表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

王都までの道のり 〜大ピンチ?〜

敵のリーダー格を倒してから早かった。

5分もたたないうちに残党は全員倒れていた。正確には逃げ出した奴も多かったけど。


「お前らお疲れさん。死んだやつはいねぇな?怪我したやつは回復薬しっかり飲んどけよー」


騎士団のメンバーは深手を負ってる者もいたが死者は0人だった。さすがと言うべきだろう。

ちなみにボルスは傷一つ付いていない。疲労も微塵も感じさせない態度だった。


「おいボルス...さん。お疲れ様..です」


「気持ち悪ー!」


俺の慣れない敬語にボルスは腹を抱えて笑った。


ちょっとは尊敬したから敬語で話してやったのに酷いな!?


「お前は別に騎士団員じゃないから今まで通りでいいんだよ。アイシャに何を吹き込まれたか知らんが普通にしろ。俺もその方が接しやすいからな」


ボルスは俺の髪をわしゃわしゃ触りながらしながら言った。

俺は頭上の手を振り払う。


「分かったよ。俺もその方が楽だからな」


「あっ、でももし騎士団に入るならその時は俺を敬えよ?」


「ぜってぇ無いから安心しろ」


「残念、可愛がってやったのに」


ボルスはまた俺の髪を触った後に仕事に戻った。

こいつ俺の事子供扱いしすぎだろ。


騎士団達は息のある者を探したが見つからなかった。

だが相手の刺客達は全員死んでいるがリーダー格の女は後から話を聞けるようにボルスがわざと急所を外して攻撃したので辛うじて生きていた。


ボルス。仕事が出来る男だった。


ボルスは倒れている刺客の近くに腰掛け情報を聞き出すために質問した。

俺は少し遠くでその様子を見守っていた。


「さて...答えてほしい質問は2つ。1つお前の正体。2つ誰に依頼されたかだ。正直に答えてくれたらお前の命は保証してやる」


もちろん刺客が簡単に口を割る事はなく無言の時間が続いた。


少しするとボルスは諦めたように深いため息をついた。


「リーバ」


呼ばれたリーバは大きなハンマーを持ってきた。

そのまま無言で大きく振り上げ地面に振り下ろす。


ぐしゃ...


「ぎゃーー!!!」


痛々しい音の後に女性の絶叫が聞こえた。


「...もう一回だけチャンスをやる。早く答えろ」


聞いたことのない怖音のボルスの声だった。

...ボルスの声がすごく恐ろしく感じた。


刺客は悶えた後に絞り出すように声を出した。


「話すことなど無い...!早く殺せ...」


「そうか。残念だ...リーバ」


その後何度も女性の叫び声が繰り返される。

刺客の四股はボロボロになっており立ち上がることも出来ないだろう。

地面は血まみれになっており出血死してもおかしくない。


「何度やっても同じことだ...あの方に対しての忠誠心をなめるなよ...」


「あの方ってやつの情報を吐いたら助けてやるって言ってるのに何で分からないかね〜。俺はこういうやり方は好きじゃないから早く言ってくれたら助かるんだけど」


「はっ、表情ひとつ変えないで良く言う」


動くことの出来ない刺客は悪態を付くしか出来ない。

リーバがまたハンマーを持ち上げる。


「そうだよね〜。可哀想で見てられないよ」


突如殺伐とした雰囲気の中緊張感のない声が聞こえた。


声がした方向を見ると最低限しか布で身体を隠していないナイスバディは女性が立っていた。

ピンク色の髪に妖艶な雰囲気の女性がそこにいた。

男なら誰もが吸い寄せられそうな美貌だが何故か恐ろしくて動けなかった。


「お前さんはこいつの味方なのかな?」


ボルスが少し警戒した様子で話しかける。


「んー。誰のこと?」


「そりゃ今拷問されてるこいつ...」


ボルスが刺客に目を向ける。

なぜか刺客の頭が胴体から切り離されていた。ついさっきまで生きていたはずなのに...


「その子は用済みだから処分させもらったよ♪そいつはただの使い捨てのコマだから〜」


「...アイシャ今の見えたか?」


「いえ、全く...」


どうやら方法は分からないが現れた女が刺客の首を切り落としたらしい。

ボルスすら何が起きたか分かってないとかヤバすぎるだろ。


「安心して。今は君たちを殺す気はない。個人的に見に来たかっただけだから」


「お前が依頼者か...名前くらい名乗ってくれてもいいぞ?」


ボルスは余裕の表情を保っていたが尋常じゃない汗をかいていた。

この女のヤバさを肌で感じてるのかもしれない。


「私はミル。魔王様に仕える四天王の1人〜」


言い終わると俺の方を見て不気味に笑った。


「またね」


短い言葉を残し背中を向け帰ろうとした。


「まてよ。目の前に怪しいやつがいて逃がすと思ってるのか?」


ボルスの言葉にミルが立ち止まる。


「...見逃してあげるって言ってるのが分からないかな」


全身が悪寒に包まれた。

俺でも分かる。こいつは化物だ。


苛立ちながらこちらを振り返ったミルにボルスですら息を飲んだ。


「勝てる自信がないのか?」


目に見えるレベルの殺気がミルから出現する。


「下等生物は死なないと分からないみたいね」


ボルスは剣を構え警戒態勢を取った。

そのまま戦いが始まるかと思ったがミルが戦闘体制を解いた。


「まぁいいわ。私が今ここで皆殺しにしたら怒られちゃうから。仕方ないから私が逃げるってことにしてあげる」


ミルは背中から翼を生やして飛んだ。


「次会ったときは覚悟しといてね♪」


笑顔でそのまま消えていった。


残された俺達に長い沈黙が続く。

沈黙を破ったのはボルスだった。


「ふぅーさすがに死ぬかと思ったな」


「お前のせいだろ!」


煽った本人が何を言ってるんだか。


「何もしていないお前が文句を言うな」


リーバが見下した目で俺を見下ろす。


「リーバやめとけ。それよりあのミルって魔物についてすぐに報告が必要だ。王都はすぐ近くだしみんな疲れてると思うがすぐに移動するぞ」


ボルスの一言で団員達が準備を始める。


「おいリルクお前も早く馬に乗れ」


「分かったよ。てかあいつを怒らせたことについての謝罪は?下手すれば全員死んでたぞ」


「悪い悪い。俺にも団長としてのメンツってのがあるからよ」


悪びれもなく謝罪するボルスに何も言う気が起きなかった俺は黙って馬に乗ることにした。


「...まさかあの魔物は‥」


ボルスは誰にも聞こえない声で独り言を呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ