表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

王都到着

「おおー...ここが王都か」


王都は俺が想像してたよりも大きかった。

まず目の前にある門の大きさからして意味わからんくらいでかい。

大人10人は余裕で通れそうな横幅に高さは10mくらい。

この威圧感ある扉を破壊できる魔物なんていないと思える程だ。


ミルが去った後は問題なく王都に到着した。

移動中はボルス含め緊張感のある雰囲気だったけど...


今はリーバが街に入るための手続き待ちの状態だ。


「とりあえず報告に行くから王宮まで付いてこい。王都の案内は後でしてやるからな」


王都について一安心したのかボルスの表情も柔らかくなっていた。


「了解。俺のスキルを調べるのにも行かないと行けないんだし着いてくよ」


俺の目的は最初からスキルについて知りたいだけだ。決して王都の街並みを満喫しに来たわけではない。...多分。


「団長。全員分の手続き終わりました。入れます」


リーバが手続きを済ませ戻ってきた。


「ご苦労さん。じゃあ早く報告に行くぞ」


ボルスは馬を歩かせた。

騎士団と俺はその後ろについて行く。


扉が開かれ王都の街並みが瞳に映る。


煌びやかな景色や活気のある人々が溢れかえる場所を想像していた俺は驚愕した。


そこにあったのは村よりも酷い街並みだった。

活気は無く無気力に歩く人だらけ。

数はもちろん比べようがないが昼から賑わうお店や笑顔で街を走り回る子供等はいない。

俺が憧れていた景色はそこにはなかった。


「王都がこんな街で驚いたか?最近は特に酷いぞ」


俺の考えを見透かしたようにボルスが話す。


「魔物が食料や資源が取れる場所に住み着いちまって物資が枯渇気味なのさ。20年くらい前まではもう少し活気があってよかったんだ。まぁそれ以外にも理由はあるが...」


ボルスは辛そうに続けた。


「俺たち騎士団にも限界がある...もっと俺に力があれば平和で快適な生活を皆が出来るんだけどな」


「団長には国民全員が感謝しているはずです。ご自身を責めないでください」


リーバがすぐにフォローを入れる。

早く引退したいとか言ってたくせにこんなに熱い男だったとは知らなかった。


街に入ると騎士団に気付いた人達が笑顔でお辞儀してきた。

ボルス達は答えるように手を振った。


「人気あるんだな」


「俺なんてまだまだなんだけどな。優しい人ばっかりだよ」


ボルスば少し照れたようにはにかんだ。

俺が思ったよりも真面目なやつだったようだ。


「そんなことより早くいくぞ」


ボルスは馬を進ませた。

目的地に着くまでの間にもすれ違う人からの尊敬の眼差しや感謝の言葉が止むことはなかった。


------------------


10分ほど歩いて王宮に到着した。

俺の目の前にあったのはTHE王宮!って感じの見たことない規模の城だった。

ここにどれだけの金を注ぎ込んでいることやら...


頭の中でそんなことを考えながらボルスの後ろを歩く。

門番に身分を確認された後扉が開いた。

中に入ると高級そうな絵やメイドさんや執事が大量にいた。


「なぁボルス。ここだけ街中と違って余裕のある生活してそうだな」


「...そうだな...」


表情は変わらないが少し怒っている。

騎士団のメンバーも王宮に入ってから雰囲気が変わった気がした。


「お帰りなさいませボルス様。王はいつもの場所にいます」


「分かった。すぐに行くから案内してくれ」


歴の長そうなダンディーな執事と短い会話を交わす。


執事の後に続いて少し歩くと趣味の悪い金色の扉が現れた。


「ボルス様をお連れしました!」


執事の言葉の後に扉が開く。

目の前の光景を見て声が出なかった。


奥には黄金の椅子に座った全く品のない小太りのおっさんがいた。

周りには美女がたくさんおりおっさんの身体をマッサージしていた。

後ろには仕事の出来そうな細身の男とだらしない身体の下品な顔をした男がいた。


ボルスは片膝を付いて敬う姿勢を取った。

騎士団もそれに倣って同じ姿勢を取る。

リーバに脇腹を小突かれた俺は見よう見まねで姿勢を取った。


「王よただいま帰還しました。色々積もる話がございます」


椅子に座ったおっさんが汚い声で大声を出す。


「帰ってきたかボルスよ。話は全部大臣にしろ。俺様が聞いても分からんからな!」


ガッハッハとおっさんはでかい声で下品に笑った。

てかあの汚いおっさんが王様なのかよ!


「とりあえず大臣と一緒に会議室でも行け。俺様は楽しまないといけないからなぁ〜」


周りの女性達の身体をいやらしい手つきで触った。

おいうらやま...けしからんなあいつ!


「すぐにお伝えしなければいけない内容が1点だけございます。それだけ申し上げてもいいでしょうか」


ボルスの言葉を聞いて王様は怒りの表情を浮かべた。


「俺様の言うこと聞いてたか!?大臣に全て説明しろと言ったはずだぞ!これ以上言うならお前の首をこの場で刎ねてもいいんだぞ」


こいつ本当に王様か?ただのわがままなガキにしか見えないんだが。


「...かしこまりました。では失礼致します」


ボルスは立ち上がり深く頭を下げた後に部屋を出ていった。

俺たちも後をついていき部屋を出た。

外には執事が待機していた。


「早かったですね。王はなんと?」


「会議室で全て大臣に話せと。いつも通り話は聞いてくれなかった」


「…かしこまりました。では会議室にご案内致します」


執事は表情を暗くした。

てか毎回こんな感じなのか。


部屋を出てからは無言の時間が続いた。

空気が重すぎて息苦しい...


「なぁボルス。もしかしてだけどさっき会ったやつがこの国で一番えらいやつだったりする?」


重い雰囲気に耐えられない俺は口を開く。


「ああ。あれがこの国の王だ」


「街中で言ってたそれ以外の理由ってのはあれか」


ボルスは力無い笑顔で軽く頷いた。

騎士団が頑張ったとしてもあんな王が支配してる国だったらこの国の現状も納得出来る。


「思ったより大変なんだなお前も。もうお前が王様やった方がこの国にとってはいいんじゃないか?」


街の人からの人望も厚いしいいと思うんだけどなぁ。


「それは王に対する侮辱ってことで取っていいのかね?」


後ろから声が聞こえた。

振り返るとさっき王の後ろにいただらしない体型のおっさんだった。


「左大臣お許し下さい。この者は辺境の村から来た礼儀も知らないガキなんです」


ボルスがすかさずフォローに入ってくれた。

しかし左大臣と呼ばれたデブは気にせず続ける。


「例えこの田舎臭い子供であってもこの国に入って王のことを侮辱したなら打ち首にするべきだと思うがボルス殿はどう思うかね?」


汚い笑みを浮かべながらボルスに問いかける。

このおっさんこの国の王に似てて嫌いだ。

ボルスは何を言えばこの状況を綺麗に収まるか考えていた。

こいつには何言っても無駄な気がするけどなぁ。


「左大臣殿。その子は例の子供です。勝手に殺しては怒られてしまいますよ」


左大臣のさらに後ろからまた1人やってきた。

確か王の後ろにいたもう1人の細身の人だ。


「右大臣殿。この子供が例の子供でしたか。それを言ってくれればさっきのような発言はしなかったのだが。ボルス殿も早く教えてくれればよいものを」


「申し訳ありません」


ボルスは左大臣に頭を下げる。

左大臣は優越感に浸るように笑った。こいつ分かってて絡んできたな...


「それでは会議室に行きましょうか。積もる話もあるでしょう」


「そうですな右大臣殿。では私は先に行かせて頂きますよ」


左大臣は重い身体で歩いて行った。

少しして姿が見えなくなってからボルスが口を開く。


「助かりました右大臣」


「私と貴方の仲でしょう。敬語はいらないですよ」


「2人きりに時ならまだしも部下の手前そんなことは出来ませんよ」


ボルスの表情が柔らかくなった。右大臣は信用してもいい人っぽい。


「ふふ残念です。では私達も行きましょうか」


右大臣は会議室に向かって歩き始めた。

ボルスは右大臣の横で移動中も会話をしていた。


話し相手がいなくなった俺は城の中を見渡しながら歩く。

趣味の悪い絵ばかりだったので、たまにすれ違うメイドさん達を横目で見ることを楽しんだ。


そんなことをしてるうちに会議室に着いた。

高そうな椅子やテーブルが置いてあり座るのが少し怖かった。

傷つけないように慎重に座る。


ちなみに左大臣は先に座っていた。周りには取り巻きっぽい大人が数名座っていた。

右大臣が全員が座るのを確認して声を出す。


「では揃ったので始めましょう。まずは報告からお願いします」


長い会議が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ