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八年の軌跡とこれからと

「何事も自分の思っているようにはいかないね」

 家に帰る車の中で、これまで起きた事を思い返すとそう言わずにはいられなかった。


「そうですね……ですが人生とはそうゆう物です」

「そうゆう物か……アルフォンスにもあるのかい?

 自分の想い通りに物事が進まない時、イラついたり落ち込んだりした事って?」

「もちろんでございます。 若い頃に何度物事が自分の思い通り進めれなかった事を歯がゆく思ったか……まぁ、今思うと若気の至りというヤツですね。

 その経験を踏まえた上でウィルフレッド様に一つご忠告を!

 物事が思い通り進まないのと、物事がゴールに近付いているかどうかは全く別物です。

 ですから例え物事が思い通りに進んでいないと思っても、物事が自分の目指したゴールに近付いているのであれば、それは正しく物事が進んでいる証拠でございます。

 なのでしっかりと状況を見極める事は、常に忘れないでください!」

 僕より遥かに年上かつ人生経験も豊富なアルフォンスの言葉は、妙な説得力があった。


「そうだね……確かにアルフォンス言う通りだ。

 僕のやってる事は着実に僕が目指すゴールに近付いているから、僕はここまで来れたんだね」

 最近あまり物事が思い通りに進んでいなかったから、僕は少し現状に対して焦りを感じていたんだろう。

 だけどアルフォンスの言葉を聞いてふと思い直したら、確かに僕は【サナッタ・シティから悪党を追い出す】といいう目標を着実に進めてこれたから、この街に根付いた悪党が残す所モーリス・タウンを支配するアーサニークだけになったんだ。


 そしてそのアーサニークがモーリス・タウンで長年かけて築いた牙城も、いよいよ表から崩す準備も整ってきた。

 以前僕がエレンに、モーリス・タウンに滞在している騎士の不正を裏から告知した事で、モーリス・タウンの治安に対して本来なら大きく干渉する事が出来ない王国管轄の聖騎士が、モーリス・タウンの治安状況に介入を始める事になったのだ。

 そしてその件を切っ掛けにモーリス・タウンの行政の不祥事を少しずつ明るみになってきたので、僕の表の仕事である行政においても、今まで中々介入出来なかったモーリス・タウンに関する行政への不正行為に対する介入が始まったのだ。

 更に裏での活動でアーサニークの息がかかった人間達も、少しづつだけど法による裁きを受けさせ、その数を確実に減らしている。

 少しずつだけど確実に、アーサニークが築いたた牙城は表と裏の両方から崩す準備は整い始めている!


「ここまで来るのに八年か……長いようであっと言う間だったよ」

「そうですね、この仕事が終わってから、ようやくサナッタ・シティは以前の姿を取り戻すきっかけを掴めるでしょう」

 アルフォンスの言う通りだった。

 この街からアーサニークを締め出す事が出来れば、やっとこの街は以前のように悪党が街に蔓延る事がなかった【あの頃の平和な街】にようやく近づけるから、僕の目標の一つのゴールはハッキリと見えてきたのだ。


(だけど……僕にとってはこの後からが本番なんだ!)

 恐らくアーサニークを潰す前か潰した後に、この戦いの黒幕であり、僕にとっては真に復讐すべき相手である”秘密結社イルミナーテン”が本格的に動き出すだろう、と僕は読んでいる。

 そう、自分たちの隠れ蓑としていた兵隊達が居なくなれば、恐らく奴らも本腰を入れて僕の持つ神遺物(ディバイン・レリック)事、憎悪(ダークネス)()る闇(ヘイトレド)を手に入れる為に動き出すハズだ!

 そして奴らが神遺物を狙う目的も目星は付いていて、恐らくイルミナーテンはこの世界に八つあると言われる神遺物を全て手に入れ、この世界を自分たちの物にしようと目論んでいると、僕とアルフォンスは考えている。

 なんせ古い伝承に


【八つの聖遺物をその手にした者! 世界を統べる者となろう!!】


 そんな馬鹿げた言い伝えがあるのだけど、実際に八つの聖遺物の一つを運用してる僕でさえ

『八つの内の一つだけで他を圧倒出来る力を秘めているのだから、八つ揃えた時の力がどれほどが想像も付かないので、伝承が全く冗談に聞こえない』

 本気でそう思ったぐらいだから。


 そしてこれから本格的に戦う事になる強大な敵に挑む至って、この戦い出来るなら「誰も巻き込みたくはない」と僕は考えている。

 特に僕の事を未だに慕ってくれているエレンとマリーンだけは、絶対にこの先に起きる戦いに巻き込みたくない!

 だから僕がエレンの活躍を掠め取る様に動いているのも、マリーンの動きを監視しつつコントロールしようとしているのも、全ては二人をこれ以上危険な目に遭わないためでもあって、エレンが表で動く光の騎士だとするなら、僕は裏で動く闇の騎士となり、マーリンがこの街にとって貧しい物を助ける心優しい義賊であるなら、心優しい義賊が輝くための汚れ仕事は僕が全て引き受けるつもりだ。


 そう、僕はこの街を狙う巨悪と一人で戦う事を決意したからこそ、二人が僕の本当の自分勝手かつ醜悪な本来の姿を知って僕の事を恨んだとしても、僕はこの険しい茨の道を突き進むと心に誓った。

 だから僕の事を未だに慕ってくれてる二人には悪いんけど、僕はエレンともマーリンとも同じ道共に決して歩むことは絶対にないだろう……


 そう心に誓いダークナイト・スカルとして今日も活動を続けてはいるが、今日バーでエレンが【共に、騎士となって街を守る未来】について語ろうとした事や、エレンとマリンが追いかけっこしている姿を見たら、ほんの一瞬だけど今となっては決して叶わない未来を想像してしまった。

 そう僕とエレンが騎士となって街を守り、それを隣でマリンが隣で応援してる未来を……

 もはや叶う事のない夢だというのに、まだ子供の頃に思い描いた夢を諦めれていないから、そんなあり得もしない世界を想像してしまたんだろう。 もう儚い夢でしかない僕の姿を…

 いや、だからこそ僕は闇に紛れて活動する髑髏の騎士となって、この街とエレンとマリンを裏から守り、父と母を死に追いやった真の元凶に裁きを下す為、僕は闇の存在として生きる道を選んだんだ。

 今更自分がやってきた数々の罪深き行為を否定する気もなければ、自分が進んできた道を今更引き返すつもりもない。


(だから首を洗って待っていろよ……イルミナーテン!!!)



 そしてこの時の僕はまだ気が付いていなかった。

 それぞれ違う思惑で動いているようみ見える僕ら三人だけど、目指しているゴールは三人とも同じだという事に…

最後までこの話を読んで頂きありがとうございました。

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