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72話

「しっかしあのマークが、こんな仕事してるなんてねぇー」

「優しいマーク君を唆したのは誰ですか?」


 バルトロ爺さんの三人の弟子たちから話を聞こうとしていると、ヴァイとフルルに今の仕事について聞かれたので素直に答えた

 その返事がこれである


「文句はうちのギルド長に言ってよね

 取り次ぎはしないけど

 それに、まだ始まったばかりだから、いちいち口挟まないでよ?」


 僕は彼女たちが遅刻してきた恨みを込めて、言い返した

 ティンパがそんな僕の返事にはらはらとしているけど、僕たちの関係はこんなものなのだ


「本っ当に、生意気になったわね」

「今度・・・教育しましょうか?」

「いいからさぁ、つまんないと思うけどちゃんと質問に答えてよ・・・?」


 こんな調子でいちいち口を挟まれたら、いつ終わるか分からない・・・

 突っかかってくるなら、流すのが一番である

 この二人は昔から、妹のヴァイは比較的優しいのだが、姉は丁寧な言葉遣いと仕草とは全く違う性格をしていて、自分のやりたいようにやってきていた

 ヴァイもその姉を見て、いつしか同調し始めた

 少しは逆らってたりするけど、大抵姉の肩を持つ


 そうして、この村の同世代の男たちは皆、彼女たちにいいように使われてきたのだ

 ジェイクが村を出るまでは・・・ね


「マーク?」

「はっ!ごめんごめん、ちょっと考えごとしてた」


 昔のことを思い出していたら、ジェーンが心配そうに僕の顔を覗いてきた

 この村に帰ってきて、思い出に浸ってしまうことがよくあるなぁ

 王都に帰って、ホームシックにならないだろうか・・・

 ヴァイとフルルが僕を指さして、何やらひそひそしているが無視する

 今は仕事に集中しよう


 バルトロ爺さんの三人の弟子たちから、怪しい人物がいなかったか、何か変な出来事は無かったかなどの質問をする

 三人とも温泉の工事期間中に店番をしていたはずなので、工員たちとは少なからず接点があるはずである

 何かあればいいんだけど・・・


「特にありませんねぇ・・・

 外から来た工員の大抵が『音楽の村の楽器店』という物珍しさで入店してくる人ばかりでしたし、買っていく人も故郷の楽器を久しぶりに見たとか、家で待つ家族へのお土産とか、そんな人たちばかりでした」

「なるほど・・・」


 ティンパの証言をメモに取る

 確かに、工事をしに来るような人たちは、仕事をしに来ているのだ

 たまには息抜きもするのだろうけど、自分で楽器を演奏しよう!なんて工員は珍しいはずだ

 どこかにいることはいるのだろうけどね


「工員以外の女の人もいましたけど、皆さんそこまで楽器に興味が無かったようで・・・」


 ティンパはため息をついている

 聞けば、ここ二年ほど温泉の工事をしていた影響か、村に来る旅人も減っていて工事前より楽器が売れていないのだという

 それは・・・仕方ないよね

 何年かごとに僕も帰省していたけど、味がある建物の外観と違い、中身は本当にボロボロだったからね・・・

 建て替えて無かったら、いつか崩壊していたと思う


「一応師匠の楽器は有名なのでわざわざ求めに来る方や、仕入れに来る商人もいますけど・・・

 実際に来店される演奏家の方や、ふらっと来て買っていくようなお客様はかなり減りましたね」

「温泉の工事が終わったから、いずれは人は戻るじゃろうて

 潰れるほど売れてないわけでもないから、心配するでないぞ?」


 ティンパの落ち込みようとは裏腹に、バルトロ爺さんは余裕そうである

 その孫で弟子たちであるヴァイとフルルも


「そうね!お爺様も半分引退なされたし、これからは私たちの時代なんだから!

 ガンガン売るわよ!!」

「はい、私たちだってお爺様に負けない楽器が作れることを見せつけましょう」


 と意気込んでいる

 これからこの村がどうなるのか、今住んでいない僕は見ることは出来無いのだけれど、少なくともこの三人に不安は無さそうだ


「あとねー、工員の男たちやらしい目で私たちを見るし、口説いてきたの

 嫌って言ったら睨まれちゃったし・・・

 偉い人に文句言ってやったわ!」

「そんなこともありましたね

 私はおしりを触られたんですよ?一発はたいたら、逃げていっちゃいましたけど・・・」

「なるほど、セクハラ・・・ね」


 僕は彼女たちの証言をメモに取る

 ・・・ん?

 偉い人って・・・誰に文句言いに行ったんだろう


「偉い人って?」

「王子よ!お・う・じ!あいつマークのお爺ちゃんの家で食っちゃ寝してたでしょ?

 怒鳴り込んでやったら、目を丸くしてたわ!」

「おいおい・・・大丈夫だったの?」

「うん、その時は書類とにらめっこしてたみたいだけど、話はちゃんと聞いてくれたし」

「私のおしりを触った工員に罰を与えることも約束してくれましたよ」

「へぇ・・・」


 王子の印象がまた変わる

 爺ちゃんから聞いた話だと、お金の管理は爺ちゃんやサンスケさんに投げていたみたいだけど・・・

 この二人からの印象は良いみたいだ

 苦情もちゃんと聞いているようだし

 っていうか王子に護衛っていたんだろうか?

 勝手に僕らがいただろうと、考えているだけかもしれない

 王子の寝泊まりする部屋にただの村人が怒鳴り込めるって、どうなのだろうか・・・



 30分ほど、四人の話を聞いても、怪しい人物ことや何か変わったことなどの話は出てこない

 温泉の工事自体が普段と違う状況だからか、何かあっても工事関係だと思い、見逃しているのかもしれない

 深く聞いたところで、大した情報は無さそうだなぁ


 結局その後、バルトロ爺さんの店と工房に保管してある貴重な楽器等を確認して、何も問題は見つからなかった

 知り得たことは王子がどんな人なのかを少しと、『さえずり』は目標じゃないかったということだけ


 僕とラビヤーを襲った男の目的は何だったのか、まだわからない

 次はサンスケさんの家に行く

 そこで何か重要な情報が見つかりますように・・・

続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


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Twitterにて更新のお知らせ等しています

@moongekko01

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