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【第三部開幕】転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第二部 エルフ王国攻防編

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13. アンデルの陰謀

ジェイドの亡骸を抱えながら、僕は首都城門前に戻った。

城門前にはこの戦いで散っていったエルフ兵の亡骸が並べてあり、我が子や夫の亡骸を見て泣く親や母子の姿があった。

まだエルフ王国全土に広がった兵士の死体はあちこちに散らばっている為、これはほんの一部なのだろう。

横をチラッと見ると、エルフ王国最強の将軍、エルドレッド・サイフェンの亡骸もあった。

ということは、ケインとノーマンは無事──オロバスを倒したことになる。

でも複雑だ。

悪魔や魔族を退け勝利したのに、決して──勝ったという気持ちにはならなかった。

あまりにも失ったものが多すぎる。

これから国を再建するのにも、軍を再編するのにも圧倒的に人材が不足していた。

そしてあの王子ふたりだ。

戦いが終わって国民や兵士を労わないと行けないのに、この場に姿すら現さない。

国王は病気のため療養中と言ってたので公の場に出てこれないのは仕方ないとして、それでも──代理でこの場に出てくるのは当たり前だ。

しかも──あの二人余裕そうな表情は妙に鼻につく。

いや、エルフ王国の王族に限ってそんなことないか。

だって、エルフ王国は魔族を心の底から嫌っている。

万が一、あの二人がこの戦いにおいて裏でなんかしら意図を引いていたとしたら──

考えすぎか。

僕も疲れてるんだろうな。

僕は──ジェイドを助けられなかった。

ダンタリオンだけ倒しても意味が無い。

この力は誰かを守るために存在するのに、僕は人ひとり、誰も守れないじゃないか。

僕は────


「──様? ウィル様──?」


考え事をして俯いていたが、目の前にはシェナが居た。

相当酷い顔をしていたのだろう、シェナは心配そうに僕を覗き込んだ。


「シェナ…………。ごめん、守れなかった──」


「ウィル様は最善を尽くしました。誰もあなたを責めませんよ」


「でも──僕は……」


そっとシェナが優しく僕を抱きしめた。

シェナの温もりが身体に伝わってくる。

自然と頬から涙が流れた。

止めようと思っても止まらない。

僕は嗚咽を漏らしながら泣いた。


「亡くなった者は帰ってきません。生命はみんな死ぬ宿命です。でも──その生命を無駄にしない為に、私たちは生きていくしかないんですよ」


分かってる、分かってるんだ。

でも──自分の無力さが心を蝕んでいくんだ。


「それでも──僕は守れなかった……」


「全ての生命を守るなんて無理です。戦いに犠牲は付き物ですが、遺された者たちはそれでも生きていかなきゃいけないんです。戦争とはそういうものです」


「こんなの辛すぎるよ……」


「そうですね。シェナも心が引き裂かれそうです」


僕はひとしきり泣くと、そっとシェナから離れる。


「ありがとねシェナ。少し心が軽くなった気がするよ」


「それはなによりです。それと──皆様王城でお待ちです。早く向かいましょう」


「そうだね。行こうか──」


「はい、ウィル様」


フッと息を大きく吐くと、僕は王城に向かった。





王城内に着くと、謁見の間に通された。

謁見の間に通されたということは、エルフ王国国王と面会が許されたのか?

だが──謁見の間の玉座に座っていたのは、第一王子のアンデルだった。

他の人たちは玉座の前で整列していた。


「ウィル・トゥルメリア、ただいま戻りました」


「待っていたぞトゥルメリアの王子。此度の戦い、誠に大義であった」


「ありがとうございます。しかしながら──国王陛下はこちらにお越しにならないのですか?」


そう質問すると、アンデルの表情は明らさまに曇った。

聞いてはいけないことを聞いてしまったか?


「国王の体調は未だに優れないのだよ。エルフ王国が勝利したことを知らせれば身体も優れると思ったのだが、ことは簡単に進まないものだ」


「ウィル王子、アンデル兄様の言う通り、国王陛下は病床に伏せっており公の場に出てくることが難しいのです。ここは──」


するといきなり──謁見の間の扉が開き、ひとりの侍女が血相を変えて入ってきた。


「アンデル王子ッ!! 国王陛下がッ!!」


「謁見中だぞ。後にしろ」


「ですが──」


「──うるさいッ!!」


いきなり──アンデルは侍女の身体にラピッドファイヤを撃ち込んだではないか。

胸元を貫通すると、侍女は絶命した。


「アンデル王子ッ!! これはさすがに──」


「謁見中にも関わらず、余の言葉を聞かなかった侍女が悪い。これだから低脳は困るのだよ」


だとしても今のはやりすぎだ。

ただでさえ人材が不足しているエルフ王国なのに、今の内情を理解しているのか?

ただ──この絶命した侍女の血相を見る限り、国王に何かしらあったのは間違いない。


「フリーゲル総帥、国王陛下の部屋はどこですか」


「しかし──今は謁見中であり……」


「もしかしたら良くないことかもしれません。アンジェラ先生、案内してください」


「え、えぇ……」


「待てウィル王子ッ!! 今は謁見中であるぞ!! 国王の元には後で余が参る。貴様はこの場で待機していろッ!!」


だが、僕はアンデルの言葉に耳を貸さなかった。

やはり──おかしいと思ったんだ。

療養しているとはいえ、国が一大事の時に姿すら見せないのはおかしいと。

僕が国王だったら無理をしてでも兵を鼓舞するために公の場に姿を出す。

でもここの国王はそれがなかった。

アンデルは国王の話になると動揺した素振りを見せるし、今だって侍女の言葉に対してまともに取り合おうとしなかった。


「ウィル・トゥルメリアッ!! なんたる不敬、衛兵捕まえろ!!」


謁見の間に整列している衛兵が出口を塞いだ。

先程の戦闘で大量の魔力を消費し今は余力が無い。

いつもだったらこんな状況は直ぐに打破できるけど、正直──立ってるのもやっとな僕に、これはキツかった。

だが、思わぬ助け舟がやってくる。


「下がれ衛兵ッ!! 我々はこれから国王陛下の元に参る。フリーゲル・カリオペの命により、ウィル・トゥルメリア王子に触れることは許さんッ!!」


「フリーゲル総帥……」


「私にできることはこれくらいだ。ウィル王子、早く参ろう」


「わかりました!!」


「貴様らッ!! 第一王子の余に対して無礼だぞ!! 全員打首だ! 打首ぃッ!!」


だが、アンデルの言葉に従う者は誰1人居なかった。

それもそうだ。

侍女のあんな仕打ちを見てしまったら、誰だって言うことを聞かなくなる。

因果応報と言うべきか。


行く手を阻むものが居なくなった僕たちは、直ぐさま国王が療養してる部屋に向かった──

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