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相性

”ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!!”


 私の放った光の球弾(シャイン・ボール)は、髑髏の闇騎士と呼ばれる悪趣味な格好したヤツに次々と直撃すると同時に、炸裂した光の球弾の音が路地裏に響き渡る。

 そして無数の光の球弾が着弾した場所は煙に覆われた。


「少し……本気でやり過ぎたかしら?」

 光の球弾がさく裂した場所で発生した場所の煙が徐々に晴れて来れば、私の光の球弾が炸裂した壁がボロボロになっているのが薄らと見え始める。

 あんな悪趣味な格好をした奴だったとはいえ、久しぶりに本気を出せそうな相手だったから、つい本気で攻めてしまったわね。

 そして私の光魔法で強化した蹴りを受けても凹みすらしなかった鎧を身に纏っていたとは言え、あれだけの球弾を受ければ無事では済まないハズよ!

 でも、民家の壁をボロボロにしちゃったのは、ちょっとマズかったかも……これでまた書く始末書が増えるんだろうな……


 本来なら()()より、私の光の光球を受けた相手が「まだ息をしているのか」を心配しなくては行けない気がするけど、”例え鎧は無事じゃなくても、鎧のお陰で中身は何とか生きてるでしょう”と、前向きに考える事にした。

 漸く煙が晴れ、奴がその場で崩れた壁と一緒に転がっている姿を確認しようと思った私は、先程まで煙が広がっていた場所に近付く。


「!! 奴の姿が何処にもない!?」

 しかし私の予想と違って、ヤツの姿は瓦礫と共に地面に転がっておらず、その場に転がっているのは瓦礫だけだった。

 しかも奴がこの場に居た痕跡すら残っていない。


(奴は一体……何処に?)

 そう思った瞬間背後に何かが動いた感覚を感じ取ったので、私は素早く剣を構えつつ咄嗟に後ろを振り向くと、そこには手に持った得物を振り下ろすヤツの姿が!


”ガギィィィィィンンン!!!”

”ドンッッッ”

「ッ、クソ!」

 何とかヤツの奇襲を寸での所で受ける事には成功したけど、受けるための姿勢が整っていなかった事もあって、今度は私がヤツに「お返しだ!」と言わんばかりに、壁に叩きつけられてしまった。


「お前……何故私の”光の球弾”を受けて無傷で居られる」

「……」

「……相変わらずだんまりを決め込むつもり?」

 相変わらず何も話そうとしないヤツに対して、私が恨めしくそう言ってやると、ヤツは私の問いに答えるように、突如地面に潜るように消えた!

 そして地面に潜る様に消えたかと思えば、今度は再び少し離れた場所からその姿を現す。


「なっ……属性八階位最下位の闇魔法で、そのような瞬時に移動出来る魔法が存在するなんて……そんな闇魔法があるなんて聞いた事がないわよ!?」

 見た事も聞いた事もない闇魔法を見た私は、思わず叫ぶようにして目の前の漆黒の髑髏の意趣が施された鎧を纏ったヤツに尋ねてしまうが、ヤツは再びだんまりを決め込む。

 その姿勢はまるで人の事をまるで小馬鹿にするような姿勢に思えたから、私は苛立ちを感じてしまう!

(一体何なのコイツ?

 私の攻撃は簡単に受け止め、悉く躱すし、初めて見る魔法を使ってくるし……本当に一体何者なの?)

 この時私は、目の前に居る存在が「得体のしれない危険な存在」であるという事を、漸く認識した。

 それと同時に、どうして王国騎士団が【この異様な存在を何としてでも捕らえるように私に命じたのか】

 その理由を漸く理解するのであった。



(どうやらやっと()()()()に乗ってくれたようだね)

 僕はエレンの前で、あ()()()エレンの光の球弾を躱した種を明かしたけど、ソレを見たエレンは驚きの表情を浮かべると同時に、僕の態度に対する怒りを顕にしていた。

 エレンは昔から遭遇した事がない事態が起きると、冷静さを失いやすい性格だったから、僕があえてエレンが”気に食わなさそうな行動”を続けてみると、案の定エレンの冷静さを失い始めた。

 後はその隙に退散しようと思ったけど、昔と違って冷静さを失い始めてもそこまでの隙は見せてくれないので、エレンの精神的成長を強く感じた瞬間でもあった。

 だけど()()()()()()()()()という事は、僕はエレンとの戦いにおいて【あの頃のように僕が事を有利に運ぶ術】が、まだ通用する証でもある。


 さて、先程エレン僕の魔法みたエレンが驚きの様子を見せていたけど、本来この魔法は影の中で移動速度を上げる”影移動(シャドー・ムーブ)”という闇魔法の基礎のような魔法だ。

 だけど僕の纏っている神遺物(ディバイン・レリック)である闇の憎(ダークネス・オブ)(ヘイトレド)の力で、実は移動範囲が”影から影”に広がっただけである為、影の中の移動するというこの闇魔法効果事態は、発展元から一切変わっていない。

 だけどエレンは、この魔法を新しい魔法だと勝手に勘違いしてくれたみたいで、尚且つこの程度の魔法を見て焦りを感じてくれるなら「今後も僕の力をある程度隠したまま、エレンとの戦闘はやり過ごせるのかもしれない」と思った。


 更に言うなら、先程エレンの放った光の球弾も実際は全て交わした訳ではなく、それなりの数を食らっている。

 だけど、僕とエレンの持つ魔法属性”闇”と”光”の属性関係が相反関係の属性である以上、実はお互いの魔法の無効化を狙うだけなら案と簡単なんだ。

 要は光魔法の直撃を受ける前に、光と相反する属性である闇の魔力を纏っておけば、光魔法は相殺出来るためほぼノーダメージで済む。

 最も闇属性は、影や闇の中でないと中々その特性を発揮できない物が多いから、扱える魔法の殺傷能力が低い魔法ばかりだった為、遥か昔起きた世界大戦の名残で()()()()()()()()()に認定されてしまっている。

 だからと言って相反する属性関係自体は自然の摂理である以上、最下位と最上位の差を突けようとも覆る事は無い。

 要はマファイとクズ騎士達を揃えてエレンを差し出した時に、僕の魔法を使った搦手が悉くエレンにバレたり、お互いの魔法をお互いが簡単に払い除けたり受け止めれたのは、全ては属性相性が相殺関係である以上、お互いの魔法を簡単に相殺出来るからだ。


 そして僕は、子供の頃から模擬戦でエレンに対して一度も負けた事が無かった。

 僕とエレンが相反属性だったから、魔法による優越をほぼ無くせば剣の腕が単純にあの頃は僕の方が上だった事もエレンに負ける事がなかった要因の一つだったけど、僕は子供の頃に相手に攻撃したり、自分の盾代わりになる闇魔法を一切使えなかったから、エレンは僕がエレンの魔法を相殺している事に気が付いていなかったんだろう。

 どうやらエレンは、相殺関係にある属性持ちとの戦闘経験が薄いまま聖騎士になってしまったようだけど、そのお陰で未だに僕のアドバンテージが活きているのは嬉しい誤算だった。

(さて、エレンには悪いけどそろそろ僕もこの場から去りたい理由があってね。

 そろそろこの戦いも幕引きといこうか!)


”シュッ”


 僕はエレンに向かって、闇の魔力で作った斬撃を飛ばした。

 そしてエレンに向かって飛んで行った斬撃は、エレンの目前に辿り着いた瞬間エレン剣による一振りで簡単に消失する。

 そして僕の飛ばした斬撃魔法を切り払ったエレンは、僕との距離を再び詰める為に僕に迫ろうとしていた。

「……甘い」


”ジャラジャラジャラ”


「ちょっと! なっなによコレ!!」

 突然現れた鎖で体を拘束されたエレンは、驚きの表情を浮かべている。

 そしてエレンを拘束する鎖の正体は、僕が斬撃の影に隠れて飛ばしておいたチェーンアックスの中に仕込んである鎖で、先程飛ばした闇魔法の中に仕込んだ鎖も、エレンが冷静な状態だったらきっと気が付いていたんだろう。

 だけど今のエレンは怒りで冷静さを欠き、注意力が散漫になっている!

 だから普段なら気付けたかもしれない仕込けに、気が付けなかったんだろう。

 きっとこの光景を師匠に見られたら、僕の戦法も含めてエレンと一緒に師匠から

「騎士にあるまじき行為だ! 馬鹿者共め!!」

 と説教されると同時に拳骨が飛んでくるんだろうな……

 そんな懐かしい人を思い出しつつ、この状況に当てはめてしまったのは、きっとこのエレンとの戦いは、僕にとって騎士なる為の修行に励んでいたあの頃のように【充実した瞬間】だと思えたからなんだろうね。

 そして僕は、捉えたエレンを力任せに思いっきり手繰りよせると


(元婚約者にこんな事をするのは気が引けるけど……僕にだって譲れない物がある!)

 そんな申し訳ない気持ちと自分の信念を抱きつつ、僕は元婚約者を木箱が積まれている場所目掛けて放り投げる!

 僕の手で豪華にに放り投げられた元婚約者は、豪快に積まれた木箱を派手に


”ドッカーン”

 と吹き飛ばした後、崩れてきた木箱の中に埋もれてしまった。

 自分で投げ飛ばしといて何だけど、ぼくはエレンの無事を祈りつつ、そのままエレンを投げ飛ばした勢いを利用してこの場から速やかに離れる。


 (さて、思ったよりエレンから逃げるのに時間が掛かってしまったけど、()()()()()はまだ補足出来る範囲に居るみたいだ)

 実は僕とエレンの戦いを、只一人遠くから見物していた人物がいた。

 恐らくその人物こそ、このモーリスタウンでの闇に紛れた活動においては、僕より先に「マファイ達に喧嘩を売っていた」とされる闇に紛れて悪と戦っていた”先駆者”なんだろう。

 以前からその先駆者が()()()()()()()()興味があった僕は、その人物を知るタイミングを逃さない為にも噂の人物の後を追うのであった。

最後までこの話を読んで頂き、ありがとうございます。

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