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プロローグ:短い終わりの始まり

元不良の俺が異世界で最強になるまでの話


かつて不良だった俺は、仲間に裏切られ、命を落とした――

気づけば、剣と魔法、魔物が存在する異世界にいた。


理由も目的

だがこの世界も、決して甘くはない。


戦い、出会い、そして数々の選択。

拳ひとつでしか生きられなかった俺が、この世界で選ぶ道とは――


「ここで生きると決めた。だったら、俺のやり方で生きてやる」


今度こそ、誰にも負けない。



俺の名前は海堂右膳。誰もが楽な人生を送れるわけじゃない。俺の人生も決してバラ色じゃなかった。父親は俺が生まれる前に消え、母親を捨てた。俺には母親しかいなかった。




彼女はいつも優しく、カリスマ性があった。この世界で俺が愛した唯一の人間で、どんな困難があっても笑顔を絶やさなかった。




ある日、母親はボーナスをもらった。その金で生活を楽にする代わりに、俺の幸せを優先し、遊園地に連れて行ってくれた。俺は8歳で、赤信号で渡っちゃダメみたいな基本は理解できる年齢だった。




でも、帰り道で母親が買ってくれたボールを落とし、それが道路に転がってしまった。俺はそれを追いかけ、車が猛スピードで迫ってきた。母親は一瞬も迷わず、俺をかばった。結果は惨劇だった。




幸い、死にはしなかったが、傷は重すぎた。危険が去っても、彼女は目を覚ますことなく、深い昏睡状態に陥った。俺の面倒を見られなくなり、親族の一人に引き取られた。周りは「あの男は良い人だ」と言ったが……




実際は、短気なアルコール中毒のクズだった。数週間後、本性を現し、毎晩俺を気絶するまで殴り続けた。誰にも助けを求められず、俺はただ耐えた。




7年後、暴力に飲み込まれたのか、虐待のせいで体は頑丈になり、力も強くなった。叔父の影響か、俺も短気で頭に血が上りやすくなっていた。




初めてのケンカは、クラスメイトが母親をバカにした時だった。俺は彼の顔が判別不能になるほど殴りつけた。1週間後、その話は学校中に広まり、近隣の学校まで知れ渡った。




その後、5人組のチンピラが絡んできた。リーダーは2歳上で、積極的にケンカを売ってきた。俺は望み通りに全員を殴り、リーダーは顔の穴全てから血を流すほど叩きのめした。




それ以降、周りのチームは俺に屈服し、ついてくるようになった。俺は「不良」と呼ばれる存在になった。毎日病院で母親に会いに行ったが、ある日、彼女の顔を見る資格がないと思った。




2年後、17歳の誕生日に病院から電話が来た。到着すると、医者は「もう機械で生かせない」と告げた。事故から9年経ち、彼女は二度と目を覚まさないという。




俺は彼女の死を看取った。ちゃんとした別れも言えず、涙も流せず、ただ巨大な罪悪感が胸を締め付けた。




病院の書類にサインし、夕方に遺骨を受け取って家に帰ると、あの男がいた。酒をガブ飲みしながら、俺が母親の遺骨を抱えているのを見て、にやついて言った。




「ようやくこのクソ女が金を食いやがったな。寝てるだけのくせに」




その言葉で俺の血は沸騰した。男はゆっくり立ち上がり、不気味で汚らしい笑顔で近づき、拳を振り上げた。




「お前もいつまで俺の金を食いやがるんだ、このクソガキが!」




腕を全力で振り下ろす男を見て、俺の頭は真っ白になった。




……そして、母親の笑顔を思い出した。




彼女は侮辱されるような人間じゃない。




俺は男の手首を掴み、全力で握りつぶした。鈍い「バキッ」という音と共に、男はバカみたいに叫んだ。




「うるせえな」




それだけ考え、俺は全力で男の胸元に拳を叩き込んだ。男は倒れ、呼吸が苦しそうだった。肋骨が折れたんだろう。




たとえ男を憎んでいても、この瞬間だけは思った。




「可哀想に、自業自得だ。苦しみを終わらせてやる」




そして、俺は男の顎を蹴り上げ、気絶させた。家を出ると、二度と戻るつもりはなかった。奇妙なことに、行き先は決まっていた。近くの小さな海岸——母親のお気に入りの場所だ。




そこで、ゆっくりと遺骨を海に還しながら、ようやくちゃんと別れを告げた。




……




それから1週間後、なぜか人々は俺を「ドンケンキ」と呼び始め、仲間の多くが離反した。今日は清算の日だ。元仲間の一人が敵対チームと手を組んだらしく、1日中探し回ってようやく見つけた。




俺を見た瞬間、彼は青ざめ、走り出した。




(右膳)「クソ……マジで嫌になる」




俺は全力で追いかける。地形は凸凹で障害物だらけだが、昔からパルクールをやってきたから問題ない。




(右膳)「待て!ムギノ!!」




怒りに満ちた咆哮。彼の名前は夏川ムギノ、16歳。俺たちのチームで最速の小柄な男だった……いや、過去形だ。俺が「ドンケンキ」と呼ばれるようになってから、彼を含む何人かが「狂人についていくつもりはない」とチームを抜けた。




別にいい。出たい奴は出ればいい。




だが、彼が抜けてから敵チームが優勢になり、原因は彼だという噂が広まった。だから追っていた。




逃げるということは、罪を認めてるようなものだ。捕まえなければ。




曲がり角で、俺は彼の笑みを見た。あの時、叔父が襲いかかる前にしたのと同じ表情で……ますます頭に来た。




無意識に、さらにスピードを上げる。




数分後、人気のないエリアに来たことに気づく。ムギノは廃工場に飛び込んだ。夕暮れで、全てが赤く染まっている。




(右膳)「なぜ行き止まりに?」




息を整え、不吉な予感と共に工場に入る。中は暗く、天井や壁の穴から赤い光が差し込んでいた。




周りにはガラクタ、箱、樽、シートが散乱し、中央にムギノが立っている。




(右膳)「ようムギノ、聞きたいことがある。けどまず、なんで行き止まりに逃げた? まるで俺をおびき寄せたみたいだな——」




言いかけて、ハッと気づく。振り返ると、入口のドアがバタンと閉まり、3人の男が鋼管を握り、ニヤニヤ笑っていた。




(右膳)「そういうことか、ムギノ?」




(ムギノ)「ああ!これでお前の暴力支配は終わりだ、ドンケンキ!!」




(右膳)「暴力で暴力を終わらせるか……皮肉だな。裏切り者くん、しかも他人行儀だ。友達だと思ってたのに」




ムギノは一瞬怯んだが、すぐに覚悟を決めて叫んだ。




(ムギノ)「今だ!計画通り!ライオンは檻の中、逃げられない!」




次の瞬間、俺は凍りつく。




25人近い男たちが箱の陰やシートの下から現れた。全員、鎖、鋼管、木刀を手にしている。




唇を噛みながら、打開策を考える。




(右膳)『脱出するには……全員倒すしかない』




構えを解き、腕を広げる。ジャケットの下に手をやり、腰に隠していたものを握る。




(右膳)『直球勝負が好きじゃないから使うつもりはなかったが……生きるためなら、そんなこだわり捨てる』




そして、声を張り上げる。喉が痛くなるほど、低く轟く声で——




(右膳)「死にたい奴は、かかってこい!!!」




両手に武器を握る。左手は軽量の戦闘ナイフ、右手はスパイク付きのブラスナックル。




右腕の男がくれたものだ。「いざという時の保険だ」と言われたが、俺は使うつもりはなかった。




でも今は違う。




(右膳)「ぐああああああ!!!」




叫びながら突撃する。




その夜、俺は越えてはいけない一線を越えた。




その武器で3人を殺し、最後には捕まり、工場の地下室に閉じ込められた。




翌日、敵チームのリーダーが現れた。戦いの時は姿を見せなかったクソ野郎だ。




(敵リーダー)「お前の全ては俺のものだ。負けだぞ、ドンケンキ。俺がこの街の王だ」




そして、俺の顔を蹴る。




その後3日間、様々な奴が殴り、蹴り、鉄パイプや鎖で俺を痛めつけた。飲み物も食べ物も与えられない。




3日目の夜、敵リーダーが再び現れ、分厚い鋼管を引きずりながら不愉快な金属音を立てて近づく。




(敵リーダー)最後の言葉を言わせてやるつもりだったが、どうやらお前は息もできずに死にかけているようだな。可哀想に…慈悲の一撃を早めてやろう。お前が殺した3人の代わりと思え。ああ、そうだ…お前を殺す者の名前は知りたいだろう?地獄で覚えておけ!俺は…龍堂達也だ!!!




彼は銃を高く掲げる。それを受ければ終わりだとわかっていた。時間がスローモーションのように感じられ、奇妙なことに恐怖も後悔もなかった。地下室の隅を見ると、ムギノが複雑な表情でこちらを見ていた。




「後悔してるんだろ?奴の助けで、俺より千倍も酷い奴が権力の頂点に立ったんだ。ざまあみろ」




頭を撃たれる前に、ただ一つのことを考えていた。




(雨善)「ごめんな、母さん…俺のせいで死んじまった。殺人鬼になったこと、母さんのために生きられなかったこと、記憶も守れなかったこと…全部すまねえ。母さんが死んでからたった10年で、俺も死ぬみてえだ。母さ…」




思考を終える前に、あの野郎が俺の頭を撃った。意識が途切れ、消えていくのを感じた―――



ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回の章では、主人公の〇〇が□□に直面し、少しだけ成長した姿を描いてみました。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


感想やフォロー、評価をしていただけると励みになります!

次回も頑張って書いていきますので、よろしくお願いします!


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