街を守る為に動き出す者達
「ウィルフレッド様、お待たせしました。
現時点でこちらに入っている報告を簡潔に纏めて報告します。
現状政令地区であるこのアーク・タウン以外の12の地域全てにおいて、謎の集団が各地域を襲撃しているため各地域から応援要請が出ています!」
「……やっぱり予想通りか」
周囲の地域から火の手が上がっている様子から、既にこの事態を予測していた僕は、アルフォンスの報告に対して特段驚きはしなかった。
(さて……この状況どう対応していくのが最も最適かな)
僕は己が今後どう動くべきか検討を始める。
まずは目の前の中央広場に関しては、まだ混乱が完全に収束した訳じゃないけど、僕の指示をこの場にいる人達が聞いてくれているお陰で、最低限の安全は確保されつつある。
そして次に欲しい情報は
「聖騎士隊の現在の動向は分かるかい?」
「先ほど聖騎士隊にも各地域から同様の救援要請が入り、聖騎士隊は現在地から最も近い最南端の地域、クリフト・タウンの応援に既に向かったとの連絡が」
「流石エレンだ!
行動が早い」
エレンの率いる聖騎士隊は、既に南側の地域の救援に向かったとなると、僕が次に出すべき指示は
「アルフォンス、アレを使ってしばらく僕の代理を」
「畏まりました。
して、フィルフレッド様がまず向かわれますのは?」
「僕はまず真東にあるグロスター・タウンに向かうよ」
「分かりました。
どうか無事に戻ってきてください!」
アルフォンスに見送られた後、周囲の人達から認識を阻害する闇魔法を展開し、僕は人知れず中央広場を後にする。
・・・
「そっちの状況は?」
「ハッ!
こちらも暴徒達の鎮圧は終わりましたので、コレでクリフト・タウンの暴徒は全て制圧完了です。
エレノア隊長!」
「ご苦労」
団員達と共にこの区域で暴れていた暴徒達を、多少手荒に鎮圧し終えた私は、次に西側の区域動くべきか?
それとも東側の区域に動くべきか?
その事で悩んでいる。
ここから東隣りにある区域は、私の生まれた”カムデン・タウン”があるのだけど、カムデン・タウンには我が家が誇るバーキン家の騎士達、それに剣術なら私と同等以上のお父様もいる。
だから東隣の区域の暴動はお父様達が鎮圧すると考えたら、私達が次に向かうのは西隣の区域となるパータソーン・タウンに向かうのが妥当なのは分かっている。
だけどカムデンの隣の区域であるグロスターは、最近区域の統治者が新しくなったばかりで、まだ様々な面で情勢が落ち着いていない区域であるため、このまま私達が西側に移動するには不安要素も多い。
だから私達は一端カムデンに向かって、お父様達バーキン家の騎士団にグロスターに向かってもらうように伝えるべきか?
それともお父様達がそろそろ暴徒の制圧を終えると踏んで、パータソーンに向かうべきか?
(出来れば今すぐ良い情報が入って、確実に西側に向かえる情報が入ってほしんだけど、現実はそんな都合よくないものね……)
こうやって悩んでいる間にも、多くの人達が危険に晒されている以上、私はどう動くか一個隊を指揮する者として決断しなくてはいけない。
「隊長!
アーク・タウンの中央広場から先程連絡が」
「内容は?」
「領主ウィルフレッド殿よりカムデン、グロスター共に暴徒の鎮圧が完了したため、このまま聖騎士隊は西側のパータソーンの鎮圧の手助けに向かって欲しい、との事です」
まさかの良いタイミングで、嬉しい知らせが入った!
これで私達は心置きなく西隣りのパータソーンに向かえる。
だけど同時に気になる事もあった。
「まだウィルに通信は繋がってる?」
「はい」
「貸して」
そう言って部下から通信機を私は素早く受け取ると
「ねぇ、ウィル」
「どうしたんだい?
エレン」
「グロスターの暴徒を鎮圧したのって……」
私の質問に対して、ウィルがどんな返答を返してくるのか?
そんな気持ちを抱いてウィルからの返事を待つ。
「ああ、髑髏の闇騎士だよ」
「……そう」
ウィルからの返事は最も強く予想していた事だったけど、当たってほしくない予想だった。
「エレン、君の言いたいことも分かるけど今は非常事態だ。
だから髑髏の闇騎士が例え素性の分からない者で、騎士として放って起きない存在だとしても、今はこの収束事態の収束を優先せてほしい」
「分かってるわよ、そんな事……
ウィル、聖騎士隊はこれからパータソーンに向かうから、ウィルは余計な心配しないで自分の仕事に集中して」
そうウィルに伝えた後、私は通信用の魔導具を切った。
(まさかあの忌々しい子悪党の行動が、今この瞬間だけは私達にとって最大の助けになってるなんてね)
本音を言えば、今すぐにでもあの気に食わない存在である髑髏の闇騎士の元に向かい、あの子悪党を成敗してやりたい気持ちが強い。
だけどウィルの言う通り、この街にとって優先すべき問題は別にある事は分かっている。
そうだと分かっていても、現状に対してため息が思わず出てしまうのは、やはり素性が分からない存在がこの街の”平和を守る為に貢献している”という事実が、個人的にどうしても気に食わないからだと思う。
(忌々しい奴め……この状況が収まった時に私の視界に入った時は覚悟しなさい)
私はそんな思いを胸に秘めつつ、隊員たちを引き連れてパータソーンに急いで向かった。
最後までこの話を読んで頂きありがとうございます。




