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70話

 

 ・・・トントン


 ノックの音がする

 

 誰か来たようだ

 まだ寝ていたい


 トントン


 また聞こえた

 体を起こす気になれない

 瞼が開かない

 布団が気持ちいい

 

 ドンドン


 ちょっと音が大きくなった


 起き・・・起きなきゃ・・・

 うーん・・・

 そうは言っても眠すぎる、部屋が明るいので布団を頭から被る


 ガチャ


 ん?ドアが開いた?

 スタスタスタ

 誰か近付いてきた・・・


「マーク!もう朝だぜ!!!」

「うわぁ!!」


 声の主は、僕が包まった布団を勢い良く引っぺがした

 掛け布団を掴んでいた僕はそのまま、ベッドから落ちてしまう


「ありゃ!悪いね!朝ごはんできたってさ!」


 僕から布団を奪ったのはジェーンだった

 元気だなぁ・・・


「ぉはよう・・・」

「はいはいおはようさん!さっさと顔洗ってきな!」


 そう言って僕は立たせられ、背中とぐいぐいと押される

 そのまま部屋から追い出された

 振り返るとジェーンは僕から奪った布団を畳んでくれている

 礼を言って、顔を洗いに行くために階段を下りていく


「ふわぁ・・・」


 大きなあくびが出る

 昨日の話し合いは結局、朝までかかってしまった

 だからあんまり寝れてないのだ

 まだ眠いよ・・・


「マークさぁん!おはようございますぅ!」

「ぉはょう・・・」


 朝食の並んだテーブルにつき、元気な挨拶をくれるニーナ

 ジェーンとニーナは昨日の話し合いには来ていなかった

 ぐっすり寝られていたのだろう

 少しも眠くなさそうだ


「あらあらマーク、起きたのね

 早く顔を洗っていらっしゃい

 朝ごはんの準備は出来てるから」

「おはよう婆ちゃん・・・」


 そう言って僕は家の外に出て、井戸へ向かう

 外はすっかり明るい

 小鳥の鳴き声が響き、風が吹き渡る

 良い朝だ

 まだすっごく眠いけど・・・

 井戸から水をくみ上げると、僕と同じように眠そうな顔をしたラビヤーがやってきた


「・・・・す」

「えっ?

「・・・ょぅ・・・ごじゃぃます」


 多分おはようと言っているのだろう

 ラビヤーは昨日僕について来たばかりに大変な目に遭った

 もう少し寝てたいよね・・・

 井戸から組んだ水で顔を洗う

 井戸水なのですっごく冷たい

 そのおかげで二人とも眠気を払うことできたので、朝ごはんを食べるために家へと戻った



「ってことがあったんだよ」

「ラ、ラビヤーしゃんは大丈夫なんですかぁ?!」


 ニーナが椅子から立ち上がり、ラビヤーの額を撫でまわす

 朝ごはんを食べ終わった後、僕とラビヤーは二人に昨日の夜にあった事を話した

 集会所へ向かう途中、覆面の男に襲われたこと、この村に来ていた監督官はこの国の王子だったことなど・・・

 その話を聞いたニーナがラビヤーの額に傷が残っていないか必死に確かめている

 すると・・・


「ニ、ニーナ?傷はもうポーションで塞がってますから・・・ひゃん!!」

「あっ」

「おっ?」

「え」


 ラビヤーの顔が真っ赤に染まる

 ニーナが撫でていた手を抑えようと、ラビヤーがニーナの手を掴む

 そして掴まれた手が、彼女の種族の特徴である兎耳に触れたのだ

 敏感・・・なんだな・・・


「しゅみましぇん・・・」

「いえ・・・大丈夫ですから・・・」


 二人はお互いに気まずそうなやり取りをする

 今の声を聞いてしまったこっちも気まずい・・・

 ジェーンだけは爆笑していた



 昨日の夜行った話し合いの結果をニーナとジェーンに話し終わった後、僕らは今日の予定を決めた

 ニーナは村長の家に残されていた温泉工事関連の書類の確認

 ラビヤーは昨日怪我したこともあって、今日は家に残りニーナの手伝い

 ジェーンは僕と同行してもらい、村を回ることになった

 昨日の覆面男との戦闘が、万が一別の者に見られていないとも言えない

 白昼堂々と襲ってくることは無いだろうが、ジェーンが護衛として付いてくれるそうだ

 頼りにしてます・・・


 初めに向かうのはバルトロ爺さんの工房兼店舗『さえずり』

 この村に来た盗賊?悪意を持った者たちの目的が貴重な楽器なら、何か無くなっているかもしれない

 とりあえずその確認である

 工事資金の横領を調べる依頼だったはずなのに、どうしてこっちまで調べることになったのやら・・・

 繋がる情報が少しでも見つかればいいのだが・・・



 バルトロ爺さんは近年、店に出ることがほとんど無い

 もう年だと言って弟子たちに任せているのだ

 さすがにバルトロ爺さんでなければできない仕事だけ、引き受けているらしい

 昨日の夜聞いた時『完全に隠居は寂しいが、いつまでもやってられない』と少し表情暗く言っていた

 バルトロ爺さんの弟子は三人いる


 一人目はフルル 女性 30歳

 バルトロ爺さんの孫で管楽器を主に製造している

 僕は彼女に管楽器の演奏を教わったことがあるんだけど・・・

 すっごいスパルタですぐに逃げ出し、結局婆ちゃんに教わった

 昔はジェイクに惚れていたが、彼が冒険者となってこの村を出たときに失恋した・・・

 今はまだ独身らしい


 二人目はヴァイ 女性 28歳

 バルトロ爺さんの孫でフルルの妹

 今は弦楽器を製造している

 本当は管楽器が良かったが姉のほうが才能があったのと、自分には弦楽器作りの才能があったと、昔聞いたことがある

 僕は彼女にも弦楽器の使い方を教わった

 姉と違って優しく教えてもらえたので人に聴かせられるくらいの演奏が出来るようになった

 彼女もジェイクに惚れていたが、姉が惚れていたので諦めたそうだ

 なお、こちらも独身


 三人目はティンパという男性

 打楽器の製造と演奏、どちらも得意としているそうだ

 この人のことは詳しくは知らない

 僕が冒険者になって村を出た後に村にやってきたそうで、バルトロ爺さんに無理を言って弟子にしてもらったそうだ

 8年位前に帰省して、バルトロ爺さんに持ち帰った楽器を見てもらった時にちょっと会っただけである

 ちなみに3年前に村の女性と結婚したらしい


 ・・・なんだかジェイクのことを許せない気持ちになったが、とりあえず三人の紹介はそんなところである


 彼らは温泉工事をやっていた間、店で接客をやっていたはずだ

 工員たちが楽器を見に来ることはほとんど無いだろうけど、中には『折角音楽の村に来たんだし、少し覗いてみるか』くらいの人がいただろう

 彼らにも話を聞いてみよう


 僕とジェーンは『さえずり』の扉を叩いた

続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


感想 いいね ブックマーク よろしくお願いします

Twitterにて更新のお知らせ等しています

@moongekko01


しばらく更新が遅れることがあります

必死に執筆しますので見捨てないでください

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