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台頭する者

 この街にとって悲劇の抗争が終わってから3週間が経過した。

 僕はこの街の完全なる復興と復讐を果たす為に、僕はどれだけの罪を背負ってでも成し遂げる覚悟を決めた僕は、屋敷に引きこもるのを止めると同時に自分の目的を果たす為の活動を始めていた。


 まず街の復興活動の足掛かりとして始めたのは、決して僕が避けることが出来ない道であり、この目でしかと見るべき現実を知って受け入れる為にも、僕はオーウェン家の当主として名乗りを上がると同時に、この街「サナッタ・シティ」の新たな領主に正式に就任する必要がある。

 だから僕は、現在この街を構成する”13区域”を統治しているこの街の有権者達を僕の屋敷に招待して、僕がオーウェン家の当主とオーウェン家が代々務めるこの街の領主としての任を、父さんから引き継ぐ事を大体的に告げた。

 各区域を統治する有権者達からすれば、自分達より遥かに歳下かつ政の経験も知識も禄にない【僅か12歳の子供】が自分たちの上に立つなど、そう簡単に認めようとしないのが普通だと思う。

 だけど僕の当主と領主の就任宣言は、コレと言った波乱が特に起きる事も無く無事に終わった。

 というよりは、可能な限りそうなる方向に「上手く根を回しておいた」と言った方が正しく、特にブローウニン亡き後に表れたプリンストン・タウン二つの大きな問題を、僕が迅速に対応かつ解決した事が僕の台頭を大きく後押ししてくれた。


 まず、僕が領主としてそれなりの働きが出来る事を示す必要があったので、僕が壊滅させた「ブローウニン・ドラッグファミリー」に関する様々な事後処理を、僕がいち早く王国騎士達と協力しつつ率先して対応した。

 そうする事で僕は周囲の人間からすると

『一度は周囲の期待に押しつぶされ、現状から逃げはしたが、思い直して再び表舞台に舞い戻った青年』

 という、いかにも多くの人から好印象と捉えらる肩書を得た事で、多くの人間から信頼と実績を得れたのは様々な部分プラスに働いた。


 そしてサナッタ・シティは現在大きく分けると、元々この街に住んでいた有権者達の派閥と、この街の地域統治者から統治権を強引奪ってこの街に住み着いたマフィア達の派閥、要はこの二つ派閥が常に睨み合っている状況なのだ。

 ちなみにどちらの派閥が現状優勢なのかと言えば、未だに圧倒的武力を持って逆らう者を強引に従わせようとするマフィア達の派閥の方が、勢力としては優位に立っていた。

 だがそのパワーバランスも僕がブローウニン・ドラッグファミリーを壊滅させた事で、ブローウニンの支配していたプリンストン・タウンの統治者が不在となり、マフィア側が支配していた6つの地域の内の一つが統治者不在となったのだ。

 当然統治者が不在となれば次の統治者の座を巡って、何かしらの争いが起きたり、ひと悶着起きるのが政の定例だ。

 だけどこの件に関してはそもそも事を起こしたのが僕であるし、僕は父さんとアルフォンスの手伝いの一環で、この街の政務にそれなりに携わっていたから

「悪党という邪魔者が居なくなれば、後はどう動けば”プリンストン・タウンに元々住んでいた人達”から信頼を勝ち取れるのか」

 その事を良く分かっていた。


 要はプリンストン・タウンを”マフィア達に乗っ取る前の姿”に戻すように働きかけた事で、僕はプリンストン・タウンの住民から一気に信頼を得ることが出来き、その結果自然と大きな名声を得る事が出来たた。

 こうなればプリンストン・タウンの人達に、僕らの息がかかった人間を新たなプリンストン・タウンの統治者に就任させることなど容易い事で、これによりブローウニン死後の統治者問題も大した問題もなく無事解決し、同時にこの街に残留しているマフィア達の勢力も、大きく削ぐことにも成功する。

 おまけに謎の存在が、ブローウニン・ドラッグファミリーが壊滅させたという事は、マフィア側の勢力からすると

 『次は自分達にブローウニンを殺した者の魔の手が迫るかもしれない』

 この事実はとてもじゃないがマフィア側からすれば【捨て置けぬ大問題】である以上、奴らは嫌でも己の身を守る為にもマフィア派閥以外の統治者達と連帯を取る必要性に迫られる。


 おまけに名目上は「プリンストン・タウンの統治者宅で行われた大量殺人事件」として取り上げられているこの問題の情報共有が、直ぐに共有出来なかった原因も”領主不在の為に起きた連絡網の未確立”であった事が原因であり、偶々異変にいち早く気が付いて対応したのが”燐領の居る僕”という事になっている。

 本来ならこうゆう事態は各地域が協力し、役割をしっかり決めてから事態にあたる物なんだけど、これも領主が不在故に起きた事項と訴えておけば、マファイ側の派閥も”新領主の誕生”に関しては大きく反論する事が出来なかった。

 

 そして最も厄介な問題かつブローウニンが残した置き土産でもある、ブローウニンが魔法で作りだした”麻薬”の中毒者への対応と処置に関する問題があった。

 だけどコレも思わぬ形であっさりと片付いた事も、僕がプリンストン・タウンの復興を想像以上に早く進めれたので、この一件も僕の評価が大いに上がる事に繋がっている。

 本来魔法の効果とは、魔道具等何かに込めておかないと、魔法を使った者が死ねば魔法の効果の殆どは消えてしまう。

 だけど、ブローウニンが樹魔法で作った麻薬はブローウニンが死んだ後も消え去る事はなく、まるでブローウニンの置き土産のようにこの世に残り続けていた!


 何かに込められた訳でもなく、術者が死してなおこの世に留まり続ける魔法。

 つまり怨念の如く強い滞留性を持つブローウニンの麻薬は、単純に魔法として見た場合、禁術や呪術クラスの危険な魔法となる。

 だからこの魔法を簡単に解除するのは難しいと思われた。

 だけど僕がブローウニンから【相当な量の麻薬を嗅がされた】事を僕から聞いていたアルフォンスは


「でしたら、どうしてウィルフレッド様に中毒症状がみられないのでしょうか?」

 という疑問を口にしたので、僕はその際の状況を検証するためにも再び憎悪する闇を装着し、闇夜に紛れてある場所に向かった。

 僕が向かった先は「プリンストン・タウンの統治者宅で行われた大量殺人事件」を処理する為に未だこの街に駐留している王国騎士達の拠点だった。

 実はブローウニンの作り出した麻薬は、とっくに全て押収し終えていたため、僕は仕方がなく麻薬をくすねに行く羽目となり、またしても憧れの存在を前にして『咎人』として罪を重ねる事をする羽目になる……


 だけど、これがアルフォンスの言っていた「己の正義を成し得る為に、周囲から非難され、罪を犯してでも成し遂げる覚悟」なんだと嫌でも実感する事になり、僕が進み道の険しさの一端を知る事にもなった。

 こうして麻薬の一部を無事に持ち帰った後、憎悪する闇を装着したまま麻薬を吸う羽目になるんだけど、正直マトモな感性を持っていたら

「誰が好んで、悪夢を見せてくる物を吸おうと思う?」

 そう本気で考えてしまったので僕は麻薬に対して大いに嫌悪感を感じてしまった。

 するとその際僕が手に持っていた麻薬が、闇に吸い込まれるように消えたのだ!

 この現象を目の当たりにした事で

「もしかしたらダークネス・オブ・ヘイトレドの力を使えば、ブローウニンの麻薬で中毒症状に陥った人達を救うことが出来るのでは?」

 そう思い至った僕とアルフォンスは、麻薬中毒者を救う活動も街の復興と同時進行でに始める事にした。


 そしていざ中毒者となった人達の元に向かい、中毒が改善されると称した薬を配りつつ中毒者の人数と所在を把握した後、夜中に僕が中毒者の元に訪れてダークネス・オブ・ヘイトレドの力で中毒者達の体内から麻薬を消し去る。

 正直二度手間が掛かりるし、やり方も回りくどいと思ったけど、アルフォンスから

「神遺物の存在を隠しつつ、より良くウィルフレッド様の印象を上げる為です」

 という助言を受け、確かにこうした方が神遺物の存在を明るみにする事もないし、中毒症状から解放された人達は”薬の力”で中毒症状が改善されたと考える。

 それに僕が住民一人一人と顔合わせながら薬を手渡す事で、より僕の印象が強く残るというのは間違いではなかった。

 こうして僕は、プリンストン・タウンの住民から絶大な支持を得る事が出来たのだ。


 こうして僕は領主としてデビューする前に「プリンストン・タウン復興の最大の立役者」という肩書を得た事で、僕がオーウェン家の習わし通り【オーウェン家の現当主が、この街の領主となる】

 その習わしに異を唱える者は誰一人居なかった。


 つまり僕は、自分の犯した罪を最大限に利用して、この街の新たな領主ための功績を得た。

 要はマッチポンプなんだろうけど、僕は自分の目的の一つを果たす為に必要な足掛かりを得る事に成功し、サナッタ・シティの新領主としては絶好のスタートを切る事となった。

最後までこの話を読んで頂き、ありがとうございます。


もし、この作品を読んで興味を持って頂けたのであれば、良いねや、ブクマ等で応援して頂けると幸いです。

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