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第24章:新たなる道

私の目がかすかに開く。灰に覆われた地面に横たわり、雨が降っている。体を起こそうとするが、全身が痛む。


どうなっている?ここはどこだ?


なんとか起き上がり、周囲を見回す。記憶が戻ると同時に、激しく立ち上がる——筋肉がさらに痛むが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。


あの男はどこだ?周りを見渡すが、すでに竜に乗って去ったことを思い出す。


悔しさで唇を噛み締める。


腕や胸の傷は既に治っている。意識を失っていても、あるいはマナが枯れていても、自動的に回復するらしい——ただ、時間がかかるようだ。


上空を見上げると、白い煙の大半は既に消散していた。その煙の影響で、雨が降っている。周囲を見渡せば、すべてが灰か、焼け焦げた瓦礫と化していた。


拳を握り締める。

「あのクソ野郎……必ず殺す。何十年かかろうと、絶対に殺してやる。まずはあいつ、次はカルマディオス……二人の首をぶち抜いてやる」


頭を冷やし、次に取るべき行動を考え始めた時、息を切らしながら近づいてくる馬の姿が見えた。


「……ああ、完全に忘れていた。忠実なやつだ」

馬が近づくと、その頭を撫でる。私と違い、何時間も走り続けてきたのだろう、かなり疲れているようだ。


土で作った大きな器に水を召喚し、飲ませて休ませる。驚いたことに、逃げずに私を追ってきたのか。


馬車の後部に積まれた干し草を少し取り出し、馬に与える。自分も干し肉を齧りながら、ライスのことを考える。


あいつは死を選んで残った。後悔する必要はない——彼自身の選択だ。それでも、胃が締め付けられるような感情が湧き上がる。


こんな気持ちは、母が死んだ時以来だ。

そして今、失ったのはライスだけじゃない。クロエ、シーシャ、アイアンも……。


頭が混乱し、苦さでいっぱいで、肉の味もほとんど感じられない。


馬を少し休ませた後、馬車に乗り込み、ゆっくりと方向を変える。

「……お前に名前を付けてやろう。あまりに従順で忠実だ。今はお前だけが俺の仲間だ」


(ウゼン)「よし……『カゼ』だ。どうだ?」


馬は完全に無視し、前を見つめたまま。すると、あることを思い出し、カゼを止めさせる。


馬車から降り、元いた場所へ走り戻り、何かを探す。10分ほどして、見つけた——俺の剣。いや、柄と刃の根元だけが残った状態だ。


アイアンが近隣の街の鍛冶屋を紹介してくれた。折れた剣でも、役に立つかもしれない。


再び馬車に向かおうとした瞬間、【メタ】がかすかな存在を感知する。驚いて振り向く。動かず、60メートルほど離れた場所だ。


生命力も極めて微弱。弱った魔物か?手綱を取り、カゼを連れて近づく。


近づくと、地面に半壊した石のドームが見える。

「……!」

口が開いたまま固まる——あれはアイアンの土魔法だ。


走り寄る。

「まさか……最後の瞬間に防いだのか?いや、あの火焔は絶対的な破壊力だった……でも、もし……」


必死で崩れかけた石の構造物に近づく。かすかな存在はその中にいた——しかし、あまりに微弱で判別できない。


「くそ……急がねえと」

このままでは死んでしまう。だが、無造作に壊せば、崩れた石材がアイアンに当たるかもしれない。


両手をドームに当て、魔法を書き換え、ゆっくりと地中に戻していく。


石のドームが消えると、中から倒れた女性の姿が現れた。全身に3度の火傷を負い、皮膚の大部分が剥がれ、肉が剥き出しだ。


手には溶けた金属が癒着し、体のあちこちにも同様の痕跡が……。

「どうすりゃいい……?これ、救えるのか?」


現代医学では不可能だ。だが、この世界にはスキルと魔法がある。


今のところ、回復魔法は習得していない。だが、魔法は想像力で成り立つ。マナを込め、イメージすれば……。


馬車に戻り、ライスが用意していた短剣を持ってくる。空中に火の玉を作り、刃を突っ込んで真っ赤に焼き、水の泡で急冷する。


彼女の残った衣服を引き裂き、鋼と癒着した皮膚を切り離す。出血は激しいが、不思議と動揺はない。手の皮膚も同様に処理する。


金属をすべて取り除いた後、彼女の体の上に両手をかざす。


「魔法は想像力……細胞レベルで死んだ組織を排除し、神経、骨、血管を再生させろ……」


イメージは「自然治癒の加速」に限られる。それでも、深い傷跡は消えていく。臓器や複雑な神経は完全には修復できないが、安定化は可能だ。


幸い、臓器の損傷はない。ただ、右目は潰れている。腰のあたりの脊髄にも違和感があるが、詳細はわからない。


「……これが限界か」

より高度な回復魔法がなければ、これ以上は無理だ。失った部位の再生は、現在の魔力量では不可能らしい。


彼女の顔を見て、凍りつく。

「……キウィ隊長!?」

火傷で気づかなかった。しまった……治してしまった。今すぐ襲ってくるんじゃないか?


いや、待て。さらに気になる点が——


【名前:キウィ・ナザ】

【レベル:26】

【スキル:評価不能】

【魔法:評価不能】

【称号:元帝国軍司令官、戦場の舞姫、短剣の達人、敏捷なる戦士、帝国の裏切り者、黄金槍の標的、流星竜の標的】


「裏切り者」の称号。さらに、例のアルローズの敵ともされている。アイアンの魔法で守られていたということは……帝国を裏切り、アイアンを助けようとしたのか?


それなら、アイアンが彼女を守った理由も説明がつく。


「……今は彼女に聞くしかない」

目を覚ませば、真相がわかる。ここに置いてくわけにもいかない。


彼女を抱き上げ、馬車に運ぶ。衣服は切り裂いたため、代わりにライスの遺した灰色のズボンとベージュのシャツを着せる。


右目に黒い布を巻き、毛布で覆う。


馬車の前に座り、手綱を取る。

「……行くぞ、カゼ」


ゆっくりと進み、壊れた門を通過する。少し離れたところで、振り返る。


「……守れなかったこと、逃げることを許せ。だが、誓う……必ず、お前たちの仇は討つ」

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