遊園地!?
・・・疲れた。
遊園地って、こんなに疲れるものだったっけ?
そんな俺の思っていることなど、もちろん知らない雅人は俺の隣を歩きながら、うれしそうな顔をして「楽しいですね。 さあ、次、どんどん行きましょうね。」と歌い出しそうな明るい声で言う。
「いや、俺は・・・。」
もう疲れたから休憩したい、と言おうとしていた俺の言葉を無視して、雅人は俺の腕をぐいぐい引っ張る。
「そういえば、ジェットコースター乗ってませんでしたね。 僕、絶叫系マシーン大好きなんです。 楽しみです。」
・・・。
雅人の言葉を聴いて俺は、顔を青くした。
・・・、ジェット、コー、スター、乗るのか?
ただでさえ絶叫系マシーン大嫌いな俺が?
想像するだけで吐き気がする・・・。
俺が顔を真っ青にしていると、雅人が首をかしげる。
「ゆうさん、もしかして、ジェットコースター、だめなんですか?」
この時、俺は素直にうなづけばよいものを何をどうしたのか・・・。
いや、ただ単に雅人に馬鹿にされるのが嫌だっただけなのだが、はっきりと断言してしまったのだ。
「はっ。 そんなワケねーだろ、俺が。」
と。
すると、雅人がくすくすと笑う。
俺が、それに気づいてムッとすると、雅人がいきなり顔を近づけてきた。
「え・・・、あ、ちょ、雅人!? ここ、他にも人がっ!」
キスされる、と思いギュッと目をつぶるが・・・。
「ゆうさん、違いますよ。 そんな、人前でキスしませんって。」
そう言って、雅人は俺のことを抱きしめる。
「!!?」
まあ、キスされると思っていたから、それよりいくらかマシといえばそうなのだが。
「てめっ、雅人!!! ふつー、人前で抱きつくか!!?」
俺は、思いっきり怒鳴り飛ばしてやった。
雅人は俺の怒鳴り声をきいて、ひとつため息をついて、俺を解放する。
「ゆうさん、声、でかいです。 逆に注目の的ですよ。 ・・・それにしても、人前で抱きつくなっ、てことは、人前じゃなければ良いんですね? 寮に帰るのが楽しみになってきました。」
・・・。
ようやく、自分が墓穴を掘ったことに気づいた祐樹だった。
「ま、それよりも今はデートを楽しみましょうね、ゆうさん。」
雅人がにこっと笑いながら言うと、ジェットコースターの列に並び始めた。
・・・そうだ、ジェットコースターも乗ると答えてしまったんだ。
いまさらながらも後悔する俺だったのだが・・・。
なんか、周りの人の視線が・・・。
俺は、とりあえずそれは無視することにした。
「気持ち・・・、悪ぃ・・・。」
俺はそういいながら、ふらふらとした足取りでジェットコースターを降りる。
そんな俺を、雅人は心配そうな顔で覗き込む。
「ゆうさん、ジェットコースター、だめだったんですか? 大丈夫ですか?」
「・・・、うっ。」
俺は吐き気を抑えながら首を横に振る。
「すみません、僕のわがままで・・・。」
雅人がうつむきながら悲しそうな顔をする。
・・・雅人、悲しそうな顔、すんなよ、こんくらいで。
俺のが悪い気がしてくるじゃねーか。
・・・それに、お前のその顔、可愛すぎだっての。
俺は、この時、相当ダウンしていたのだろう。
いつもなら、雅人をかわいいと思うと、すぐそれを否定するのに、否定することなく、逆にじっと雅人の顔を眺める。
「ゆうさん、とりあえずどこか座る場所を・・・。」
そういうと、雅人は俺の肩を支えようとするが、俺は「大丈夫だ。」といって、歩き出した。
「うぅ・・・。」
俺は気持ち悪さを我慢しながら、水を飲む。
レストランの中、俺は机に突っ伏していた。
「ゆうさん、すみません。」
雅人は申し訳なさそうな顔をして、俺に謝ってくる。
・・・それほど謝ることでもないだろう。
そう思いながら、俺は丹精な雅人の顔を眺める。
「雅人、そんな、謝ることじゃねーから。 10分もしたら直るし。 ・・・それより、雅人、お前、ホント顔きれーだよな。」
俺がそういうと、雅人は少しびっくりしたような表情を顔に浮かべる。
「・・・?」
俺が、そんな雅人に首をかしげると、雅人はにっこりとした。
「ゆうさんにはじめてほめられました。 うれしいです、ゆうさん。」
・・・。
俺はしばらく呆然と雅人を見つめながら思った。
まじで、こいつ、かわいいって。 俺、コイツのこと好きなんだなって。
このときの俺は、ジェットコースター酔いでどうかしていたのだろう。
「すきだよ、雅人。」
俺は、自分にしか聞こえないくらいの小声で呟く。
雅人は、俺が何を言ったのか聞き取れなかったのだろう。
「ゆうさん?」
と、俺を見つめる。
俺は、そんな顔をする雅人をいとおしく思いながら、「なんでもないよ。」と言う。
「そうですか。 ゆうさん、具合、まだ悪いですか?」
「いいや、もう大丈夫だよ、雅人。 ・・・ありがと、心配してくれて。」
俺がにっこりとした笑顔を雅人に向けると、雅人は俺に抱きついてきた。
「ゆうさん、こんなとこで僕を誘わないでくださいよ・・・。 ゆうさんに何かあったら心配するのは当然です。 それより、ゆうさんにありがとうって言われました。」
俺は普段なら絶対に「雅人!!! 何してんだ、てめっ!!!」と怒鳴り散らすのに、このときは何も言わずにただ微笑んでいた。
「ゆうさん、僕、うれしすぎます。」
そう言って雅人はより一層強く俺のことを抱きしめてくる。
俺は、絶対にジェットコースターに酔っていたんだ。
じゃなきゃ、絶対、そんなことはしない。
俺は、俺を抱きしめる雅人をやさしく抱き返していた。
うわー (汗
また、三日から五日という更新予定を破ってしまった。
・・・こんなんで大丈夫なのか!? 自分!!?
たぶんだめだろうね。
・・・自問自答です。
かなしいな、自分自身が・・・。
こんな馬鹿な作者ですが、これからも付き合っていただけるとうれしいです。
では。