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第17章:別れと絶望の始まり

窓から差し込む光に目を覚ます。太陽はまだ昇っていないが、薄明かりが広がっている。身支度を整え、宿を出て正門へ向かう。


正門の前に立っているのはリースとクロエだった。驚いて駆け寄る。


**(クロエ)**

「やっと現れたわね。どれだけ待たせるつもりだったの?」


相変わらず、クロエは私を快く思っていないようだ。


**(ウゼン)**

「別れに来てくれたのか?」


**(リース)**

「ああ…そうだ。短い間だったが、お前を友だと思った。せめてもの別れと、このバカ娘だけでは心配だからな」


そう言いながら彼はクロエの髪をぐしゃぐしゃにする。え!? 二人は親子なのか? リースを名前で呼んでいたから、全く気づかなかった。


**(クロエ)**

「何その間抜けな顔よ。養父なの。そんなに驚くことじゃないでしょ。さっさとリースの話を聞いて、殺される前にここから消えなさい」


**(リース)**

「そんな言い方するな、クロエ。…まあ、彼女の言う通り、急いだ方がいい」


これから起こることを思い出し、悲しげに頭を垂れる。


**(ウゼン)**

「アイアンは? 別れに来ないのか?」


**(リース)**

「いや。『気が散る』『会えば判断を誤る』と言っていた。短い間だったが、お前たちは本当に良い師弟関係を築いたようだ」


弱々しくうなずく。


**(リース)**

「よし、聞け。馬と荷馬車を準備した。食料や必要な物も積んである。馬は大人しいから、乗り慣れていなくても大丈夫だ」


**(リース)**

「壊れた家や城から集めた金も持っていけ。遠慮するな。もう俺たちには必要ない」


**(リース)**

「出たら南の小道を進め。1日か3日ほどで隣国の大きな街に着く」


**(リース)**

「アイアン様からの伝言だ。着いたら『ガリア』という名のドワーフ鍛冶を探せ。この手紙を渡すのだ」


リースは紐で結ばれた巻紙を手渡す。


**(リース)**

「お前のための武器を作ってくれるよう頼んでおいた。…以上だ。道中気をつけろ。クロエも別れを言え」


**(クロエ)**

「ふん! じゃあね。早死にしないように」


リースはその言葉に苦笑いする。


**(ウゼン)**

「ああ…ありがとう。さようなら。君たちと出会えて光栄だった。絶対に忘れない。アイアンにも…彼の教えを胸に刻むと伝えてくれ」


涙を浮かべたリースが門を開けるよう叫ぶ。荷馬車に乗り、手綱を取ってゆっくりと街を出ていく。


複雑な思いで涙が溢れ、マントで拭う。そして前を見据え、進み出す。


---


6時間ほど馬を走らせ、森へと続く不規則な崖に到着する。先に道が続いているようだから、荷馬車でも進めそうだ。


崖を登り、王国の平原を見渡せる高台に立つ。


後悔しながら振り返り、王都を見る──そして凍りつく。街の至る所から煙が上がり、目を凝らせば爆発まで見える。


口を開けたまま立ち尽くす。もう攻撃が始まった? 早すぎる!


**(バートラー)**

「おやおや…ネズミを見つけた。まさに俺が探していたタイプだ」


声にゆっくりと振り向くと、見覚えのある顔に血が沸騰する。


**(イヴォン)**

「司令官の言う通りだったな。誇り高き野蛮人も、命を惜しむ奴はいる。逃がさないように待機して正解だった」


**(ゴリス)**

「ハハハ…こいつは強そうだな。本戦に参加できなくて残念だったが、悪くない獲物が獲れた」


**(バートラー)**

「がなり立てるな。こいつは俺の獲物だ。司令官の前で恥をかかせやがった。この屈辱、命で償わせてやる!」


腹立たしさで頭が熱くなる。この忌々しい帝国ごと消えてしまえばいい。世界が平和になるのに。


考えにふけっていると、バートラーが突進してくる。異常な速さで跳び、背後に回りこみ、剣を首元へ振り下ろす。


勝ち誇った笑みを浮かべているが、私は体を回転させ、手の平で剣を受け止める。触れた部分が凍りつき、刃は皮膚を傷つけられない。


彼は理解できないという表情で見つめる。その隙に、彼の視界を越える速さで背後へ回り込む。


背中に蹴りを入れ、彼は兵士の近くに転がり落ちる。


荷馬車から大剣を引き抜きながら、彼らを見下ろして言う:


**(ウゼン)**

「遅すぎる。今の俺に勝ち目はない」


バートラーはよろめきながら立ち上がり、【癒やし】を唱える。青緑色の光で傷が塞がっていく。


**(イヴォン)**

「面白い。単独では厳しいな。全員でかかるべきだ」


巻き毛の騎士が言い、巨漢のゴリスがうなずく。


**(バートラー)**

「認めたくないが…一人では勝てん。復讐を分け合うのは癪だが…仕方あるまい」


**(ウゼン)**

「機嫌が悪いんだ。これから起こることに罪悪感は感じない。躊躇いは捨てた…全員まとめて殺してやる!!」

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