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絆の印  作者: 雨月 そら
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逸話.0 始まりの雪

 天は

 灰色


 龍神の嘆き空


 キィーーーーーン


 と張り詰めた寒さが肌に刺さる


 粉雪が

 凍てついた風に吹かれ

 舞い散り

 一人

 そこにいる少女

 に纏わりつき

 彼女の体温で溶ける


 そこは静かな

 とても静かな場所


 一面雪景色

 一点の曇りもない

 曇りがあるとすれば

 それは天


 聖域という言葉がある


 それが一番しっくりくる

 そういう場所


 大きな白い鳥居


 不気味に

 真っ赤な宝石みたいな

 目をした鴉

 二羽舞い降りた


 彼女が鳥居をくぐると


 鴉が

 カァーカァーと

 知らせのように鳴いた


 彼女が歩んだ足跡は無く

 雪が

 シンシンと

 降り積もるだけ


 先ほどまでとは違い

 本降りとなって

 全ての景色を消す勢いで

 静かに

 静かに

 降り注ぐ


 彼女が鳥居をくぐり終えると


 サク サク サク


 と足音と共に


 足跡が付いた


 彼女のいる世界は

 現世(うつしよ)

 彼女がいた向こう側は

 常世(とこよ)


 いや

 その狭間


 彼女の指先も、鼻先も赤く

 痛々しい

 それでも

 彼女は全くの無表情


 シャーン シャーン シャーン


 鈴の音が鳴り響く


 彼女の目が青く光り輝く

 

 すーっと

 息を細く長く吸い込み

 ピタッと止める

 指先で空に五芒星を描き


 「(おん) () (きょ) (しん)


 女性にしては低めの声

 静かだが

 力強く

 言い放たれる


 五芒星は

 鬼火のような青い炎で

 燃え上がる


 その燃え上がる炎の中

 彼女は左手を潜らせた


 パァン


 風船が割れるよりも

 大きな音が響き渡り


 天からの降り注ぐ

 嘆きの白は止んだ


 目の前には重厚な神社があり


 拝殿から伸びた階段の先


 もう一人の少女が立っていた


 「雪花(せつか)


 鈴のように澄んだ声が

 彼女の名を呼んだ

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