波乱の予感?
「本当にどうしたのかしら? あの子」
エレノアは何時も違う様子のマリーンを気遣ったつもりだったが、その結果マリーンが裏手に隠れてしまうのを見て「余程自分に気遣われたのが嫌だったのだろうか?」とでも言いたげな表情を浮かべていた。
「大丈夫だよ、エレン。
僕達だってあれぐらいの歳の頃は同じだったように、マリリンだって色々と思い悩んで素直に自分を表現出来ない時期なんだよ。 きっと!」
「つまり……あの子は思春期真っ只中って事かしら?」
「そうゆう事。
だから今までエレンに対して憎まれ口を叩いていたのに、エレンが優しく気遣ってくれたから、その事で今までエレンに取ってきた態度に関して、今頃少し反省しているのかもしれないよ?」
マリーンが裏手に回ってしばらく姿を見せないので、エレノアは未だに不安そうな表情を浮かべているのを見たウィルフレッドは、エレノアに「心配しなくて大丈夫」という旨を伝える。
ウィルフレッドの言葉を聞いて納得する様子をエレノアは見せはしたが、それでもエレノアはまだマリーンの事を気にする様子を見せる。
「今までの私に対する態度を反省してくれるのは嬉しくもあるけど、少し寂しいような気もするわね」
「そうなのかい?」
「だってあの子私が聖騎士だと分かっていても、平然と憎まれ口を叩いてくるじゃない?
大体の人って聖騎士って聞いたらちょっと距離を置いてくるんだけど、そんな様子を見せないで私に全力で突っかかってくるあの子との姿を見てたら、本気じゃないにしたってあの子が私と張り合おうとする姿勢は、私も何だかんだ言って嫌いじゃなかったのよ。
それに『もし私にもちょっと生意気妹がいたらこんな感じだったのかな?』なんて思ってたから、そんな生意気な妹みたいに思ってた子が成長する姿を間近で見れたら、嬉しいとも思っているけど」
「そうだったのかい!?
僕はてっきり割と本気でエレンはマリリンの挑発に乗って喧嘩してるのかと思っていたよ!」
「ちょっとウィル! あなた私があの子に対して本気出して相手してると思ってたの?」
「そりゃあ、あれだけ派手に店の中で暴れられてたら……ねぇ」
この店でマリーンとエレノアが小競り合いを繰り広げていたのを良く見ていたウィルフレッドは、エレノアの発言に驚きの表情を浮かべていた。
そしてエレンはウィルフレッドにそのように思われていた事に対して、遺憾の意を示す表情を見せたが、実際ウィルフレッドの言う通り店の中で何度も暴れてしまっているので、その事を突かれてしまうと下手に文句が言えないので、言葉に詰まっている。
「あ、あれはマリリンが思った以上にすばしっこいからで……
確かにあの子の生意気さには本気でイラっとした時もあったけど、それでも流石に聖騎士である私が、一般人相手に本気を出して相手するなんて、それは色んな意味で大問題になる事ぐらい私だって分かってるから、多少なり手加減はしてたわよ!」
「ごめん、ごめん!
まさかエレンがマリリンに対して、そんな想いを持って接していたって事を知らなかったから、つい思ってた事を口にしてしまったよ」
「もう、ウィルってば……まぁ、私もちょっとマリリンに対しては大人気ない対応をしてたな~……って思う時もあるにはあったから、そんな相手が急に心配してきたらマリリンに不要な警戒心を抱かせちゃったのかもしれないけど……
でも、今まで会う度に生意気言っていた子が、突如一切生意気言わなくなったら心配にならない?」
「……確かにエレンの言う通り何だかんだ言っても気にかけてる子が、突然態度が変えてきたら僕も変に心配するかも。
だけどウチの子猫は実は人見知りが激しいから、今まで小競り合いを続けてた相手から突然何の前触れもなく心配されると、どう対応していいか分かんなくなってるだけなのかもしれないね」
「そうね……ウィルの言う通りみたい。
現に今私はウィルの言う子猫ちゃんとの距離を縮めようとしたら、逆に距離置かれちゃってるものね」
***
エレンさんに顔を以前のように向ける事が出来なくなってしまった私は、一端裏手に避難している。
だけどその所為で今度は表にとても戻りにくくなってしまったので、今必死に「どうやって表に戻ろうか」と考えている。
「誰か別のお客さんが何か注文してくれないかな?
あっ……でもお客さん今エレンさんしかいないんだった!
こんな時に限ってお客さんの入りが悪い日だなんて、ツイてないなぁ……
はぁ、昼間は気分良く行動出来てたのに、夜になったらこんなに悩んで動きにくくなるなんて、今日は良い日なのか悪い日なのか良く分かんない一日だよ……」
いつまでも裏手であーだこーだ考えても仕方がないと悟った私は、意を決して表に出る事にした。
するとそこではウィルさんとエレンさんが談話する姿が目に入ったので、とりあえず私はこっそりカウンター内に入ると、洗った食器を片付けつつ二人の話に耳を傾ける。
「そういえば一後週間後に開催されるは死者の日の事だけど、今回は王都の【救世の会】から有名な神官様である水の聖女と呼ばれているあのルーサ・ルカ様が、祈祷を捧げに来てくれる事になったから、今まで以上に賑わうお祭りになりそうね」
「そうだね。
まさか開催二週間前なって突如王都からその連絡が入ってきた時は僕も驚いたし、その対応に追われてるよ」
「アハハハ……そこに関してだけは、ウィルも私も水の聖女様のお陰で仕事が増えるからありがたくはないわね」
「でも、そのお陰で街が今まで以上に賑わい活気づいてくれそうな流れになってるのは、本当にありがたいと思っているよ」
(え!? あの水の聖女様が!
ルーサ・ルカ様がこの街にやってくるの!!)
水の聖女と呼ばれているルーサ・ルカ様は、この世界唯一の教会である「救世の会」の神官様の中でもその美貌と慈悲深い心を持って多くの人達を、奇跡の水って呼んでる魔法で救ってきた神官様だ。
そんなルーサ・ルカ様は教会きっての人気者だけど、この大陸の至る場所で困っている人の元に訪れている忙しい人だから、滅多にお目にかかれない人なんだよね。
そんな有名人がこの街のお祭りで祈祷を捧げに来てくれるんなら、今年の死者の日にやるこの街のお祭りは凄い事になりそうな予感がするのは、私だって感じた。
最後までこの話を読んで頂きありがとうございました。
最近あんまり更新出来ていないので、この作品を読みに来ていただいてる方にはホントに申し訳と思っています。
次回更新はもう少し早めに出来るように頑張ります。




