第31章：戦闘経験
俺は大きな石の剣を強く握りしめ、後ろに回ってから突進する。
剣を振ると、相手は下へかわし、そのまま俺の顔を狙って斬ってくる。俺は一歩下がり、剣の角度を調整してもう一度斬る。今度は少し低めに。
やつは体の横で受け止め、そのまま地面に叩きつけられた。
俺は飛び上がり、やつを貫こうとする。やつは横に転がり、すぐに立ち上がって後方へ跳ぶ。しかし、俺は間を与えずに再び突進する。
やつが剣を前に振る。それを見て、俺も同じように剣を前へ出し、二つの剣が轟音とともにぶつかる。
やつは笑いながら俺を見ている。そして、互いに押し合っているその隙に、やつは俺の足を蹴った。
俺はバランスを崩して片膝をついて倒れるが、それでも剣を押し続ける。やつは空いている手で俺の髪を掴み、頭突きをしてきた。
バランスを失った俺は横に倒れる。やつは骨の剣を高く掲げて、俺を斬ろうとする。しかしその前に、俺は地面を力強く踏み、コマのように回転し始めた。
やつは素早く剣を下げて防御する。俺の剣が強烈に命中し、やつの構えが崩れる。
今だ！
俺はその隙を突き、[オーラバースト]と[レイジフィスト]を込めた拳を叩き込む。
やつは腕を上げて高いガードを取る。
バステウ「ガアアァッ！！」
俺の燃える拳がやつの腕を砕き、「V」の字のように曲がった。
やつは高速で後方へ吹き飛ばされ、立ったまま着地しながら折れた腕を抑えて奇妙な音を立てる。
これで俺の魔力はすべて使い切った。ここからは完全に肉体の力だけに頼らなければならない。
バステウ「よくもやったなァ！！バラバラにしてやる！！」
やつは剣を頭上に掲げ、魔力を集中させ始める。俺は防御の構えを取りながら、意識が少し揺らぐ。
くそ、これは魔力枯渇による虚脱症状か。でも、まだ少し残ってる。すぐに気絶はしない。眠気に負けなければ、まだ戦える！
俺はバステウの表情に注目し、その殺気の強さに少し怯む。こいつ、本気で俺を殺すつもりだ。
バステウ「死ねェェェェ！！【リズ・ヴェーネ】！！」
やつが斬りかかり、その剣から赤い光が放たれる。
これは通常の[レンゲ・ディバイド]とは違う。放たれたエネルギーは赤く、しかも遥かに強い。まともに受ければ大怪我する。避けなきゃ！
俺は横に跳んでかわすが、ふくらはぎにかすってしまう。バランスを崩して倒れる。急いで顔を上げると、バステウがすでに跳びかかってきていた。やつは剣を回しながら俺に叩き込もうとする。
俺は即座に剣を前に出して防御する。剣がぶつかり、金属音と火花が辺りを包む。
俺は深く息を吸い、全力で押し返す。やつは勢いよく道の端まで吹き飛ばされる。
バステウ「ガアッ！」
やつは奇妙な声を出しながら、俺を怒りの眼差しで睨みつける。
俺は自分のふくらはぎを見て、まだ戦えると確認した後、回復は後回しにして、攻撃の構えを取る。
バステウも立ち上がり、剣を片手で頭上に構えて戦う準備をする。俺たちは再びぶつかり、数秒の間に無数の斬撃を交わす。
一撃一撃が命を懸けた重みを持つ。数分の激戦の末、ついにバステウが膝をつき、荒い息を吐きながら倒れる。腕はボロボロだ。
すでに片腕は折れていたので、俺はもう片方の腕を狙い続けた。やつが剣を持てなくなるように。
まずいな...こっちもスタミナが限界だ。俺も膝をつきそうなほど消耗している。これほど限界ギリギリで、同等の相手と戦ったのは初めてだ。この戦いの後、俺は確実に成長するだろう。
荒い息を吐きながら、俺は欠けた剣をやつに向ける。
ガブリエル「見事だな、一人であの男を倒すとは。ケガしててもな。感心したよ。」
ウゼン「またお前か？邪魔すんな。まだ終わってねぇ。それより、お前にも相手いたんじゃねぇのか？」
ガブリエル「ああ、あいつか？そいつはな――」
バステウ「ハハハハハ！！終わりだ！お前らの終わりだ！！仲間たちが来るまでの時間稼ぎは十分だった！奴らは皆、俺と同じくらい強い！お前ら二人じゃ勝てねぇよ！！」
まじかよ、こいつ本気か！？他にも仲間がいたのか！？やばい、今すぐ逃げなきゃ！
ガブリエル「それを言おうとしてたのに。話の腰を折るとは、無礼だな。」
バステウ「なにぃ！？」
ガブリエル「俺が槍使いと遊んでた時にな、さらに十人ほどの盗賊が来て邪魔してきたんだ。失礼だと思わないか？あまりにムカついたんで、そこで全部切り倒した。ついでに槍使いも切っちまって、戦いは終わった。」
バステウ「うそだっ！そんなの嘘に決まってる！！」
ガブリエル「嘘じゃない。ガブリエル・オウレオは一度たりとも嘘をついたことがない。」
やたらとドヤ顔して言ってるな。マジで自信家だよ、この男。
ガブリエルが話し終えると、バステウの顔が真っ青になり、歯を食いしばって震えだす。
バステウ「う、うそだろ……なんでお前みたいな奴がここにいるんだ！！？」
ガブリエル「話すと長くなるが、美しく若いあの乙女をこれ以上待たせたくないのでな。」
有名人だったのかよ、こいつ。しかも盗賊を全滅させたってのが本当なら、相当強いじゃねぇか。てか、今なんて言った！？
バステウ「ふざけんな……ふざけやがって！！ぶっ殺してやる！！！」
バステウは立ち上がり、大きく跳んで後ろに下がる。そして周囲に膨大な魔力を集め始める。
俺は驚きながら構えを取り、ガブリエルは無表情のままやつを見つめる。
バステウ「死ねェェ！！【オーバーヒート・マジック】！！」
魔力が暴走し始める。このままじゃ、こいつ自身が爆発して、俺たちも巻き添えにされる！
それでもガブリエルは表情一つ変えずに剣を抜き、頭上に掲げて空を一閃する。その斬撃には魔力が込められていたが、[レンジ・ディバイダー]には見えなかった。
ガブリエル「【黄金日太刀】。」
小さく呟くと、バステウの体が薄い金の光によって真っ二つに裂かれた。しかし、魔力の暴走は止まっていない。ガブリエルは小さな盾を前に構えた。
ウゼン「バカ！剣で防がなきゃダメだろ！」
そして魔力が制御不能になり、爆発する。ガブリエルが少し前に立っていたため、真っ先に衝撃を受ける……が、爆発が盾に触れた瞬間、盾よりも大きな黄色い魔法陣が展開し、全ての爆風を吸収した。
そして強い輝きと共に、その魔法陣が先程の魔力と同じ波長のビームを放ち、バステウの残骸を完全に消し飛ばした。
まじかよ……今の爆発、反射したってのか……？
