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この世界

 サナッタ・シティの最北に位置するこの街の水源地であるサナッタ・ダムに辿り着いた僕は、ダムの天端に降り立つ。


「さて、感覚的にはココで間違いないハズだが……」

 この場所から僕を呼ぶような感覚と強い憎しみを発しているは間違いないのだが、肝心の僕をココに連れて来た張本人の姿は、周囲を見渡しても何処にも見当たらない以上、警戒を怠る訳にはいかないので、注意深く周囲を警戒していると、ダム湖畔上で何がか動いているような気がしたので、湖畔上を注視する。


「あれは……人影?」

 満月の光で照らされた湖の中央には、満月がハッキリと映り込んでいるから、湖の上に人影があるのがハッキリ分かった。

 そしてその人影は僕の向かって湖の上を音もなく歩いてくる。

 そしてダムの手前まで来ると、人影はフワリっとゆっくり湖の上から浮かび上がり、月を背にして僕の目の前まで浮上する。

 人影が暗い場所から月光にハッキリと照らされる上空に浮かび上がった事で、そのシルエットが体系から素顔まで白いローブを身に纏い、姿を覆い隠した者が月夜に浮かび上がってきた。


「ようこそおいでくださいました。

 髑髏の闇騎士(ダークナイト・スカル)|様」

 穏やかな口調で僕にそう話しかけてきたが、音声自体は僕のように何かしらの魔導具を使って加工している為、声でコイツの正体を特定するのは難しそうだが、口調の感じからコイツは女性だと思われる。


「……こんな所で何をしている?」


「ここで貴方をお待ちしていました」


「こんな場所で僕に何の知らせも無しにか?」


「知らせなら出してますし、受け取っていますよね?」


「……言っている意味が分からないな」


「ああ、正確には貴方ではなくて『精霊神が知らせを受けている』っと言った方がいいでしょうか?」

 その一言を聞いて、コイツが精霊神を介して僕を呼んだ存在であり、これ以上シラを切っても無駄だ。


「……お前も精霊神を!

 いや、神遺物(ディバイン・レリック)を持っているのか?」


「そうゆう事です。

 しかし髑髏の闇騎士様は、神遺物同士は共鳴する事すら御存じないとは、まだまだ神遺物の知識に関しては浅いようですね」


「……」

 どうやら神遺物に関しては、相手の方が僕より造詣が深いのは間違いなさそうだ。

 そしてこの様子だと、どうやら今の所僕に対して何かを仕掛けて来る気はなく、コイツは「僕と話をする事を優先している」と判断したので、更なる情報を得る為にも話を続ける事にした。


「神遺物は共鳴するのか?」


「ええ。

 神遺物の覚醒が進めば共鳴現象を起こす事ができます」


「なるほど……態々そんな事をしてまで僕のこんな人気のない場所に誘い出した理由は?」


「少しお伺いしたいことがありまして。

 単刀直入に申し上げますと、髑髏の騎士様に世界を救う為に同士として、共に歩むお誘いを」


「世界を救う……だと?」


「はい。

 あなたはご存じないのかもしれませんが、この世界はゆっくりと滅亡へと向かっています」


「そんな馬鹿げた話を信じろと?」


「ふぅ、やはり大陸の中央に住んでいる方には、破滅の足音が近づいている事に気が付いていないのですね……残念な事です」


「何の根拠もない馬鹿げた話を信じる者が何処にいる?」

 世界が破滅に向かっているなんて馬鹿げた事を堂々と言ってくるなんて、コイツはロクな奴じゃないと思ったから

(……どうやらコイツは僕の予想していた相手ではない可能性すら出て来たな)

 そんな考えさえ頭に浮かんだ。


「根拠ですか……ではその根拠をお伝えする前にいくつかお尋ねします。

 元々この大陸は、いえ、この世界はどんな形だったかご存じでしょうか?」


「元々の形?」


「そうです」


「……確か今より”大きな形”をしていたという文研を見た事はある」

 僕らが住むこの世界、たった一つの大陸でもある”イノセントワールド”はこの世界における1000年の歴史において、始まりの頃は現在のように丸い形ではなく、もっと四角に近くて陸地が広かったという記録が残っている。

 だが1000年という歳月をかけて徐々に大地は端から海に浸食され、沈んで行った結果、この大陸は今の形となり、1000年前と比べて陸地の面積は半分近くになった。

 これがこの大陸事イノセントワールドの誰もが知る歴史だ。


「その通りです。

 それではこの大陸の先には海が広がっていますが、その海の先には何が広がっているのかご存じでしょうか?」


「エンドレスだろ?」


 この世界の海の先には、エンドレスと呼ばれる底の見えない果てしない崖があり、その崖に海は常に滝のように落ち続けているが、海が落ちた先が見える事はない。

 そしてエンドレスに落ちた者は決して助からないと伝えられており、色んな意味で「終焉」と言う意味が相応しい場所が、この世界の最果てだった。


「お前さっきからこの世界で当たり前の事ばかり聞いてくるが、コレが『この世界が破滅に向かっている根拠だ』っとか言ったりしないよな?」


「これは失礼しました。

 ですが髑髏の騎士様がどの程度この世界の真実を知り得ているのか、確認の為です」


「真実も何も、僕の言っている事は真実しかないだろ?」


「そうですね。

 あくまで一般に伝わっているレベルの真実ですが」


「じゃあ逆に聞こう。

 お前は何を知っていると言うんだ?」


「それはもちろん『本当の真実』です。

 この世界が本来の世界ではないという事すら知らない貴男に、全てを教えてさしあげましょう」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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