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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第二部 エルフ王国攻防編

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実家へ帰らせて頂きます②

トゥルメリア魔法学院に入学して早3ヶ月半、今は夏休みのため実家に帰省している。

シェナとアンジェラの護衛付きで帰省しているのだが、15年慣れ親しんだ故郷に帰るのは妙な心地良さがある。

自分の無駄に広い部屋に入ると勉強机とベッド、本棚はそのままになっていた。

僕が居ない間もメイドたちが清掃していたのだろう、ホコリひとつ無い綺麗な様だ。

まだ3ヶ月半しか実家を離れていないのに、もう何年も帰ってない気持ちになった。

それもそうだ──

15歳で成人して王都セリカにあるトゥルメリア魔法学院に入学し、悪魔ベリアルとの戦闘。

世界の滅亡を防ぐためにグレイシー家に預けられた、王家の人間で……。

なんとも濃い3ヶ月半だった。

でもずっと──僕はグレイシーの人間じゃなかった。

それなのに、ここの人たちは僕を本当のグレイシーの跡取りとして迎え入れてくれて、分け隔てなく接してくれた。

僕はずっと誰かに守られてて、誰かの愛を受けていて、恵まれた人生だよね。

退屈だってしないし毎日が刺激的で学びや発見がある。

前世だったらこんなこと思わなかったな。

でもさ、今ふと思ったんだけど──もし僕がグレイシー家からトゥルメリア王家に名を改めるってことになったら、グレイシー家の跡取りってどうなるのかな?

グレイシー家に他の子供は居ないし、かと言って父さん自身も昔家族と死別してるって言ってたし。

まあでも、父さんのことだから何とかするでしょ。

幼少の頃は寡黙で仕事人間のイメージしかなかったけど、実家を離れてから父さんを見ると、脳筋で戦闘が大好きで、口調の悪い元荒ぶれ者ハンターって感じがするし。

息子にはカッコイイお父さんを見せないとって演じてたのかな、そう考えたら面白くて笑っちゃうかも。


コンコン──


「ウィル──ちょっといいか」


僕の部屋に訪れたのは父さんだった。

なんともタイムリーな。

父さんのこと考えて笑ってました(良い意味でも悪い意味でも)なんて言ったら怒られそうだから黙っておこう。


「どうしたんですか? 父上」


「今日一緒にメシでもどうだ。ヘレンも久々に一緒にメシが食いたいそうだ」


「え? 母上も?」


「今日は体調が良いらしい。どうだ?」


「もちろん! 今日の楽しみが増えましたね」


僕の母さん、ヘレン・グレイシーは病気がちで身体が弱い。

家族で食事を共にするのは覚えてるだけでも数回くらいしかないが、母さんは病気がちでも笑顔を絶やさない明るい人だ。

僕も母さんのことは大好きだし、病気で中々一緒に食事が取れない母さんが今日は一緒に食事をしてくれるのだ。

こんなに嬉しいことはない。

今は定期検診で家を留守にしているが、夕食の時には帰ってくるだろう。


「ところでウィル、外のアレはなんだ」


「え? あ、あぁ……」


外では未だにシェナとアンジェラ先生が戦闘をしていた。

なんだかギャラリーも増えてるし盛り上がっている。

外の噴水はめちゃくちゃになってるし、誰も止める雰囲気ではないのが伺える。

てか──この二人の戦闘を止めるってなったら、命知らずの愚か者しか居ないだろう。

父さんも怒るよね……。

ちょっと額の辺りがピクピクしてるもん。

ことある毎にドゴンドゴンと爆発音がする。

我慢の限界になった父さんは、僕の部屋から身を乗り出した。


「ちょっ、父上、危な──」


「おいッ!! テメエら!! 人んちで何やってんだコノヤローッ!!」


「うるさいわねぇッ!! 邪魔しないでちょうだい!」


「女同士の戦いに水を差すなんて、空気の読めないダメな男ね」


「おいッ!! シェナ!! テメエなんて言った!!!!」


そのまま父さんは窓から飛び降りて二人の元に走って行った。

近付いてくる父さんにギャラリーは散り散りに退散していく。

ここ二階なのに平気で飛び降りるとか怖くないのかな。

僕だったらそんな真似、怖くてできないけどね。

二人を捕まえようと必死に追いかける父さんなんて放っておいて、僕は久々に近くの演習場に行こうかな。

今なら兵士のみんなが練習しているだろうし。

ここ最近──事情聴取とかで身体を動かせてなかったから丁度いい機会だ。

僕はその足で演習場に向かった──




「てええええいッ!! やあぁぁぁあッ!!!!」


僕は演習場に入ると、筋骨隆々で自らのアイデンティティを筋肉に捧げた漢たちが、10人組手を行っていた。

10人組手とは──ひとりに対し、10人がひとりづつ組み稽古をする稽古法で、武術の作法は何でもあり。しかし、魔法は禁止と己の肉体を極限までイジめ抜く、力と力のぶつかり合いだ。

もちろん──互いに本気でぶつかっているので、怪我人や気絶者が出るのは当たり前。


「ウィルの坊ちゃん。帰られてたんですね。でもここに来るなんて珍しいじゃないですか」


「カマル、久しぶり。久々に僕も身体を動かしたいって思ってここに来たんだ」


カマル・ボーゲン──

父さんの右腕で、この脳筋部隊……前線部隊の総隊長を務めている。

ちなみに──魔法で支援する後方部隊はトーマスが総隊長を務めていて、この二人が父さんの両翼の要と言っても過言では無い。


「ウィルの坊ちゃんが俺たちと組手をしたいなんて……おいッ!! オメエら!! ウィル様が組手してくれるってよ!!」


「「「「「うおおおおおおおおらああああああ!!!!!!」」」」」


え、ちょっとこの人たち怖いんですけど。

確かにこの筋肉自慢たちと組手は初めてするけど、こんなにも歓喜を上げるものなんですか?

みんな目がギラギラしてるし、骨鳴らしてる人も居るし、これって僕食われちゃうの? 食われるよね? 絶対。


「さすがにこの人数は相手できないから、5人くらいにできない?」


「何言ってるんですか、みんなウィルの坊ちゃんと組手する日を待ち望んでた奴らばっかですよ? たった50人じゃないですか。ウィルの坊ちゃんなら余裕ですよ」


何が余裕だ!!

僕の父さんならまだしも、僕自身素手で殴り合いをするのは苦手の部類なんだぞ。

しかも──手加減を知らない筋肉自慢の脳筋たちばっかだし、下手すりゃ僕死んじゃうよ!

ここに来るんじゃなかった!

まだトーマスに悪口言われてる方がマシ!!


「もしかして──逃げるんですか?」


は? 今なんて言った?

いくら父さんの部下だからって、その言葉は聞き捨てならないね。

煽ってるつもりだろうけど、僕は至って冷静だ。

良いだろう、乗った。


「カマル──自分が放った言葉の意味をしっかり理解して、くたばって後悔しろ」


「漢に二言は有りません」


僕は上着を脱ぎ上半身半裸になった。

この組手では、上半身半裸にならないといけない風習があり、武器は持ってませんよの意思表示になる。

漢たちのギラついた目が僕に集中する。

君たちに罪は無いが、僕を怒らせたのはカマルだ。

文句はカマルに言ってくれ。

しかし──ひとりずつ相手するのも面倒なので、僕は提案を投げかける。


「ひとりずつ相手するのは面倒だから、幹部以外の雑兵は10人ずつかかってくるといいよ」


「誰が雑兵だ?」


「ナメた口ききやがって」


「いくら総帥の子息だからって許さねえぞッ!!」


おお、いいね。

良い具合にプライドが傷付いてる。

確かに──子供ひとりに大人が寄ってたかって殴りにかかるのは見ててかっこ悪いし、とても見れたものじゃない。

だけど、戦場でそんなヌルい事は通用しない。

圧倒的強者は、年齢関係なく強者であり、例え大人が大勢立ち向かっても負けることだってある。

今からそれを教えてあげよう。


「ナメたことを言ってくるウィル様に思い知らせてやれ!! オメエらかかれぇい!!」


カマルの号令で、先鋒の10人が襲いかかる。

左の漢が先に殴りかかってきた。

僕はそれを避け、その漢に右ボディを入れる。

その次に右から来た漢が殴りかかってきたので、それもかわし、右腕をそのまま引き、その漢の顎にエルボーを食らわす。

正面から来た漢の左ストレートを体の捻りで避けると、そのままの勢いで後ろ回し蹴りを鳩尾みぞおちに決める。

吹っ飛んだ漢の死角からスライディングしてくる漢が襲ってくるが、それを軽く飛び簡単に避け、5.6人目の漢をソバットとアッパーカットで沈める。

スライディングして来た漢が僕を羽交い締めにしようとするが、逆にそれを利用し背負い投げをする。

一人で突っ込んでも勝てないと思ったのか、残りの3人が僕目掛けて殴りかかってくる。

右の漢のストレートをかわし、左の漢のストレートを左腕でガードする。真ん中の漢の攻撃が入る前に頭突きで後ろに下がらせて、右の漢にハイキック。左の漢にガードした左腕でそのまま顔面に拳を当てる。

最後に後ろに下がらせた漢に渾身の右ストレートを食らわした。


「まずは10人。次はだれ?」


「おい……嘘だろ……。一発も食らわず10人倒しただなんて……」


カマルの言う通り、僕は誰からも攻撃を受けていない。

むしろ、受けるほど相手の攻撃が早くないからだ。

10人で攻撃しようとしても、せいぜい僕に殴れるのは2、3人程度。

その2、3人の攻撃を避けて各個撃破すれば、こちら側にも勝機はある。

仮に、全員で攻撃しようものなら、僕を倒して寄ってたかって蹴りを入れるくらいしか攻撃はない。


そして──僕は、あっという間に48人の漢たちを簡単に撃破した。

もちろんここまで、一発も食らってはいない。

しかしながらここまで48人相手してきたけど、さすがに体力的にも消耗を強いられる。

限界ってワケじゃないが、最後に僕の父さんの右腕、カマルが控えてる。

どうせカマルは手加減しないだろうな。

カマルには本気だそう。


「さすがウィルの坊ちゃん、相当お強くなられましたね。しかし──ここからが本番です。」


「──で、次の相手は?」


「もちろん、わたくし──カマルが相手です」


「は? 最後の相手にはまだ一人足らないでしょ」


「もうそろそろ来られますよ、ウィルの坊ちゃん」


「──わりぃな。バカ二人捕まえるのに時間かかったわ」


「父上──ッ!?」


入口から父さんといがみ合いながら互いを睨みつけているアンジェラ先生とシェナが入ってきた。

まさか──最後の相手って……。


「あれ? ウィルじゃねえか。なに? 組手中?」


カマルに勝ったら、父さんと組手するみたいです──

本気で言ってんの?

あけましておめでとうございます!

今年もがんばって投稿して参ります!

宜しければ執筆のモチベーションになりますので、この作品のレビュー、感想、評価、X(rion_novel09)での拡散よろしくお願いします!

今年も『転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです』を、よろしくお願いします!

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