第12章:努力の結果
朝目覚めると、前日以上の決意が胸にあった。服を着て、大剣を背負い、宿を出る。
ちょうど昇ったばかりの太陽を見上げながら、訓練場へと歩き出す。
「よし、今日は10倍頑張るぞ」
このやる気の理由は、昨夜いくつかの発見があったからだ。まずは自分のレベルについて。レベルが上がる正確なペースと、必要な努力の量がわかった。
そして【近接戦闘者】の恐ろしいほどの効力を実感した。たった数時間で、まともに剣を上げられなかった状態から、洗練された技術で思い通りに扱えるようになった。さらに筋力も大きく向上していた。
昨日のトレーニングと夜通しの練習の結果、レベルは8に上がり、新たに【集中】スキルを習得していた。
【集中】:このスキルは所有者の集中力を高め、行っている活動の仕組みに対する理解を深める。
ようやく訓練場に到着し、昨日練習したエリアへ直行する。そこには、目を閉じて待ち構えるアイアンの姿があった。
彼が目を開き、俺を見る。そして、どこか満足げな笑みを浮かべた。
**(アイアン)**
「ほう、来るとは思わなかった。怖じ気づいて逃げたかと」
**(ウゼン)**
「今日もよろしくお願いします、師匠!」
そう言い終えると、背中の大剣をサッと引き抜き、構える。
アイアンは驚いたように目を見開いた。そして低く笑うと、自身の剣を準備し、突進の構えを取る――しかし彼が動く前に、俺が先に飛び出した。
彼の真正面で大剣を高く振りかぶり、力任せに振り下ろす。アイアンは間一髪で後方へ跳び、かわす。大剣は地面にめり込み、轟音とともに割れ目が走った。
彼はそのまま俺の頭上へ跳び、斬りかかる。俺は地面に刺さった大剣を盾のように前に押し出し、全身を覆う。
アイアンの剣が俺の大剣の平らな部分に激突し、岩が割れるような音が響く。衝撃で後ろに押し出されながら、剣の状態を確認する。
俺の大剣は無傷。だがアイアンの剣は完全に砕けていた。彼は柄を捨て、空中で手を上げる。すると地面から石の柱が隆起し、彼がその頂点に触れると、柱は崩れ、中から新しい剣が現れた。
それを掴むと、アイアンは俺へ突進してくる。俺は大剣を引き抜き、体全体を回転させながら斬撃を放つ。彼は斬撃を飛び越え、空中で体をひねりながら俺の頭目がけて攻撃してきた。
しかし俺は頭を下げて回避。【集中】と【近接戦闘者】を発動し、彼の着地地点へ素早く斬り込む。アイアンは剣で受け止め、後方へ吹き飛ばされる。
再び走り寄り、横薙ぎから水平斬りまで――計七連撃――を叩き込むが、彼は余裕を持って全て回避。そして至近距離から俺の胸元に強烈な一撃を叩き込んだ。
ぐらりと後ろに揺れるが、昨日と違い、地面に倒れることも、【不屈】で回復する必要もなかった。
顔を上げ、彼を見る。無表情だった彼の顔に、満足そうな笑みが浮かんでいる。
**(アイアン)**
「一晩でここまで上達するとはな。そろそろ本気を出してもいい頃合いだ。覚悟しろ。これからは全力、全速でいく」
俺は少し緊張混じりの笑顔で答える。
**(ウゼン)**
「全力でお願いします、師匠!」
そうして4、5時間の激しい打ち合いが続き、ついに俺が彼に傷を負わせた時点で休憩。昼食を取ることにした。
**(アイアン)**
「たった2日の訓練でここまでなるとは思わなかった」
**(ウゼン)**
「ありがとうございます、師匠! ようやく剣のコツが掴めた気がします。これからも教えてください!」
**(アイアン)**
「残念だが、それはできない。このペースなら、明日までにはお前は俺を追い越す。さらに成長するには、あとは独学だ」
**(ウゼン)**
「でもまだ修行したいですぅ…」
**(アイアン)**
「子供みたいな真似するな、この変態が。まだ終わりじゃない。食事の後は魔法を教えてやる」
俺の顔が喜びで歪み、大きく笑みが広がる。
**(アイアン)**
「その前に話しておくことがある。食事しながら説明しよう」