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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第一部 トゥルメリア王国編

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幕間のひと間 その7

ベリアルの圧が消えるのを察知した我は、すぐさま状況を確認すべく、地上にあるゼノ大森林に向かった。

戦闘があったのであろう場所に着くと、魔素溜りがあった痕跡と、僅かながらベリアルの魔力も残っていた。


「オールピュリフィケーションか。器が消滅するならまだしも、精神体まで完全に焼かれているな」


オールピュリフィケーションを食らったら悪魔の器は消滅するが、精神体までは消滅しないはず。

オールゲージを使われても、アイツほどの悪魔だったら簡単に逃げれると思うが一体どうして。

ベリアルの死に関する考察をしていると、アザゼルも到着した。


「バアル様──ベル兄死んじゃった?」


「あぁ。たかが人間が使う神聖魔法で消滅したらしい。だが──いくらアイツでも消滅するのはおかしい」


アザゼルはベリアルが消滅した箇所をくまなく調査した。

暫く経って、アザゼルは理解したかのようにフッと笑った。


「ベル兄もドジだねぇ。器が消滅する前に神聖魔法が付与された剣かなにかで、精神体ごと地面に突き刺さってる」


「だから逃げられなかったのか」


「しかも、いくつもの神聖魔法を行使してる。グラビティ、バインド、そして──逃げられないようにケージまで発動してるよ」


「そんなに行使してるのかッ!?」


ウィル・グレイシー。

偉大なる御方の器にすぎない彼が、同時並行で神聖魔法を行使できるなんて──

天使連中の中でも、上位の天使しか同時並行で神聖魔法を行使出来ないというのに。

我々は面倒なヤツを相手しているというのか。


「この力はお父様直々に加護を与えてる。このままじゃ奴らがこの世界を見つけるのも時間の問題」


「そうなったら、偉大なる御方が復活する前に奴らとの戦争を迎えてしまう」


折角──偉大なる御方の復活を目指したのに、とんでもない障害だ。

父上自らあの人間に加護を与えていたなんて、まさか──我々の計画は全て見透かされていたのか?

いや、そんなはずは無い。

地球という魔力が存在してない世界は、偉大なる御方の復活は不可能だ。

しかも地球は、テクノロジーや科学技術が進歩して、魔術などの非科学的根拠は淘汰された世界。

数少ない人間が住まう世界をようやく見つけ、偉大なる御方を復活させる算段がついたのに──これ以上、計画を遅れさせることは出来ない。


「なにか、なにか策はないものだろうか……」


「バアル様、どうしよう……」


いや──ベリアル、貴様は良い仕事をしてくれた。

お前を失うのは僅かながら悲しいが、これでお前も少しは浮かばれるだろう。

無能な悪魔でも少しは役に立つと証明したな。

感謝するよベリアル。


「アザゼル、この血を見てくれ」


「ん? ……もしかして、これはッ!!」


「あぁ、ウィル・グレイシーの血痕だ」


「これがあれば、わざわざ捕獲しなくても器を用意できるッ!!」


「ただ──器の本体が生きていたら、偉大なる御方の力

力は半減される。器を用意しても、ウィル・グレイシー本人を倒すことは変わりないがな」


「それでも、偉大なる御方なら簡単に捻り潰すよ。これで間に合うね」


「あとは時間との戦いか。アスモデウス──居るだろ」


我は彼女の名を呼ぶと、瞬時に姿を現した。

なにやら少し不満げだ。


「何か不都合でもあるのか」


「不都合って、私今攫ってきた人間のオモチャで遊んでるのに、途中で呼ばれて最悪よ」


「すまない、戻ったら続きをしても構わん。だが、それより──可及的速やかな案件だ」


「しょうがないわね。案件ってなに?」


「満月が欠ける日の夜に、エルフ族の従属または殲滅を命ずる」


「なんでエルフ族? あそこは人間とあまり関係がよろしくないじゃない」


「単なるリスクヘッジだ。もし──人間と手を組んだら、エルフの魔法は少し面倒だ。なるべく従属させたいが、無理なら殲滅しろ」


人間とエルフは、前に起きた魔族の侵攻で表向き形だけの国交を結んでいる。

そもそも両種族は争いが絶えなかったらしいが、その理由は正直どうでもいい。

父上の加護なしでも神聖魔法が扱えるエルフ族は、早めに味方に引き入れるか、根絶やしにするかしかないのだ?


「もし殲滅の形を取るなら、魔族も使え。多少なりともアイツらも戦力になるだろう」


「わかったわ。それじゃ、私行くわね」


そう言い残し消えようとするアスモデウスだが、なにか思い出したかのように、アザゼルに話しかける。


「そういえばアザゼルちゃん。あなたの子、元気にしてたわよ」


「えっ? そうなの? まだ生きてたんだ」


「酷いこと言うわね。中々面白い子だったから私勧誘しちゃった。もし私のモノになったら手出さないでね」


「お好きにどーぞー。ボクそういうのに興味ないから」


「冷たいわね。じゃあそうさせて貰うわ。ではでは──」


アスモデウスは地獄に戻って行った。

そろそろ我々も撤収しなければな。

長くここに留まっていると、エルフどもに察知されて面倒くさくなるからな。

なにせ──このゼノ大森林はエルフが神格化しているほど守りたい大森林だからな。

この場所は人間側に近いが、それでもエルフどもの察知能力はバカにならん。


「アザゼル、先に帰るぞ」


「りょーかーい。ボクももう少しで終わるから、終わったら帰るね」


我はアザゼルを残し、その場を後にした。

ウィル・グレイシーという人間──

なぜ──父上はそんな下等な種族に直接加護を与えたのだろうか。

そして、彼は一体何者なんだ。

悪魔をもほふる強さ。

ベリアルが消滅したことで侮ってはならない存在だと認識させられた。

だが──我々は偉大なる御方の為、崇高なる大義のため、ウィル・グレイシー、貴様を必ず──


「殺してやる──」



第一部

~完~

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