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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第一部 トゥルメリア王国編

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トゥルメリア王家の過去⑤

「ど、どういうことだウィル──」


いきなり胸ぐらを掴まれて困惑するケインだが、そんなことを気にするのも時間が惜しい。

僕はケインに向かって魔法陣を展開した。

しかし──先の戦闘で完全に魔力が回復しきっていないから、コントロールが難しい。


「親愛なる光の神よ、我が言の葉の願いを聞き光の加護を。悪しきものからなんじを解放せん。オールパージ」


オールパージ──

対闇魔法専用として作られた魔法の一種で、闇魔法の呪系や状態異常系の解除を目的とした魔法だ。

そして闇魔法をかけられていたケインに対し、この魔法を行使したということになる。


「まさか──ウィル、ザガルトスはケインに……」


「そうです、陛下。先程ケインが口にした意味不明な言葉は、闇魔法の監視をする魔法です。そうですよね、アンジェラ先生」


「えぇ、そうですわ。闇魔法の多くは精神干渉系の魔法が殆どで、ザガルトスがあなたにかけたのは、鷹の目という闇魔法よ」


「鷹の目……」


「鷹の目の厄介なところは、自覚症状が全くないことなの。そしていつかけられたのかも認識できない魔法よ」


しかし──ウィル・トゥルメリア……僕は死んだことになってるし、おそらくその情報は牢屋に居たとしても風の噂で耳に入るだろう。

ザガルトスが、僕が生きているという博打を打ってまで、幼少のケインに闇魔法を使うメリットはなんだ。

いや──違う。

そういうことじゃなかった。

ザガルトスがどうこうじゃない。


「ベリアル……」


場の空気が一瞬にして張り詰めた。


「おそらく──ベリアルは、この王宮に居る打倒派全ての人間に鷹の目を使ってる。だから、僕たちの行動は全て筒抜けだったんだ」


「ということは、学院で教鞭をとられているアンジェラ様の情報も学院に居る打倒派の人たちを介して、情報を得ていたと」


「そうだノーマン。ベリアルは僕が産まれる前から、不測の事態に備えてこの情報網を構築し、15年の歳月に備えていたんだ」


「なんでやつだ!だったら──ウィルもアリス様も死んだことにしたなんてことは無意味だったって事じゃねえか」


「私とウィル──ずっと監視されてたのね……」


直情的で思考が単純な悪魔だと思っていたが、しっかりとネットワークを構築しリスクヘッジできている、一筋縄ではいかない悪魔だ。

これだけ長い歳月をかけて長期戦を仕掛けて来ているんだ。

忍耐力もバカにならない。

でも、悪魔だから人間と時間の感覚は違うのか。

15年という歳月は人間にとって長い時間だが、何千年も生きていて寿命という概念が無い悪魔だったら、15年は刹那に感じているだろう。

だからあの余裕なのか。


とりあえず、一度ザガルトスに会う必要がある。

これ以上話をしても憶測の域を抜けないからだ。

この世界に来て退屈しないのはありがたいが、命を狙われるのは別の話だ。


「よし、今からザガルトスに会いに行こう」


「何を言ってるのウィル!あなたまだ──」


「そうだよ!アンタまだ万全じゃないでしょ。なんかあったらどうすんだよ!」


「ウィル、その前にすることがあるだろ」


「──んっ? すること?」


僕は父上の視線の先を辿った。

そうか──ずっと、僕のことを待っていた人がいるのか。

僕の本当のお父さん、ジェフリー・トゥルメリア国王陛下。

僕の成長を側で見守って居たかっただろう。

時に愛し、時に叱り、時に褒める。

そんな父親としての役割を奪われてしまったのだ。

だから僕は──この人としっかり向き合わなきゃいけない。


「僕の父は、ダグラス・グレイシーです」


「ちょっ!お前──ッ!!」


「いいんじゃ、ダグ」


「本当の父は陛下かもしれません。でも──僕は15年、グレイシー家の脳筋バカが集まる汗臭い領で過ごしました」


周りからクスクスと笑い声が漏れているし、父上は顔を真っ赤にしているが、僕は話を続けた。


「領から外に出ることは出来ないし、友達も居ませんでした。退屈な幼少期でもありましたが、その分魔法を学べたのが大きいです。だから──そんな家が僕の故郷です。あなたの息子には戻れません」


「それでよいウィル。なにも王家に戻ってこいとは言わん。だが──時たまワシのとこに顔を出してくれればそれで良いのだ。ウィルが生きた15年をワシに聞かせてくれ」


「そうだよウィル!家族水入らずの日があったら、お姉ちゃん嬉しいんだけどなぁ〜」


「そういう日があってもいいかもね。今度3人でお茶会をしましょう」


「やったぁ!フローレス家に居た15年、色んな商品を見てきたんだから、お茶の選定だってできるわよ!」


「それは楽しみじゃな。ことが収まったら茶会をするとしよう」


陛下の目には薄らと涙が流れていた。

待ち遠しかった15年。

いつか──子供たちと共に過ごしたい。

陛下にとって、本当の家族が戻ってきたことに心の底から嬉しさを噛み締めているだろう。

おいしいお茶、楽しみだな。



-----------------



王宮には、政治的犯罪を行った罪人を収容する地下牢が存在する。

そんな政治犯を行った罪人は、死ぬまでこの地下牢から出ることは許されないのだが、一人だけ投獄されている人間がいる。


ザガルトス・スミス


王家後見の公爵でスミス家の元当主。

15年前──悪魔と共謀し、生まれたばかりのウィルを誘拐しようとした。

だが表向きは、国家転覆を目論み自身を王と据え、マーサ・トゥルメリア王女殿下、ならびにアリス・トゥルメリアと生まれたばかりのウィル・トゥルメリアを殺害した主犯格とされている。

社会的立場がある人物の為、このことは世間に伏されている。

公式の発表では、長年の持病が悪化し当主としての責務が果たせない為、当主の座を降り隠居の身になったとされた。

そんな世紀の大悪人──ザガルトス・スミスが鉄格子越しに僕と対峙していた。

元貴族とは思えないみすぼらしい姿で、身体はやせ細り、頬はこけ、異臭を撒き散らしていた。


この地下牢は公爵家以上の人間しか入れない為、僕、アリス、ケイン、ダグラス、そして──国王陛下と共にこの場所に赴いた。


「やぁ、ウィル・グレイシーくん」


「あんたがザガルトスか」


「そんな邪険な目で見るなよ。君のことは甥っ子を通して見ていたよ」


「見せて貰ってたの間違いだろ、ベリアルに」


鷹の目は基本、術者本人が視覚情報を得る。

だが──相手は悪魔。術者本人だけではなく、第三者も見られるような魔法でも行使したのだろう。

甥のケインの視覚情報を共有すれば、ベリアルが知りえないことをザガルトスが補助し教えるということもできる。

即ち──ベリアルとザガルトスは、ケインの視覚情報を共有するほど、密な関係だということだ。


「それで──私になんの用だ」


「ベリアルはどこまで知ってる」


「さて──なんのことだか、私にはさっぱりわからん」


「どうせこの会話もベリアルは見ているんだろ。また地獄に返したから暫くこっちには来れないと思うが」


「ウィル、君はさっきからなんの話をしているんだ? 確かに──昔悪魔と契約してクーデターを起こそうとしたが失敗に終わり、関係はそれっきり。それ以来──私は15年間ずっとこの牢の中だ。この私に何が出来るという」


ザガルトスはあくまでも、現在ベリアルと繋がっていることを否定したいようだ。

しかし──その態度は傲慢で、とてもではないが追及されて否定する人間の態度ではない。

精神干渉魔法を使ってもいいが、今は魔力が不安定だ。

変に今使ってしまうと、ザガルトスを殺しかねない。


「ウィル、こんなの時間の無駄よ。この人、口を割るようには見えないわ」


「そうだなアリス。なぁケイン──」


「──あっ、あぁ……」


ずっと後ろで目を合わせないようにしていたケイン。

まさか自分が話を振られると思ってなかったな。


「ザガルトスに言いたいことはあるか」


「何故──何故、国を裏切るような真似をしたのですか、叔父様」


鋭い眼光に目つき、口をニヤリと嗤わせ、良くぞ聞いてくれたという表情をしている。

ザガルトスは食い入るように、両手で鉄格子を掴む。


「我が甥よ、よくぞ聞いてくれた!私がこの国の頂きを目指したのは──神聖魔法の為さ!!」


「神聖魔法の為──?」


「そうだ。なら──教えてやろう、神聖魔法の真実を──」

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