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第30章:グループ戦

俺は彼らを見据えながら、戦略を練ろうとしていた。最初の衝突ではそこそこやれたが、戦闘の規模があまりにも大きすぎて、普通の人間には対応できない。だから思い通りにはいかない。


さっきまでは、一人ずつ相手しながら、もう一人を距離で引き離す戦法を試した。もう一人が接近してくるたびに、戦っている相手から離れようとしていた。


戦法自体はうまくいっていたが、俺が離れた瞬間に二人とも飛ぶようにして一気に迫ってくる。速すぎて、まともに対応できない。


今[Wrath]を使えば一気に形勢を変えられるかもしれないが、マナが少なすぎる。すぐに持たなくなるだろう。じゃあ、どんな戦略なら勝てる?


そんなふうに考えていた時、槍の男が一気に距離を詰めてきた。反応が一瞬遅れ、脇腹を斬られてしまう。


俺は彼の胸を蹴り飛ばして、近くの木の上へ飛ぶ。


大丈夫だ、深くはない。突かれていたらもっと酷いことになっていた。


彼らの方向を見た時、バステウの姿が見えなくなっていて、一瞬焦って[Meta]を使用する。しかし…見つからない。こいつ、本当に俺の索敵から隠れられるのか?


あの攻撃もただの陽動だったのか!?クソッ、どこだ!


俺は周囲を必死に見回すが、発見できない。そんな時、上の葉が揺れる音が聞こえた。


見上げると、バステウがすでに俺に向かって斬りかかってきていた。反応が間に合わず、骨の刃が肩を貫く。


即座に[Tenaci]を発動し、マナを消費しない上に回復もできる[Aura Burst]も同時に発動する。


バステウ「ハハハッ、死ね虫ケラァ!…ん?これは何だ…?」


俺の周囲に燃えるようなオーラが溢れ出すのを見て、バステウは驚いて刃を引こうとする。だが、俺は空いている手でその刃を掴み、肩から引き抜き、そのまま勢いよく振って投げる。


バステウは刃を離さなかったので、一緒に投げ飛ばされた。腹と肩の傷は塞がり始めているが、[Tenaci]と[Aura Burst]を同時に使っているのに遅すぎる。


おそらくマナが少なすぎるせいだ。マナを消費しないスキルでも、マナの質が低下すれば効果にも影響が出る。


まあいい。今のところ、[Aura Burst]を使えばバステウには少し優位に立てる。でも、それだけでは二人を相手にするには足りない。


だが、奇襲して[Rage Fist]を使えば、どちらかを致命傷に追い込めるはずだ。


どちらかが倒れれば、残り一人は[Aura Burst]の力でなんとかなる。


俺は木から飛び降りる。二人は俺が地面に着く瞬間を狙って襲いかかってきた。だが、それを読んでいた俺は大剣を回して二人を薙ぎ払う。


二人は剣を飛び越えて避ける。俺は地面に着き、すかさず槍の男に剣を突き立てようとする。だが、バステウが彼の脇腹に蹴りを入れて進路を逸らす。


驚いて剣の軌道を変えて防御に入ろうとするが、バステウは攻撃せず、俺の足元を狙ってきた。


足払い――膝をつき、姿勢を崩した俺に、バステウと槍の男が同時に斬りかかる。


無理だ、どちらか一方しか防げない。やはり、最初から勝ち目はなかったのか?


逃げを優先すべきだった?…クソッ。いや、まだ諦めない。バステウの攻撃を防ぎ、槍の男の一撃を受ける。そしてその隙に岩の棘で二人を貫く!


バステウの一撃が迫る中、彼の顔に狂気の笑みが浮かぶ。嫌な予感が背筋を走る。


何か仕掛けてくる!クソッ、もう避けられない!!


目を閉じて最悪の事態に備えた――その時、空から男が叫びながら現れた。


???「[Golden Zan]!!」


バステウと俺の間の空間をその男の剣が斬り裂く。その剣が通った場所は金色に輝く。続けざまに男は槍の男の槍を掴んで顔面を蹴り飛ばす。


俺は呆然とする。男は剣を下ろし、こちらを見て笑う。


ガブリエル「遅れてすまない、助けに来たよ!俺の名前はガブリエル!」


俺と同じくらいの身長。銀色の脚甲、腰には熊の皮のようなものを巻き、白シャツに金色の胸当て、手と前腕に白い布が巻かれている。目は青く、金色の髪が逆立っている。剣は銀の柄に金の装飾、刃には青い紋様。腰には小さな盾も付けていた。


彼は視線を逸らし、バステウを睨みながら剣を向ける。


ガブリエル「話は後だ。まずはこの汚らしい盗賊どもを片付けよう!」


俺は立ち上がり、剣を構える。


ウゼン「お前が味方なら感謝する。骨の剣の奴は俺がやる。そっちは槍の男を頼む。」


ギリギリで助かった。あと数秒遅れていたら死んでいた。…こいつ、少し怪しいが、今はそんなことを言ってる場合じゃない。


ガブリエル「えー?でもあいつの方が強そうだし、俺が戦いたいんだけど。お前は弱い方をやれよ。ボロボロなんだから、無理すんな。」


ウゼン「バカかお前?先に言ったのは俺だ!あいつは俺がやる。お前は残りで我慢しろ。」


ガブリエル「先に言ったとか関係ないだろ?俺が助けたんだから文句言うなよ!」


ウゼン「はあ?それがどうした?あいつは俺が先に戦ってた相手だ!」


ガブリエル「お前、もう戦える体じゃないっての!いいから弱い方をやれ!」


ウゼン「は?俺がどれだけ元気か見てみろよ!今ならあんなの20人相手でも余裕だぞ!」


ガブリエル「ならお前一人で二人同時に戦えよ、助けなしでな!」


ウゼン「あーもう、そういう態度か!?いいぞ、二人でも三人でもかかってこい!」


こういうタイプの奴は本当に苦手だ。でも、なぜか俺の親友ってだいたいこういう奴なんだよな。なんでだろうな…。


バステウは呆れたようにやり取りを見ていた。そんな中、槍の男が体勢を整えて猛スピードで突っ込んでくる。


槍の男「てめぇらぁ!俺のことを弱いだの、ハエだの言いやがって、クソがぁ!!」


彼は槍を回転させながら斬りかかってきたが、ガブリエルは難なく柄を掴み、そのまま彼を吹っ飛ばした。


ガブリエル「そう言われるのは、まさにその通りだからだ。誰も相手したくないただのハエだ。」


ガブリエル「よし、今回は譲ってやる。あの骨剣の奴はお前に任せる。次は俺が選ぶからな、いいか?」


ウゼン「ふん、偉そうに…いいだろう、次はお前に選ばせてやる。だが死ぬなよ?」


俺はバステウの方へ向き直り、ガブリエルも槍の男の方へ跳んでいく。


ウゼン「待たせたな、ようやく本気の勝負だ!」


バステウ「面白い奴らだ。殺すには惜しいが、もう十分挑発された…!貴様を消し去ってやる!!」


俺は全力で彼に飛びかかる。


――絶対にここでは死なない!!

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