい……彼女の射程と威力はバートラー比じゃない!白い閃光がこちらに向かってくる……避けねば!」
間一髪で横へ跳ぶ。閃光は通過し、近くの木を根元から消し飛ばした。腕の回復が間に合ったところで、枝に掴まりながら逃走を試みる。
その時――背筋に冷たい衝撃が走り、脳を揺さぶられる。
「……新スキル獲得か?今確認してる暇はない!」
キウィが再びサーベルを構え、先端に黄色い炎を灯す。
**(キウィ)** **[大爆発]!**
炎が発射され、近くで爆発。木陰に隠れた俺は、爆風で裂けた木の幹に掴まり、さらに遠くへ飛ばされる。
「逃げるぞ……!」
背後から「卑怯者」「戻ってこい」との罵声が聞こえるが、無視して森の奥へ疾走する。数分後、振り返らずに逃げ切ったことを確認し、木から降りる。
**(ユゼン)** ハァ……ハァ……あれは危なかった。戦ってたら確実に死んでた。俺のスタイルに合わないが、生きるためなら鼠のように逃げる。約束を果たすためだ……母さんのためにも。
「恐怖と危険に満ちていたが、多くの情報を得た。ステータスも確認できたし、この世界の状況もわかった」
「次にやることは決まった。戦争中なら、リンドンの生存者こそが、この世界の謎を解く鍵だ」
「さっきの戦場の生存者を追い、リンドンへ向かう。そして……必ずあの女騎士を超える力を手に入れる!」
個性豊かなキャラたちが少しずつ集まってきましたね。今後の旅が楽しみです!