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王都までの道のり 〜刺客との戦闘〜

戦いは均衡した状態が続いていた。騎士団が圧倒すると思っていたが相手が思ったより強かった。


ボルスとアイシャ姐さんがまだ戦闘に加わってないのも関係あるだろうが敵さんも中々やるらしい。


「うちの騎士団員とこれだけまともにやりあえるとは思っても見なかった」


ボルスも思わず関心していた。


「そんなこと言ってる場合か。なんとかしないとやばいんじゃないのか」


周りを見ると騎士団は死者はでてないものの、傷ついてる者も多い。このままなら数で押しきられて負けてしまうかもしれない。


「まぁ大丈夫だろ。アイシャいけるか?」


「はい。もちろんです」


一言返事をした後アイシャ姐さんが消えた。


「ぐあー!」


声の方を見ると刺客の心臓にアイシャ姐さんの剣が刺さっていた。

使ってる武器は普通の剣と比べてとても細い。確かレイピアとかいう剣だった気がする。


「魔法‥?」


「何言ってんだ?何してたのか見てなかったのか?」


「見てたよ。消えたから魔法だって言ったんだよ」


「見えてなかっただけかよ。まぁ普通のやつは見えるわけないか」


何を言ってるのか意味が分からなかった。 

少し経って意味を理解した後、思わずボルスに聞く。


「走って攻撃しただけってことか?」


「あれでも全力の半分くらいのスピードだと思うぞ」


あれで半分の速さだったら全力なら誰も見えないし勝てないんじゃないかと思ってしまう。

ボルスの方がタイマンで戦ったら勝率は高いと言うがにわかに信じられない...このおっさんそんなに強いのか??


そんなことを考えているうちにアイシャ姐さんが敵を次々倒していた。

気付けば敵戦力の半分くらいが床に倒れていた。


「これアイシャ姐さん全部倒すんじゃねえか?」


「いや、それはどうかな」


ボルスは目を細めて一点を見ていた。

そこには相手のリーダー格の女がまだ戦闘もしないで立っていた。


アイシャ姐さんの姿がまた消える。次の瞬間激しい金属音が聞こえた。


「あまり調子乗らないで頂きたい。この私を貴方が倒せるとでも?」


相手はどこに隠し持ってたのか、身体よりも一回り大きい赤い等身の大剣でアイシャ姉さんの剣を軽く受け止めていた。


「ほう。アイシャの攻撃を止めるか。騎士団でも見切れるやつは数えるくらいしかいないんだがな」


あの速さの攻撃を止めたのは驚いたがそれよりも驚愕すべきはあの身体で軽々しくあの大きさの剣を使ったことだ。あの身体のどこにそんな力が?


アイシャ姐さんは苛立ちを表しながら攻撃を続けた。

早すぎて動きが見えないし音が何重にも重なって聞こえる。

しかしそんな猛攻も敵は最小限の動きで防いでいるように見える。


数秒攻撃を続けた後アイシャ姐さんは一旦距離を取った。


「貴方...何者ですか?私があった中でも上から数えた方が早い実力者ですが」


「答えても意味ないでしょう。貴方はすぐに死ぬのだから」


相手がいた所の地面が抉れ姿が消える。直後顔の横を物体が通りすぎて後ろの木から鈍い音が聞こえた。


「ゴフッ...!」


振り返ると吐血したアイシャ姐さんが床に転がっていた。

真横を通り過ぎたのは吹き飛ばされたアイシャ姐さんだったようだ。


「大丈夫ですか!?」


アイシャ姐さんの元に駆け寄る。床に血をぶち撒けあんなに美しかった顔は苦痛に歪んでいた。


手元を見ると剣の柄を握っているが刀身は無かった。

恐らくだが相手の攻撃を防いだがあまりの威力に刀身が砕けその勢いのまま飛ばされたのだろう。


「だい、じょうぶ、です。それよりも..あの敵は危険だ...!」


アイシャ姐さんは力を入れ立ち上がろうとしたが起き上がることが出来ない。


「安心して寝てろ!俺が何とかしてやる」


ボルスがこちらを見ずに声をかける。顔は見えないが何かワクワクしてる気がする。


「...分かりました。任せます」


ボルスの指示に素直に従った。

アイシャ姐さんは身体だけ起こして木に背中を預けた。

腹部を見るととんでもない出血量だった。常人なら既に死んでてもおかしくない。


「アイシャさん早く治療を!」


「私なら大丈夫です。簡単な回復魔法なら使えるので死にません。それよりも良く見ておきなさい」


アイシャ姐さんは誇らしそうに軽く微笑む。


「王国最強戦士の戦いを近くで観れる経験なんて中々ないですよ」


その顔からはボルスが勝つことに絶対的な信頼が見えた。


俺は言われた通り黙ってボルスの方を向く。


「私の敵は最初から騎士団長ボルス。貴方だけです」


「俺のことを知ってて喧嘩を売ってくるやつがまだいるなんて嬉しいねぇ。所でさっきの部下の質問の続きだがお前何者だ?」


「そんなに気になるなら私を倒したら聞いたらいいのでは?出来たらの話ですが」


相手の答えにボルスは声を出して笑った。


「ハッハッハ!お前面白いな。じゃあ一丁やりますか」


ボルスの顔から笑みが消え見たことない真面目な雰囲気になる。


背中から漆黒の剣を取り出し普通に歩く。


「じゃあ行くぞ?死んでくれるなよ?」


どんどん近づきお互いの距離は1m程になった。


「さすが騎士団長ですね。全く私を恐れていない」


「自分より弱いやつにビビる奴がいるのか?」


「...殺す...!」


身の丈以上の大剣を軽々しく扱いボルスを襲う。

目が追いつかない速度の攻撃をボルスは容易く受け止めていた。

威力はアイシャ姐さんの時と同じかそれ以上のはずだが...


時間にして10秒程攻撃が続いた後、敵は嬉しそうに笑った。


「予想以上です!私の攻撃を簡単に防いでしまうとは」


「そうだなぁ。この程度なら片手で十分だ」


ボルスは余裕の表情で軽口を叩く。


「あまり調子にのるなよ」


敵は大きく後ろに飛んで距離を取った。


「この技を受けて生きていた者はいなかった。果たして貴様はどうかな?」


剣を上に持ち上げて詠唱を始めた。剣の周りに血のようなものが大量に付着して巨大な刀身が出来上がっていく。


「へー中々やばそうだな。」


ボルスは笑みを浮かべ正面に剣を構える。


敵の詠唱が終わり刀身は3m程になっていた。


「食らえ!ブラッティバースト!!」


剣を振り下ろす。真紅の光がボルスに向かって飛んだ。

ボルスの直線上に倒れていた敵を通り過ぎる。

光が触れた敵は燃えたと思ったら一瞬にして消えて元々倒れていた空間には何も無くなっていた。


あんなの当たったら誰でも死んじまう!


「避けろボルス」


「後ろに部下がいて避けれるわけねぇだろうが。黙って見てろ」


ボルスは深呼吸を一つ入れた。そして剣先を敵に向け一言。


「一閃」


赤い光が突如消滅した。意味が分からなかったが敵が倒れている。


「...は?」


結果だけ見るとボルスが敵の技を破り勝っていた。

いやどうやって?


「...ふぅ~疲れた」


「お前今何したんだよ」


ボルスの顔に大量の汗が出ていた。


「エネルギーを剣先に集中させて放つ俺の必殺技だ。結構エネルギーと集中力を使うからあんまり使いたくない技だが被害を抑えるには使うしかなかった」


確かにボルスのおかげで騎士団の被害は無い。さすが騎士団長だ。


「さすがです。団長」


足を引きずりながらアイシャ姐さんがやってきた。

腹の傷はふさがったのか血はもうでていない。


「アイシャお前はもっと強くならないといけないなぁ~。とりあえず今日はゆっくり休んどけ」


ボルスはそう言い残し残りの敵を倒しにいった。


「もしかしてボルスってめちゃくちゃスゴいやつ?」


「当たり前よ。これからは態度を改めなさい」


俺は少しボルスのことを尊敬することにした。





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