ロシアについて、知ってる限り語ってやる!
本題に入る前に、ちょっと小噺。
ロシアは【ヤヌスの鏡】のような国である。
世代によって…。
『なるほど!』
と、云う者もいるかもしれないが、大半の人は…。
『ヤヌスってナニ?…』
と、聞いて来るだろう。
昔のドラマに【ヤヌスの鏡】と云うドラマがあった。
二重人格になった女子高生の話だ。
舞台は中高で校内暴力が吹き荒れた1980年代。
主人公は、おとなしい子だった。
しかし、過酷な家庭環境とストレスが相成って、凶暴な人格が生まれてしまう。
しかし、その人格は偽物ではない。
要はロシアは極端なまでの2面性を持ち合わせた国なのだ。
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ロシア人は、凍てついた氷のような心と、暖かいボルシチのような情を持ち合わせている。
さらに酒〘ウォッカ〙のような熱情もあるようだ。
ロシア人を国家として捉えると……。
〘ロシア殺し屋、恐ロシア〙
強ち違ってはいない。
国政は情で行ってはいけない。
常に氷のように冷徹にならないと、あの巨大国家は崩壊してしまう。
その為、国の舵取りは非情な人間が行うようになっている。
【前書き】で述べた通り。2面性が極端だ。
過酷な自然環境が生んだ、特殊な国民性と言える。
そんなロシアとよく似ている国がある。
それは日本。
2面性が極端にある国の元祖は、日本ではないだろうか?
それはルース・ベネディクト・著【菊と刀】に詳しい。
〘日本人は菊の花のような優美さと、刀のような鋭さ、凶暴性を持ち合わせている〙
また、ロシアと日本の共通点を探った識者もいる。
その中で、取り分け驚いたのが【栄枯盛衰】が無いとする点だ。
指摘したのは評論家・黄文雄。
この指摘には異論もあるだろう。
現に日本は、バブル崩壊後の大不況で30年も低迷している。
しかし、黄文雄によれば、日本の低迷は世界的に見て、大したことではナイと言い切った。
日本は一時的な混乱と低迷はあっても、※衰退することは無く、すぐに復活に到ってる。
幕末の混乱後の明治維新や、終戦後の高度経済成長期が好例である。
ロシアも、かつてロシア革命の混乱を乗り越え、ソ連として復活。大国としてアメリカと渡り合った。
これ以前も〘カール大帝〙〘ピョートル大帝〙〘エカチェリーナ2世〙
強い指導者のもと、混乱と低迷を乗り越えた。
現在もソ連崩壊後の混乱を乗り越え、大国として復活した。
良くも悪くも世界的に影響を与えるのは、大国の証だ。
日本とロシアは衰退期が無いのが共通している。
これは誇るべきであって、常に進歩している国なのである。
閑話休題。
※黄文雄が云う。
低迷はしても衰退が無い。
イマイチよく分からない人もいるだろう。
国の衰退とは、人口が減って文化レベルが下がる状態のことだ。
好例は、知る人ぞ知る〘三国志〙の時代。
この時代は中国史上に残る衰退期でもある。
三国時代が始まる漢帝国末期。
人口は約6000万人はいた。
ところが三国時代が始まり、終わった頃には800万人になっていた。
その間たった60年。
余談だが、吉川英治・訳〘三国志〙には、その過酷な状況と思しきシーンが描かれている。
主人公の劉備が客人として招かれ、人肉を喰らう。
吉川英治は、わざわざ紙幅を割いて、カットすべきか迷った経緯を述べていた。
飢餓が蔓延する当時では当たり前だったようだ。
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他の共通点で注目するところは〘モノ作り大国〙である事だろう。
【緻密な日本】【頑丈なロシア】
方向性は異なるが…。極寒の地で、まともに機能し続けるロシア製品の優秀さは、誰もが認めるところだ。
また、黄文雄はロシアがヨーロッパにおいて、異質な存在である事に注目。
まるで別の文明圏のようであると。
日本もアジアにあって、その存在は異質である。
独自の文明圏を形成している声もある。
ここまで書いても思ったのだが…。
もしかしたら日本が戦国時代、そのまま大陸へ勢力を延ばしていたら、ロシアのような国になっていたのではないか?
信長や秀吉の時代がもっと長く、健全に続いていたら……。
奇しくも、その頃、帝政ロシア(ロマノフ朝)が成立した。
東へと領土を拡張していった。
ウラル山脈を超えて、シベリアへと支配の手を延ばし始めた頃……。
日本は徳川の時代になった。
日本の大陸への野心は沈静化した。
結果、日本は海洋国家となり。
ロシアは大陸国家となった。
似てないようで日本に似てる国。
それがロシアなのかもしれない。
〘ロシアについて〙と云う、司馬遼太郎の著作がある。
小説〘坂の上の雲〙や〘菜の花の沖〙を書いた司馬遼太郎にとって、ロシアとはどんな国だったんだろう?
ペラペラとめくると…。
ロシアは若い国で、過酷な環境から生まれた国である事を述べていた。
住む場所は遊牧民族の通り路で、常に襲われる危険があった。
元となった〘※キエフ大公国〙は自力で創れず。
創ったあとも、モンゴルに259年間支配された。
これが〘タタールのくびき〙
司馬遼太郎が云うには、ロシア人の民族性にも影響を与えたと云う。
途轍もないトラウマを抱えた若者。
〘双顔神ヤヌス〙に魅入られた若者。
それがロシアなのかもしれない。
※現在の〘ベラルーシとウクライナ〙が含まれている。