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闇が表に立つ時

 屋敷に戻った僕はアルフォンスと共に、僕とアルフォンス人しか知らない秘密の部屋に入った。

 この部屋は、僕が裏の人間となって悪党と戦う事を決めた日から、アルフォンスが得意とする魔法八階位第4位属性”鋼”魔法で作り上げた特殊な部屋だ。

 この部屋は主に神遺(ディヴァイン)(・レリック)に関する研究や街の裏情報、そしてイルミナーテンに関する情報といった「決して表沙汰に出したくない情報」を取り扱う部屋であると同時に、神遺物を研究する過程で生まれた様々な魔導具を隠す部屋でもあった。

 僕は今まで作った試作魔導具を手に取り始めるが、どうも今後の目的の為に使うには”イマイチインパクトが欠ける”気がした。


「アルフォンス、頼みがあるんだ」

「はい、何なりとお申し付けください」

「僕が今後派手に暴れる際に強い印象を残す為にも、目立つ武器を一つ作って欲しい」

 僕は今まで裏での活動の際、戦闘に関しては憎悪(ダークネス)する()(ヘイトレド)を装着した徒手空拳で戦っていたけど、それは基本隠密活動が中心かつ下手に武器を持って攻撃した方が”相手を殺めてしまう恐れ”があるから、武器を使わないようにしていた。

 しかし僕は、これから表舞台に立って派手に暴れ回る事を決意したので、どうせなら自分の印象をより強く残せる武器も欲しいと思った。

 そんな僕の願いを叶えてくれる人こそ、代々優れた鋼魔法の使い手を輩出している一族の末裔であり、その血筋を強く受け継いだ事で優れた武具を作り上げるセンスを受け継いでいるアルフォンスなのだ。


「既に神遺物の見た目で十分インパクトはあると思いますが、そうですね……それでしたら、装飾が派手な剣をお作りしましょうか?」

「悪くないんだけどね……それだとエレンとぶつかった際に、太刀筋で僕だとバレてしまう可能性があるから、剣意外でお願いしたい」

 体は未だに鍛え続けているとはいえ、以前はこの街どころか「この世界で一番の騎士に成れるかもしれない」と言われたのは、多少大げさなんだろうけど、かつての剣の師がそう言わしめた僕の剣の腕前は、独特の特徴がある。

 だから僕が剣を振舞っていた姿を知る物からすれば、いくら全身を甲冑で隠そうとも直ぐに気付くだろうから、剣がいくら過去に一番得意だった得物とはいえ、正体が露見しそうな相手が扱う訳にはいかない。


「でしたら、大鎌など如何でしょうか?」

「見た目のインパクトは絶大なんだろうけどね。 だけど室内戦闘において取り回しに難があるのが欠点だな。

 正直ショートソードぐらいの取り回しだと、室内戦も収納時も便利そうだけど、そうなるとインパクトが弱いよね?」

「なるほど……そう言った持ち運びの利便性等実用性も考慮するのでしたら、ライトアックスなど如何でしょうか?」

「ライトアクス……確かにあれならサイズの割に存在感も強いし、凶悪さもより醸し出せるかもしれないね」

 こうして僕がこれから派手に立ち回る際の武器として、ライトアックスをアルフォンスに作成してもらう事となる。


 そしてアルフォンスに武器依頼してから2カ月後。


「ウィルフレッド様。 依頼された武器、完成しました」

 そう言ってアルフォンスが手渡してきたのは、禍々しく悪趣味な髑髏の意趣が施されたライトアックスだったが。

 だけどこの禍々しさが、僕の依頼通りこのサイズにし「て僕の纏う憎悪する闇に負けない」ぐらいの威圧感を放っている。

 さっそく使い心地はどうかと思って軽く振り回してみるが、やはり手斧である以上、多少丈量バランスは独特の物となっている。

 しかしその事を踏まえても十分扱いやすいと思えるレベルの出来栄えなんて、流石アルフォンス制の武器と言った所だ。


「使いやすくて良い武器だね。 ありがとう、アルフォンス」

「気に入って頂けたのなら何よりです。

 そしてこのライトアックス、一つ仕掛けを施してありまして」

「そうなのかい? 見た目じゃ全く分からなかったよ」

「実は魔力を込めて”柄頭”が飛び出るように念じれば、柄頭を打ち出すと同時に柄の内部に収納されたチェーンが飛び出る仕組みとなっていますので、上手くお使いください」

 なるほど! ライトアクス以外の機能として、鎖付き鉄球としての機能も持ち合わせているのか。

 コレは上手く使えば相手の意表を突く武器としても使えるだけでなく、逃走や相手の拘束にも使えそうだ。


「まさかこんな機能まで付けてくれるなんてね! 流石は錬金の生みの親と呼ばれる『グノーワス一族』の末裔が作った物だ。

 僕には”素晴らしい作品”だとしか言いようがないよ」

「コレも代々オーウェン家が、我が一族の研究を懇親的に援助し続けてくれたお陰です」

 そう言ってアルフォンスが一礼を入れた姿を見た後、僕は早速アルフォンスの作ったライトアックス、いや、チェーンアックスとでも呼んだ方が良いかな?

 これから世話になる相棒を装着すると、闇夜の世界に飛び出した。


・・・

・・


「お前ら、ボサッとしてないで早くしろ」

(はぁ……ここ最近は本当に付いてない)

 俺がそう思うのも、つい最近同業者の一人が大きなヘマをやらかしたお陰で、アーサニークのクソ野郎は俺達の事に見切りを付けたのように一切連絡を取らなくなりやがった。

 オマケに同業者を捕らえた騎士達が、次に狙いを定めているのが”自分たちの首”だという情報が入った以上、その対策まで必死にやらなきゃならないってのに、部下共は危機感が足りないのかイマイチ作業に焦燥感を感じられない。


俺は益々イラついている。

「ザコニアム様~」

「どうした? 聖騎士達に何か動きがあったのか?」

「いえ~ しかしアイツ等、ウチらが産地偽装した物と本物の違いが分かんなくても、何としかしてウチらの元に捜査を入れる方法がないか必死に探してるみたいですよ~」

「そうか、なら当分は大丈夫だろうな」

 俺達の金儲けの方法は

【格安で仕入れた質の悪い品を、いかに高品質に見せ、高い金額を付けて売るか】

 なんで、特に中心として扱っている貴金属や絵画といった品物は贋作ばかりなんだだが


(贋作も俺の手に掛・か・れ・ば)

 俺は手に持っていた出来の悪い贋作の指輪に魔法を込める。

 するとこの出来の悪い贋作は、一瞬にして元となった一流品と同等の品へと生まれ変わる。

 これこそ俺達ザコニアム商団が得意とする技法で、商団員はそれぞれ得意とする魔法を使って様々な質が悪い物を高品質品に作り替えて売りさばく。

 この商売で俺達は莫大な利益を得ていた。

 オマケに魔法の効果という事もあって、俺らが偽造した物を偽物だとして暴かれないような魔法を仕組んでいるから、俺達がどれだけ偽造品を売ろうと俺達を捕まえれるヤツなんて、早々いない!


 そして俺達が捌いている商品全てに、保証として特殊な保存魔法を掛けつつ同時に偽造魔法を掛けている。

 実はこの保存魔法は、偽造魔法が解ければ品物の品質維持と称してかけてた保存魔法も同時に解除される仕組みとなっている。

 だからもし偽造バレて証拠を掴むために、偽造魔法が解除されたとしても「保証の為の保存魔法が解除されたから、一気に老朽化が進んだ」とシラを切れば相手はこれ以上何も言えなくなる。

 オマケにそこから俺達の痕跡を幾ら辿ろうにも、偽造魔法は二十、三十に掛けて魔力の痕跡から俺達を特定しようにも、複雑なルートを通して偽造魔法を掛けているから、決して俺達に辿り着けない仕組みになっている。


 だからこそ、俺様の商談は多少疑われる事があっても、結局調べる側が本質に辿り着けないから、いくら俺の商談が怪しいと思った所で俺の商談が偽造に関与しているという事にすら辿り着けない。

 そして隠れ蓑の一つであったイットリウム・カンパニーが三カ月前に壊滅してしまった所為で、俺達は以前以上に慎重に行動する羽目になってしまった。

 これも全部、王都からこの街に新たにやってきた聖騎士隊の所為だ!と俺は内心怒りを聖騎士達に向けている。


 そう思っていた頃、ちょうど()()からも「聖騎士隊が目障りな存在となるなら、後処理はどうとでもなるから遠慮なく消してしまって良い」通達は受けている。

 だから俺達ザコニアム商談の得意とする「社会的に敵を消す方法」でアイツ等を消す為の準備を、早速初めた。

 タダでさえこの街の一区域であるアーバントン・タウンに進出してから、正体が掴めない野郎に商売の邪魔をされてムカついていたし、お上連中から『何としても探せ!』って言われてるこの街の何処かに眠るお宝の在りかが全く掴めてない!


 そしてあの邪魔な聖騎士隊を潰す為の計画の進行状況が、どの程度進んでいるのか確認しようとした時


【ガッシャーン!!!!】


 突如窓が激しく破壊される音と共に、外を警備していた部下達が次々と俺のアジト何に飛び込んでくるという、意味が分からない光景が目に入る。


「い、一体何があった?」

 俺は大慌ててアジトに飛び込んできた部下に駆け寄り話を聞こうとする。

 そしてアジトに投げ込まれてボロボロなった部下が、息を切らしながら自分が飛び込んできた方を指差す。


「ど、髑髏のバケモンが……」

 そう言って部下が指さす方を眺めると、そこには漆黒の髑髏が禍々しい斧を振り増しながら、次々と外で戦っている俺の部下を、まるで子ども扱いするかのように一方的に蹂躙する姿が目に入った。

最後までこの話を読んで頂き、ありがとうございます。

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