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エレベーター!?

最近、ゆうさんに避けられている気がする・・・。


これは、ただ単に僕の思い込みなのだろうか。


それとも・・・。


―――ゆうさんに嫌われた。


僕の頭に浮かんだ考えを、僕は頭を振って頭の外へと追いやろうとする。


だが、いくら他の事を考えようと、ほかの事をして紛らわそうとしても


この考えは僕の頭にこびりついては離れない。


どうしよう、嫌われたら。


多分、その時、僕は終わるんだろう。


ゆうさんがいなければ、僕は生きてはいけないのだろう。


そう思えるほど、僕自身が驚くぐらいにゆうさんのことを好きになっていた。


一目ぼれなのに、ここまで人は人を好きになれるのか、と僕は一人感嘆する。




はじめて好きになった人は、男だった。


それも、単なる一目ぼれ。


僕は、自分で自分のことをバカだと思いながらも、同性なんて気にせずに


本気で手に入れにいった。


その手口は、少々強引だったのかもしれない。


けれど、僕は脈があると思った。


ゆうさんが、本気で拒絶することはなかったから。


僕は、これだけはなんとしてでも手に入れたいと思ったのは生まれて初めてだった。


その相手こそが、ゆうさんだった。


ゆうさんの事を、本気で好きで、本気で僕のものにしたい。


単なる一目ぼれから始まった恋だけれども、この気持ちは本物だった。




だけど・・・。


もう彼此かれこれ、1週間。


1週間も、ゆうさんと顔をあわせていない。


その理由は、僕にもある。


僕が、生徒会に入ることになり、色々と忙しくなってしまったからだ。


僕が生徒会の役員になるという話は、まだ皆には知られていない。


生徒会の役員を、この学校では先輩方が毎年選んでいるのだ。


そして、僕に白羽の矢が立てられたということらしい。




「はぁ・・・。」


僕はため息をつきながら、寮の自室へと向かう。



せっかくゆうさんと同じ部屋なのに、逢えないのならば、意味はない。


いや、同じ部屋と言うわけで、それだけでもうれしいし、他の男と同じ部屋になられるよりは


そばにいてもらったほうが、断然、安心できるのだけれども・・・。


やっぱり、ちょっと寂しい。


と、思ったりする。


1週間なんて、短いものなのかもしれないけれども・・・。


僕には、この1週間。


どうしようもなく長く感じられたんだ。


その上、ゆうさんに避けられているときた。


嫌われているのかもしれない。


僕は、そこのない不安に突き落とされる。


普段の僕ならば、こんな弱音は吐かない。


でも、ゆうさん関係では、余裕がなくなり、その些細な行動ひとつに一喜一憂したりしてしまう。


僕は自分の幼さに、苦笑いした。



いつの間にか、寮についた僕はエレベーターへと向かう。


今の時刻はお昼時の12時30分ぐらいだろう。


今の時間帯は、学生のほとんどは食堂にいっており、寮の中は静かだった。


人が見当たらない。


部屋にはキッチンもあるため、自室で料理をして昼食を食べるという人も


中にはいたりするのだけれども。


僕はエレベーターに乗り込んで、10階のボタンを押した。


エレベーターのドアが閉まりかけたその時。


「あっ、すんません、待ってください!」


そう言って、一人の学生が駆け込んできた。


着ていたのは体育着。


きっと仮入部にでも行っていたのだろう。


その学生は、エレベーターに走って駆け込んできたため、少し息を切らしながらも


「ありがとうございます。」


といって、顔をあげる。


「・・・っ!!」


相手が驚いているのとは逆に、僕の顔には笑みがこぼれてきた。


「ゆうさん、こんにちわ。」


僕が言うと、ゆうさんはそっけない態度で「おぉ。」と呟き、


うつむいて僕と距離をとる。


―――ドキッ


ゆうさんの態度に、僕は胸は跳ね上がる。


やはり、嫌われてしまったのだろうか?


そう思うと、胸が締め付けられるような錯覚へと陥る。


僕の顔から笑みが消えていく。


「ゆうさん。」


僕は、そう呟きながら、僕に背中を向けるゆうさんを後ろから抱きこむ。


「っ!? お、おい。 田中、やめろ!」


―――ズキッ


そんな音が耳に聞こえてくるかのように、僕の胸に痛みが広がる。


雅人って、1週間前には呼んでくれていた。


それが、田中、になっていた。


やはり、僕は嫌われていたのだろうか。


僕は、無意識のうちに更に強くゆうさんを抱きしめた。


「田中、苦しいって!」


そんなゆうさんの訴えは、僕の耳には届かずに、僕はゆうさんをただひたすらに抱きしめる。


「ゆうさん、僕のこと、嫌いになりましたか?」


僕は、空気に溶けて消えるかのような小さな呟きをもらした。


「え?」


僕は、嫌われてしまったものは仕方ないのだ、とエレベーターが10階に着くと共に


ゆうさんを解放して、歩き出した。


ゆうさんには迷惑をかけたくない。


ゆうさんの重荷にはなりたくない。


僕は、早足で自分の部屋へと向かう。


部屋の前に着いた僕は、指紋検証でドアを開けて部屋へと入っていく。


そして、僕の小部屋へと向かっていった。



「雅人!!」


いきなり声が聞こえると共に、右手首を掴まれた。


僕は、びっくりして思わず振り返る。


ゆうさんは、俺の目を見て口を開いた。


「1週間も避けてたのは、悪かった。 別にお前のことが嫌いってわけじゃないんだ。


ただ、遊園地で色々あって、しゃべりにくいっていうか、その・・・。」


話していくうちどんどん声が小さくなっていき、うつむき気味になる。


そんなゆうさんは、もごもごと口を動かさせたあとに「とにかく!」と、真っ赤な顔を僕に向けてきた。


「お前のことは嫌いじゃない! むしろ好きだ!」


言い切ったあと、ゆうさんは更に顔を赤くして「あくまで友達としてだからな。」と口ごもる。


その間、僕はただ驚いていた。



もごもごと、いまだに色々と呟いているゆうさんを僕は力強く抱きしめた。


もちろん、ゆうさんが苦しくない程度に。



「ゆうさん、好きです。 大好きです。」



ゆうさんは、真っ赤な顔でうつむくだけで、抵抗はしなかった。


お久しぶりです! 炎翠です!


更新、長い間滞らせてしまい、申し訳ありませんでした。


これからも、亀更新になってしまうと思いますが、お付き合いよろしくお願いします。

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