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前夜祭の裏で

 遂に死者(サルベイション)の日(・ソサエティカ)の前夜祭が始まりを告げたけど、皆の予想通り今年のサナッタ・シティの死者の日は、例年とは比べ物にならないぐらい盛り上がっている。

 これもルーサ・ルカ様が急遽参加する事が決まったから【絶対今年は盛り上がる!】って事は分かっていたけど、ルーサ・ルカ様はお祭りが始まる前から奉仕活動を始めた効果もあって、予想を遥かに上回る人がサナッタ・シティに訪れているから、今日はまだ前夜祭だというのに既に本祭が始まったかのようにこの街全体が大盛り上がり!

 街全体がお祭りムードの中だけど、私は銀青の(シーヴィング)泥棒猫(・コラット)となって、今日のターゲットであるカジノを遠くから見据えていた


「……よし、絶対に成功させてみせる!」

 私は今日の仕事を絶対に成功させるために、何度も下見の為に潜入しても一度たりとも誰にもバレなかった結果を信じつつ、今回の仕事に対する意気込みを口にした後、誰にも勘付かれないようにターゲットに向かって一気に接近する。

 そして何度も侵入の為に浸かっているダクトからカジノ内部に侵入した。

 下見を十分やっているからこそ、このダクトからの侵入ルートは警備の死角が最も多い事が分かっているから、私は迷いなくダクトを降りて天井裏に入り込んだ後は、金庫部屋目掛けて一気に天井裏を音を立てる事無く突き進む!

 そして何事もなく金庫部屋の真上に辿り着いた私は、こっそり作っておいた覗き用の穴から部屋の様子を伺う。


(警備の数は……5人)

 金庫部屋には、入り口の外も合わせて予想の範囲内である人数が警備についている。

 だけど金庫部屋の警備を任されているんだから、相手はそれ相応の実力を持った人が集められているのは間違いない。

 いくら私が短期間で強くなれたとは言え、果たして警備の五人を相手取って「私は警備の人間を無事に倒した後、奪う物を奪ってこのカジノから無事脱出する事が出来るのかな?」

 そんな不安が私の頭に思い浮かぶ。


「でも……やるしかない!」

 私は覚悟を決めて、警備のファミリーの人間達に奇襲を仕掛けようとした瞬間。


”トゥルルルル、トゥルルルル”


 金庫室に置いてある電話が突如鳴り出し、その音に一瞬気を取られてしまった私は、飛び出す勢いを失い出鼻を挫かれたような感覚になったので、奇襲を仕掛けるのを一端止めて再び様子を伺う事にする。

 今も金庫室に鳴り響く電話の音を聞いた警備の三人の男の内の一人は、鳴り響く電話に近付き受話器を取って通話を始める。


「はい、こちら金庫室……はい……分かりました」

 短い通話が終わると、男は受話器を電話に”ガチャリ”と戻す。 そして

「おーい、アベールにアイラン。 お前ら二人客に呼ばれてるらしいぞ?」

「はぁ? 俺等に客だって!?」

「一体誰よ?」

「さぁな?

 でも幹部が直接こっちに連絡入れて来たって事は『何かしらめんどくさい相手が来たから、こっちよりそっち優先しろ』って事だろ。

 とりあえずココの警備はいいから、応接室に向かってくれ」

 金庫室にいる三人が会話を終えると、三人の内の二人は金庫室から出て行って応接室に向かっていくのを確認した後


 ”シュタッ”


 私は金庫室に残った一人の警備の人間の後ろに、出来るだけ着地音を風魔法で殺しつつ地面に降り立った直後、思いっっっ切り勢いを付けた回し蹴りを、警備の人間に後ろから決めてやる!

 無防備かつ勢いの付いた私の蹴りの直撃を食らった警備の人間は、派手に吹き飛んだ後壁に”ドーン”と激突した後、力なく崩れ落ちていく。 不意打ちとはいえ一撃で相手を昏倒させることが出来たのは、嬉しい誤算だった!


 こうして私は倒すべき相手の内の一人をアッサリと片付ける事が出来たので、次に起きる事に対して礼性に対処する余裕が生まれたから、私が警備の人間を思いっきり壁に叩きつけた音を聞いて金庫室の外で待機していた警備員二人が、ドアを”バーンッ”と豪快に開けて部屋に入ってこようとしてるのは、既に風魔法”風の探知(ウィンド・サーチ)”で空気の流れを読んで予測済み!

 今まで自分が逃げる為に使って鍛えた魔法が、まさか攻撃の補助にも転用出来るなんて「馬鹿と鋏は使いよう」……じゃなくて「一芸は道に通ずる」っていう言葉通りだと実感した。


 そして私の予想通り部屋の外で待機していた二人の警備員は、勢いよく”ガン”っと音を立ててドアを開ける。

 それと同時に私は、二人の警備員の顎に死角から蹴りを一発ずつお見舞いしてやると、ガタイの良い警備員二人は白目を向いてその場で崩れ落ちた。

 正直警備の人間が減ったとは言え、こんなに上手く行くとは思わなかったけど、コレも戦い方の模範となってくれたエレンさんと髑髏の闇騎士(ダークナイト・スカル)のお陰だから、あの二人に私は感謝しながら周囲に脅威が無い事を風魔法で探ってみれば、今の所誰かがこの金庫部屋に向かってくる様子はない。


「じゃあ、さっさと終わらせますか」

 私は早速お目当ての金庫に手を掛けダイヤルを回し、ダイヤルの穴が合う位置を風の動きの僅かな変化を魔法で読み取りながら、ダイヤルを正しい位置に合わせていくと……


”ガチャリ”


 お目当ての金庫を破るのは、大した時間を掛けることなく成功した。

 破った金庫の中には当然金品が入っていたけど、今日のお目当ては何時も盗んでいる金品じゃない。

 今回は()()()()()を奪う為に危険を冒して金庫を破ったんだけど、目的の紙切れが大量に入っているのを確認した私は、思わず表情がニヤケてしまったのは

(これでやっとアーサニークファミリーに私が大打撃を与えてやる事が出来る!)

 そう確信したからだった。

最後までこの話を読んで頂きありがとうございました。

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