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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第一部 トゥルメリア王国編

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8. 退屈しない日常

「──オールリザレクション」


意識朦朧とし満身創痍の中、僕はこの魔法に賭けた。

オールリザレクション──

神聖魔法の中でも最上位に位置する魔法。

自身もしくは対象者の身体を暫く前の状態に戻す魔法だ。

生きている生物限定で、死者に施しても無意味なのだが、この魔法を使うにはかなりの魔力が消費されるため何度も使えないのが難点だ。


僕の身体はみるみる再生をしていく。

傷口は無くなり、静かなる終焉サイレントデスの効果も無くなってる。

やはり──この魔法は、魔力阻害系統の魔法に効果的だ。

かなりギャンブルだったし魔力もかなり消費したけど、死ぬよりかはマシだ。


「あ、ありえねえ……。親父が使うような魔法をどうしてテメエが使えるッ!! 」


「えっ? 神聖魔法が扱える人は誰でも扱えるんじゃないの??」


「抜かしたコト言いやがってッ!!」


何を言っているのか正直分からないが、動揺しているなら好都合だ。

僕はベリアルとの間合いを詰め、斬撃を繰り出す。

ベリアルも応戦するが、いきなりだった為、刀を弾いて間合いを取る。

間合いを取られた分更に間合いを詰めたが、ベリアルは応戦しようとしなかった。

今動揺している分──攻撃に対し応戦してしまうと危険だと、本能がそう察知しているのだろう。

しかし──オールリザレクションを使っただけでそんなに動揺するなんて、そんなに強力な魔法なのか?


「引いてばっかりだけど、戦わないの?」


「黙れ。少し作戦を練ってるとこなんだよ」


「何に動揺してるのか分からないけど、君を倒せるなら攻撃は緩めないよッ!!」


「ま、待てッ!!」


ベリアルの静止を聞かず、更に斬撃を繰り出す。

ベリアルは僕の攻撃を防ぐのに必死だった。


「これはどうかな? オールブースト」


オールブースト──

神聖魔法の一種で、攻撃速度、移動速度、斬撃や魔法の弾速が爆発的に上昇する魔法だ。

オールブーストを行使し更に攻撃の速度が増したのか、ベリアルは斬撃をかわしきれず、ダメージを負った。

ベリアルはその場に仰向けになって倒れ込む。


「ま、待て……待ってくれ……」


「待てと言って、待つ人がどこに居る。お前はそうやって懇願する人たちを己の道楽で殺して来ただろう」


「必要な死だった。オレたち悪魔が生きるためには、殺さなきゃいけない人間だっていんだよ」


「なら──母上の殺害は必要な死なのか」


「そうだぜ。アイツらがお前を渡さないから、見せしめに殺したッ!!!! お前を守っても全部無駄、無意味なのに、ガキ一匹に固執してオレに殺されたんだッ!!」


「だったらお前も殺されて文句は言えないな──」


「や、やめ──ぎゃぁぁぁぁぁあッ!!!!!!」


僕はベリアルの四肢に生成スキルで作り、神聖魔法を練りこんだ苦無クナイを突き刺した。

ベリアルの慟哭が響き渡る。

突き刺さった苦無の箇所から、黒い煙がジワジワと吹き出して霧散していく。

ベリアルの生命力が神聖魔法によって削られていく証拠だろう。


「やめてくれよウィル……そうだ、オレとお前で世界を獲ろう……そうすりゃ、お前を狙うヤツなんて現れない、お前の好きなままに生きられる……どうだ、悪くないだろう」


この悪魔は可哀想な奴だ。

自分が助かる為に人を誘惑して、この難を逃れようとしている。

そうやってザルガトスやスレブを誘惑して、自分の思うようにしてきた。

自分の感情が赴くままに──母上を殺した。

そしてこの悪魔は何も分かってない。

僕は今のままでも十分幸せだってことを。

退屈だった僕の日常は、転生して魔法に出会い、色んな人に出会って退屈じゃなくなった。

だから──僕はこの退屈じゃない愛すべき日常を守らなきゃならない。

害を成してくるのが悪魔なら尚更──


「悪いけど──君みたいな三下と手を組むほど、僕もヒマじゃないんだ。死んで懺悔するといいよ」


オールピュリフィケーションの詠唱を始めようとするが──ベリアルの目が紅く充血し、顔から無数の青筋が立つ。

危険を察知した僕は、ベリアルから間合いを取った。


「うるさいウルサイウルサイッウルサイッ!!!!!! 三下? ヒマじゃない? 懺悔? 笑わすな人間風情が。どいつもこいつもオレをバカにしやがって……オレは最強なんだッ!! テメエみたいなガキに負けるなんざ有り得ねえ!! 殺してやる殺してやる殺してやるッ!!」


ベリアルの四肢に突き刺さった苦無が飛ばされるように外れ、ゆっくりと立ち上がった。


「目を開け、口を聞け、耳を閉じろ。ことわりは世界を歪める── アウェイキング」


そう唱えると叫び声と共にベリアルの身体は筋肉が増して血管は浮き出て、頭から二本のツノが生えてくる。

口からも二本の牙が、背中には大きな翼が生える。

その格好はもう悪魔そのものだった。


アウェイキング──

初めて聞く魔法だ。

おそらく闇魔法の類で、名前の通り覚醒を促すものなので、これが悪魔本来の姿ならば、ステータスも上がっていることだろう。

オールハイネスの悪魔バージョンってことかもしれない。


「ウィル……オ、オマ、オ、オマ、マエ、オマエヲ、コ、コロ、コロ、コロスッ!!!!!!」


どうやら──アウェイキングを行使すると、術者本人の自我が失われるのか?

会話が無い分戦闘に集中出来るけど、覚醒したベリアルの動きは相当早かった。

オールブーストをかけた状態で、ベリアルの攻撃は互角だった。


「親愛なる光の神よ、我が言の葉の願いを聞き光の加護を。そして──我が言の葉の願いを叶え給い、悪しき者から尊き者を救う力となれ。 オールハイネスッ!!」


ベリアルの攻撃をかわしながら、オールハイネスを行使する。

オールハイネスでステータスが上回ったお陰で戦闘自体に余裕が生まれたが、油断は禁物。

拘束するために苦無を投げる。

苦無自体は突き刺さったが、ベリアルの身体が強力なせいか──苦無が弾かれてしまった。


「コ、コロ、コロ、ロス、コロス、ウィル、コロ、コ、コロス……」


自我を失っても尚──僕を殺したいという執着は相当なものだ。

ベリアルは僕とアリスに二度──敗北を喫した。

彼にとって僕を殺すことは悲願であり、偉大なる御方という存在を復活させる、云わば──大事な器の奪取が目的だ。

15年にも及ぶストーカー劇なのだが、そろそろそれに終わりを迎えさせないと。


「オールグラビティ、オールバインド」


二つの魔法でベリアルを拘束し身動きを取れなくする。

苦無と違って神聖魔法を直接掛けているから、一定の拘束力があるし、しかも──自我を失ったベリアルは力ずくで解除しようとするが、ジタバタしているだけで解除には至らなかった。

僕は手に持っていた刀をベリアルの腹部に突き刺した。

貫通して地面に突き刺さるように刺したので、これで万が一解除されても逃げ出すことはできないだろう。

しかも──刀にも神聖魔法が練り込まれているから、腹部からベリアルの生命力が霧散していく。


「ギィィィヨォォォォォァァァァァッ!!!!!!」


「ベリアル、君は僕と僕の色んなものや人を奪おうとした。その罪は計り知れなく大きい。その生命を以て──罪を償え」


「コ、コロ、コロス、ウィル、ウィ、コロ、コ、コロス」


僕の言葉はベリアルに届いていないのだろう。

色んな意味で可哀想な悪魔だ。

だけど同情はしない。

さあ──これで終わりだ。


「親愛なる光の神よ、我が言の葉の願いを聞き光の加護を。そして──我が言の葉の願いを叶え給い、悪しき者を尊き力によって、魂を浄化せん」


アリス、父上、国王陛下、そして──母上。

あなたたちの無念は、僕が晴らすよ。


「ウィ、ウ、ウィル、コロ、コ、コロ、コロス……」


「オールピュリフィケーション」


「ウォォォォォアァァァァァァアッ!!!!!!」


光の柱によって、ベリアルの器は跡形もなく消え去った。

刀に突き刺さったベリアルの精神体は逃げようとするが、念の為張っておいたオールゲージのせいで逃げ場所を失っている。

やがて──光の柱によって焼かれるベリアルの精神体も浄化され、跡形もなく消え去った。

これで正真正銘──ベリアルは死んだ。


「終わった……」


その場に座り込む僕。

周りの魔素溜りもやがて消え失せ、上空で待機していたシェナが僕の元に駆け寄ってきた。


「ウィル様ッ!!」


「シェナ、終わったよ。ベリアルは消えた」


「上で見てた。悲願、おめでとうございます」


「そっか。ありがとう。でも──さすがに疲れた……。シェナ戻ろうか」


「はい。でもウィル様、あれ、どうする?」


シェナが指さしていたのは、気絶していたスレブだった。


「でも、どうして、ここに、いる?」


疲れたから色々説明するのはめんどくさい。

僕はテレポーテーションでスレブを学院のトイレに移動させた。

とりあえず、帰って報告しないと。

みんな僕がどうなったか心配だろうし、早く安心させてあげないと。

魔素溜りが解消されたってことは、スタンピードも収まった可能性が高いし、なにより──優秀な人たちが対処しているんだ。

負けることはないだろう。


「さ、帰ろうか」


「はい。仰せのままに──」


僕とシェナはその場を後にした。

ベリアル──

強力で執念深い悪魔だったけど、特別強い悪魔でも無かったな。

強さでいえば、あの時会ったアザゼルっていう悪魔のほうが断然強さを感じた。

やはり──これは始まりに過ぎないのか。

これからも悪魔は僕に攻撃を仕掛けてくると思うし、気は抜けない。

でも──負けるつもりは毛頭無い。

折角退屈な日常から、退屈しない日常に転生したのに、殺されるなんてゴメンだ。

どんな悪魔が相手だろうと、僕は戦う。

そして、僕が守りたいみんなの為に。

僕が守りたい退屈しない日常の為に。


その思いを胸に、僕はみんなの元へと歩き始めた──



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