第38章:あちこちにクリスタル
ダンジョンは街から異常なほど離れている。こんな場所、どうやって見つけたんだ?もう5時間も歩いてるのに!それに、「もうすぐ着くのか?」ってLetに聞いたら、「まだ時間がかかるかも」と言われた。
なんでこんなに遠いんだよ…。
ダンジョンへ向かう途中、Letとたくさん話して情報を集めた。お互いのことについても話し合った。
彼は俺の土魔法で作った剣を面白がっていじってきたし、俺は彼が狭い洞窟で槍を使おうとしてるのをからかった。
Letは本当にいいやつだ。
夕方頃、ついにダンジョンに到着した。噂通り、何もない場所にぽつんとある洞窟だった。
でも……本当に入るのか?一日中歩き続けて、全員クタクタだぞ!
Iaion「よし、目的地に到着だ。今夜はここで野営して、明日の朝一でダンジョンに入る!」
助かった!今日は入らなくていいらしい。でも、モンスターの巣のすぐそばで寝るのって、ちょっと危なくないか?
警備の交代制をやるだろうな。忌避剤は持ってるけど、予想外の事態もあるしな。
仲間たちは焚き火を始めて、食事の準備をしている。俺も手伝うことにした。
夕食後、装備の手入れをする者、すぐに寝る者、そして手紙を書いている者……まるで遺書みたいだ。
こいつら、本当に死ぬ覚悟ができてるんだな……なんだか悲しくなる。
俺は気になることがあって、洞窟の方へと歩いて行った。近くで見ると、壁が無理やり広げられたように見える。妙だな…。
周囲を見渡すと、ところどころに光る石があった。クリスタルか?
木や湿った土にくっついてるのが不自然だ。洞窟の壁にも生えてる。ダンジョンの魔力が地形に影響を与えてるってことか?
ひとつ学んだが、今は寝よう。明日はしっかり動けないと足を引っ張るだけだ。中に入ってからもっと調べよう。
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翌朝、俺たちは装備を整えて、荷物は外に置いてダンジョン内へと入った。中に足を踏み入れただけで、俺には強烈な魔力の密度が感じられた。
奥へ進めば進むほど、輝くクリスタルがどんどん増えていく。そして、ついには輪のような形に配置された、大量のクリスタルが集まった場所に出た。
まるで“門”みたいだ。隣にいたLetがごくりと唾を飲み込み、低い声で言った。
Let「まるで地獄に招かれているみたいだな…」
彼の声は小さかったが、洞窟内なので反響して全員に聞こえた。何人かは不快そうな顔をしたが、大半は無視した。
空気が張り詰めていて、皆の恐怖が手に取るように分かる。
俺も少し不安はあるけど、まだ計画があるし、たかが上級クラスのモンスターごときに怯えてる場合じゃない。
Iaion「よし、進むぞ!こんなもん見つめてる場合じゃない!」
リーダーの号令で、皆が再び動き出し、“門”を通り抜けた。ここからが本当のダンジョン攻略だ!
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30分ほど歩くと、洞窟はさらに広くなり、クリスタルが天井・壁・床、あらゆる場所に出現していた。そのおかげで、この場所は自然に明るかった。
でも、ここまでモンスターが一体も出てこないのはさすがに変だ。
Uzen「もう結構進んできたけど……何も起きてないの、やっぱり変だよな、Let?」
Let「ああ。普通なら入口に入った時点で、もう戦闘になっててもおかしくない」
周囲の仲間たちも足を止め、俺たちの会話に耳を傾ける。
このエリアのクリスタルの密度もかなり高い。もしクリスタルが魔力をもとに形成されているなら、近くに何かが魔力を放っているはずだ。
Let「まあ、何も見つからなかったとしても、クリスタルを採取して街で売るのも悪くないな」
そう言ってLetが壁のクリスタルの塊に触れた瞬間──そこから、いくつものクリスタルが張りついた腕が現れ、彼の首をつかんだ!
Let「うっ……!?」
顔のようなものが現れ、Letに襲いかかろうと口を大きく開く。すると、クリスタルの塊が崩れ始め、そいつの全身が姿を現し始めた。Letはまだ拘束されて動けない!
Uzen「危ないっ!」
俺は即座にその腕を斬り落とし、続けて顔面に強烈な拳を叩き込んで、壁にめり込ませた。
Letは地面に倒れ込み、咳き込みながら首を押さえる。俺は[メタ]で複数の存在を感知し始めた──さっきと同じようなモンスターたちが、次々とクリスタルの壁から現れ始める!
Iaion「落ち着け!戦闘態勢を整えろ!サポートは回復魔法の詠唱を開始!前衛の後ろに下がれ!伝令役も同様だ!」
一瞬で、静かで整った空間が、激しい戦場へと変わった!