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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第一部 トゥルメリア王国編

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トゥルメリア王家の過去④

気を失ってから目覚めると──全身の気だるさと共に、母上を失った喪失感が襲いました。

5歳であれだけの神聖魔法を連発したため気絶してしまうのは理解できます。

眠れば魔力は戻るし身体だって元気になります。

でも──母上を失ってしまった喪失感や虚無感は、どうしても拭えませんでした。

当時5歳の私には、あまりにも酷な出来事です。


私が気を失ってから目覚めるまで1週間の月日が流れたらしいです。

母上の国葬は私が目覚める前に執り行われ、何故か──私とウィルの国葬まで執り行われました。

母上はまだしも──何故、私たち姉弟まで……。

私は居てもたってもいられず、父上の元に向かいました。


「父上!何故私を亡き者にするのです──ッ!!」


「………………」


父上は何も言わず、ただ私を抱きしめてくれました。

その身体は力が入らないほど酷く弱っていて、小刻みに震えていました。

周りにいたダグラスもガルドもアンジェラもじぃやも──顔が酷くやつれていて、説明を受けるまでもなく私は理解しました。


「そうするしかなかったのですね」


「………………す……すまない、アリス……」


初めて聞く父上の泣き声。

あの強く逞しく、威厳のある父上からは想像も出来ない程のすすり泣く声。

辛いのは私だけじゃないんですね。


「アリス、お前にはこれから──年齢退化の魔法をかける。この魔法は真実を打ち明ける時に初めて解除できる魔法だ。そして──トゥルメリア王家の人間ではなく、これからはフローレス公爵家の人間として生を全うしてほしい」


ドアが開くと──二人の夫婦が部屋に入ってきた。

フローレス公爵夫妻だ。

お世辞にも公爵家に見えないのは心の内に閉まっておくとして、夫妻がが私に膝まづく。


「お初にお目にかかります、アリス王女。私は、フローレス公爵家の当主を務めさせていただいております、エドガー・フローレスです。となりに居られますのは、アネリ・フローレスです」


「アネリです。宜しくお願いします」


「安心しろ。2人とも王権派の人間だ。新しい家族の元で王宮と同じくらいの生活は出来ないが、不自由なく生活できるから安心しなさい」


私が不安そうな表情を浮かべているのを見て、父上はそう言うが──安心しろとか新しい家族とかそういうのじゃない。

私はただ──幸せだった日常が壊されて、悲しむ暇もなく、私は表舞台から死んだことにされたのだ。

母上は死に、弟と私は死んだことにされ、父上は今にも死にそうな顔をしている。

こんなグチャグチャにされて、安心なんて出来るわけなかった。


「父上は、これでいいんですか」


「アリス……」


「父上は、悪魔に全てを奪われ破壊されこれでいいのですか!私は嫌です!離れたくない!!」


「アリス、分かってくれ。こうでもしないと、アリスとウィルは守れないんだ」


「私とウィルを表舞台から抹殺してまでですか?」


「あぁ、きっと──ベリアルは戻ってくる」


母上を殺して、ウィルを奪おうとした今回の主犯。

オールピュリフィケーションで葬りさろうとしましたが、精神体は地獄に戻ってしまいました。

彼の器は細かく刻み、塩を撒いて焼却処分したらしいですが、なんせあの悪魔です。

新しい器を見つけて、再度こちらにやって来るでしょう。

もう二度とこちらの世界に来れない、みたいな口ぶりでは無かったですし、余裕すら感じました。


「だからアリス──お前とウィルは死んだことにして探知阻害の魔法をかければ、お前らが殺される心配はないんだ。アリスに至っては年齢退化の魔法もかけるから、絶対にバレん」


「そしてウィル様ですが──この俺、ダグラス・グレイシーが親代わりを務めます」


と、ダグラスは膝まづき言うが……

なんかやだ!私のかわいいウィルが無骨で脳筋なグレイシー家ですよ?

アンジェラの元なら大賛成だけど、でも──当時の私はそんなこと考えてる余裕などありませんでした。


「悪魔が言う、偉大なる御方の器らしいから、グレイシー家に預けるのは賛成です」


「そう言ってもらえて嬉しいよアリス」


「我が身命を賭して、ウィル様をお守りします」


「アリス──こんな父親ですまない。しかし、これからの人生に多くの困難が待ち受けているだろうが、その困難は乗り越えた時の糧や財産になるだろう。お前とウィルの成長を側で見守りたかった……」


また父上の目から大粒の涙が流れました。

私も辛い、でも──父上はもっと辛い。

けど──私にも一つ決心したことがあります。


「父上──15年後、私がこの国を守ります。そして、大事な弟も私が守ります。だから安心してください。どうか……どうか……」


私の目からも大粒の涙が溢れました。

今まで張り詰めたものが一気に雪崩出てくる感覚でした。

そんな私を父上はもう一度、優しく抱きしめてくれます。


「アリス、愛してる、愛してるぞ」


「私もです父上……」


---------------------


「そして──私は年齢退化の魔法で生まれた姿に戻り、フローレス公爵家の人間になりました」


思った以上に、この王国と悪魔の関係やバランスは最悪と言ったところだ。

話を整理すると──

この王国に生まれた僕、ウィル・グレイシー……いや、もといウィル・トゥルメリアは、悪魔が度々口にする、偉大なる御方の器だということ。

僕が生まれた日に悪魔ベリアルが強襲してきて、僕を守るために母、マーサ・トゥルメリアが殺害された。

再度ベリアルからの強襲を避けるため、僕とアリスは死んだことにして、僕はグレイシー家、アリスは年齢退化の魔法をかけた上、フローレス家に身を隠した。

そして──この間、ベリアルがこの世界に戻ってきて、また僕を回収しようとした。


…………………………………………っん?

てことは──僕って守られてたってこと?

だって僕がもしベリアルの手に渡ってしまったら、偉大なる御方とやらの器にされて、世界が滅亡するんでしょ?

そうさせない為に、アリスやみんなが必死になって守ってきたわけでしょ?

おい……マジかよ。

僕ヒロインじゃん……。

お前は俺の後ろに隠れてろ──とか、

お前は俺が守る──とか、

ったく……お前から目が離せねえよ……とか、

そういう、守られる立場系ヒロインだろ?

てかお前誰だよ!

隠れてろだの守るだの、なんで脳内再生男なんだよ。

男趣味は無い。

ただ──ひとつだけ疑問が残った。


「ザガルトスっていうスミス家の当主だかなんだかが居たでしょ?今どうしてるの?」


「ザガルトスは当主を降ろされ、王宮内の地下牢に幽閉しておる」


「ケインとの関係は?」


「俺とザガルトスは叔父と姪の関係だよ。今は俺の父上、ザガルトスの弟マルセルが当主を務めてる」


「国王陛下──何故、ザガルトスを処刑しなかったのですか?」


「国民を混乱させないためだ」


「国民を混乱させないため?」


「長年仕えてきたスミス家の当主が反逆罪で処刑されるとしよう。王家に逆らい、国王の座を簒奪さんだつしようと企てた罪で処刑されたことが国民に知れ渡ったら、この国は大混乱になる」


普通やらかした当主の家系は排斥、処刑して新しい公爵家が後見を務めるのが筋だが、長年王家の側で仕えてきた実績がある。

おいそれと後見を変えられない、そして処刑が出来ない事情も政治的にはあるのだろう。

まさに国王が言っていたことそのままだけど、政治のことはよく分からないからいいや。

だが──僕の着眼点はそこじゃない。


「ケイン、ザガルトスと接触したことはある?」


「幼少の頃に父の付き添いで1度だけ面会であったことはあるよ」


「君に話しかけたことはあるか」


「あぁ。意味不明なことを俺に言ったから、今でも覚えてるよ」


「なんて言ったんだ、教えてくれ」


「待て待てウィル──どういうことだ」


「父上は黙ってて」


僕は父さんの言葉を静止して、ケインの言葉を待った。

返答次第では、事を構えることになる。

周りの人間はなんのことだか分かっていないが、今はそんな説明をするヒマだってないのだ。


「目を開け、口を聞け、耳を閉じろ。ことわりは世界を歪める──」


僕はいきなり──ケインの胸ぐらを掴んだ。

やっぱり──そういうことか。


「ケイン──まんまとやられたよ」

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