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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第二部 エルフ王国攻防編

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総合武術大会⑧

ニーナを抱えて入退場口に移動した僕は、ニーナを下ろし、オールヒールを唱えた。

だが──傷口やダメージは消せても、彼女が危険なことには変わりなかった。

おかしい──なにか変な魔法でもかけられてるのか?

しかも、酷く消耗しているのか、彼女は気絶していてこのままにしておくと命の危険もある。

オールリザレクションを発動してもいいが、それでは大部分の魔力を消費してしまう。

もし──ケインが負けた場合、ジェイドを止められるのは僕だけだ。

その時に魔力が無かったら洒落にならない。

早くなんとかしないと──


「ウィル様──」


他に敵が居ないか巡回していたシェナが戻ってきた。

ここに戻ってくるということは、他に敵は居ないってことだ。

単騎で乗り込んでくるとは、もっともあいつららしいな。


「良いところで戻ってきた。シェナ、元の姿に戻ってニーナの治療をしてくれないか? 僕はもしもの時の為に魔力を温存しておきたい」


ニーナが気絶して自分の正体がバレないと確信したシェナは、直ぐさま元の姿に戻った。


「それでウィル様、彼女に回復魔法をかければいいですか」


「いや──オールリザレクションを使って欲しい。オールヒールを使ったけど、一向に回復しないんだ」


「だとしたら、考えられるのは一つしかありません。ここは──シェナにお任せいただけないでしょうか」


「うん、わかった。僕はなにをすればいい」


「シェナがニーナのお腹を裂いてあるものを取り出すので、手を抜いたらすぐにオールヒールを発動してください」


お腹を裂くのか?

そうかそういうことか。

ニーナはジェイドに拷問を受けていた。

その時に、体内に魔核でも入れられたのだろう。


魔核とは──

魔族が協力な闇魔法を発動する時に使う、人工の魔法結晶のことで、魔族以外の種族が触ると人体に悪影響を及ぼす危険な代物だ。

しかし──近年噂では、魔核は触っただけなら悪影響を及ぼさないものが開発されたと言われており、任意で起動すると、魔核の中にある魔素が放出され、人体を犯すという。

もしかしたら、その魔核によって他の出場者も体調不良を犯したのか。

魔核によって魔素が放出され、体内で魔素溜まりが出来てしまう。

人間は魔素で犯されると最悪魔獣化してしまう危険性があるから、やつはそれが狙いだったのだ。

魔獣化してしまうと、並のハンターでは歯が立たない。

いかんせん──この王都セリカにAランク以上のハンターは全員出払っているし、質の悪いハンターはそもそも戦力にならない。

だとしたら、ニーナだけに限らず、棄権した生徒も魔獣化してしまう危険性がある。

早くどうにかしないと。


「ウィル様、それではいきます」


「いつでもどうぞ」


シェナはニーナのお腹を裂いた。

大量の血が吹き出し、内部までは見えないが、感触があったのか、シェナは魔核を引っこ抜いた。


「ウィル様──お願いします」


「あぁ、オールヒール──」


僕はオールヒールを発動し、ニーナの身体を回復させていく。

魔核が摘出されたのか、ニーナの容態は安定していった。

切り裂いたお腹も傷一つなく再生していく。

しかし──なんとも大きい魔核だ。

ゴルフボールくらいの大きさはあるだろうか。

濃い紫色で光沢がある。

こんなのが体内にあったなんて考えただけでも恐ろしい。


「大会に出た棄権者にも同じ魔核があると思う。おそらく魔獣化まで時間がないから急がないと」


時間とは残酷だ。

タイムリミットがきれてしまったのか、大きな爆発音が控え室から聞こえてくる。

それと同時に魔獣の咆哮が聞こえた。


「ダメだったか──」


時間が経ちすぎたのか、棄権した生徒のひとりが魔獣化してしまった。

魔獣化してしまうと、そこから元の人間に戻すすべはない。

もう討伐するしか選択はないのだ。


「魔獣の相手はシェナがします。ウィル様はニーナと一緒に一時退避をお願いします」


「いや──僕も一緒に戦うよ。こういう時は彼を頼った方がいいからね」


僕は念話を開始した。


『ノーマン、聞こえるか』


『はい、ウィル様。どうなさいましたか』


『保護して欲しい人が居る。こっちに来てくれないか』


返事も無しにノーマンが目の前に現れた。

ノーマンは神聖魔法が使えるわけではないが、テレポーテーションが付与されている魔道具マジックウエポンを携帯している。

距離は限定的だが、この王都全体と、ゼノ大森林の手前までなら移動できるらしい。


ノーマン──

ジェフリー・トゥルメリア国王陛下の傍付きの執事で、当時父さんたちとハンターをやっていた仲間のひとりだ。

戦闘スタイルは近接戦闘術で、父さん曰く──


『ノーマンと喧嘩はするな。あいつこそアングリーベアの大群を素手で倒せる男だ』


と、言っていた。

どんだけすごいのよ。

言葉から察するに過去に喧嘩でもしたことが考えられるが、どうせ殴り合いでコテンパンに負けたのだろう。

父さんらしいや。


「保護してほしい方とは」


「ニーナ・オースティン伯爵令嬢だ。頼めるか」


「かしこまりました。保護した後に再度戻ってきます。暫しのお待ちを」


「ノーマン、彼女の容態は不安定だから、くれぐれも丁重によろしく」


「分かってますよシェナ。ご忠告ありがとうございます。それでは──」


ノーマンはニーナをお姫様抱っこして消えた。

これで──僕も背中を気にせず戦える。

まずは魔獣化した生徒の鎮圧に向かいたいが、ケインは大丈夫だろうか。

僕はケインのいる方向に目を向けた。

だが──ケインは倒れていた。

ジェイドは勝ち誇ったかのように、ケインを踏みつけている。


「ケイン──ッ!!」


アンジェラ先生と父さんはなにを──

いや、ケインの援護は無理だった。

何故なら──魔獣化した生徒が闘技場の観客席から突き破って入ってきた為、その対処の為に交戦している。

さっきの爆発音はそういうことか。


「ウィル……すまない。ジェイドに歯が立たなかった……」


「いやいや──人間のくせに頑張った方だと思うよ? でも──ワタシの相手ではなかった。そういうことだ」


ジェイドには傷一つ付いてなかった。

状況から察するに、一方的な戦いだったのだろう。

このままではケインまでも、ジェイドに殺されそうになってしまう。

僕が今できることは──


「シェナ、ノーマンが来るまでひとりで魔獣の対処できるか?」


「シェナは、ウィル様が求めるものならなんだってお応えします。あなたの求める先に不可能はございません。もし──ウィル様がシェナを求めるならいつでも……」


シェナの頬が少し紅潮した。

そう言ってもらえて嬉しいけど、言われたら言われたでちょっと恥ずかしいな。

てか最近のシェナ、猫人族の姿になるとえっちなこと言わない?

気のせいですか?

あ、すみません。ノンデリ発言でした。

忘れてください。


「ありがとうシェナ。でも──今は気持ちだけ受け取っておくよ」


シェナがプクっとふくれっ面になるが、気にしないでおこう。


「それじゃ──頼んだよ。でも無茶はしないように」


「ウィル様のばか……」


「えっ? なんて?」


「なんでもありません。ご武運を」


そう言うとシェナは魔獣の方に向かって行った。

一刻も早くジェイドを鎮圧して、他の棄権した生徒に埋め込まれている魔核を回収しないと。

このままズルズル行ってしまったらもっと状況が悪くなるだけだ。

僕は抜刀して、ジェイドの元に向かった。


「ようやく来てくれたな、ウィル・グレイシー。いや、こう呼ぶべきかな? ウィル・トゥルメリア──」


「好きに呼べばいいさ。ジェイド・マーセナス。いや──どこぞの悪魔さん」


「そうか気づいていたか。まぁ、最後のほうは隠す気なんてなかったからね。バレても仕方ない」


「お前は一体──誰だ」


ケラケラと笑っている悪魔だったが、急に真顔になった。

僕は反射的に構えた。


「ワタシはダンタリオン。頭の良い悪魔だよ」


ダンタリオン──

知略に長け、あらゆる学術に精通している悪魔。

色んな顔を持っているとされており、人間の嘘や隠し事をなんでも暴いてしまう。


こいつが打倒派の中枢を担っている悪魔なら、おそらく──ベリアルと協力関係にあったことは間違いない。

だとしたら、僕の情報を持っていることは納得だ。

悪魔は一枚岩ではないし、仲の悪さだって垣間見えるが、共通の目的があるならば、棲み分けをキッチリして協力し合うのだろう。


「にしては、単身でここに来て、人間を魔獣化させて大暴れしてるけど、少し直情的すぎやしないか?」


「分かってないなぁ。これだから人間は頭も悪く魔法の才も無い生き物なんだ。本当──ベリアルが負けたのが不思議なくらいだよ」


「あの三下か。そこまで強くなかったな」


「三下……フフッ。少し納得してしまうことに悔しさを覚えるが、ワタシたち悪魔は人間を殺すなんて馬鹿なことはしないさ」


そう──悪魔は人間を殺さない。

悪魔が糧にする人間の負の感情が無くなれば、悪魔という存在は消えてなくなってしまう。

殺さず日々のストレスで負の感情を膨張させてくれればそれでいいのだ。

中には人間の苦痛や悲痛を糧に拷問する悪魔も居るが、それがこいつ、ダンタリオンなのだろう。


「劣等種には劣等種なりの使い道があるんだ。殺されないだけマシだと思え。だが──ウィル・トゥルメリア、お前だけは別だ」


「僕だけ別?」


「あぁ、お前は偉大なる御方の器──ワタシの道楽の玩具おもちゃになって欲しいが、そうはいかない。欲しいものは徹底的に買い叩き、その後徹底的に調教するが、お前を弄んだってことがバレたらワタシの立場が危うくなるからね。今回は我慢というわけだ」


何が言いたいのかさっぱり分からないが──要は、僕がその【偉大なる御方】というやらの大事な器だから、自分の道楽に付き合わせる訳にはいかないってことでいいのかな?

だとしても──こいつは色んな人たちを不幸にし、人間を魔獣化させた。

その罪は重い。


「どうせ話していても君のことなんてさっぱり理解できないから、倒させて貰うよ」


「大丈夫、そのうち理解するから。そのうちね──」


ダンタリオンの不敵な笑みがこだました──

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